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【Interview】Web3をひらく人々/第2回-① MeTown株式会社 代表取締役 田中一弘さん

 MeTown株式会社(本社:東京都中央区)は、Web3で世界中の誰しもが気軽に第二のふるさと(2nd Home Town)に貢献できる仕組みをサポートする企業です。創業間もなく、JA夕張市との連携で、JA夕張市公認「デジタルアンバサダー」プログラム(2023年1月〜)を始動。北海道夕張市の基幹作物・夕張メロンをモチーフにしたNFTアートを活用し、少子高齢や後継者不足に見舞われている夕張メロンの生産者や生産地の一助となるべく支援とファンづくりに乗り出しました。

Web3黎明期のフロントランナーにきく!『Web3をひらく人々』第2回は、「Web3×農業」で地方創生を展望するMeTown株式会社・代表取締役の田中一弘さんにお話を伺いました。

第2回-①Web3で夕張メロンのファンの輪を世界中に広げたい


―JA夕張市公認「デジタルアンバサダー」プログラムは、NFT を呼び水にした画期的な地方創生事業として注目されています。構想の経緯は?

 事の始まりは、たまたま近所のスーパーで買った夕張メロンに貼られていた「JA夕張市」と「等級」を表示したシールが目に留まり、そこに唯一無二の価値を証明するNFTとの親和性を感じたことからでした。思わずTwitterでそうつぶやくと、なんとJA夕張市の職員さんが「詳しく聞かせてほしい」とDMをくださったんです!驚きました。

 ちょうど私が起業を決めどんな事業を手がけようかと模索していた矢先でした。過疎が深刻化している新潟県・旧山古志村が、地域のシンボルである錦鯉をNFTアート化し「電子住民票」の意味合いを持たせ販売するプロジェクト(Nishikigoi nft)で、世界中に「デジタル村民」を募り、オンラインにリアル村民を上回る規模の自治圏を構築していると知り強烈にインスパイアされていたタイミングだったこともあり、夕張メロンもNFTにしたら面白いのでは?と思い立ったんです。地域活性に通じる一アイデアとして、早速JA夕張市さんにお伝えしたところ、興味を持っていただきました。

ー夕張メロンの「デジタルアンバサダー」は、域外の仲間づくりに活路を見出した「デジタル村民」の概念に通じていたのですね。NFTの購入が、「夕張メロン1玉を受け取る権利」を得られるに留まらず、「JA夕張市公認の夕張メロン・デジタルアンバサダーになれる権利」や「デジタルアンバサダー同士で交流できるオンラインコミュニティへの参加権」などの獲得を重視している意義や、“夕張メロンのファンの輪を世界中に広げる”というプログラムの目的が腑に落ちました。

 ファンづくりと同時に収益の安定と収益性を高める仕組みづくりも目指しました。夕張メロン生産は夕張市を背負う産業ですから、そこはじっくりJA夕張市さんと話を煮詰め進めたんです。

 具体的なヒントは、私の大学の後輩が主宰するNFTプロジェクトの成功でした。そのプロジェクトの目的は「新星ギャルバース」というアニメーション制作の資金調達で、制作前から登場キャラクター達を仮定したNFTアートコレクションをリリースし、売り上げを制作費に充てるというものでした。これによって、資金調達だけではなくアニメ化を応援する強力なファンコミュニティが世界規模で生まれているんです。Web3ならではの新しいクラウドファンディングのようなビジネスモデルに、夕張メロンや夕張市の盤石な未来を重ねました。 

―「夕張メロンNFT」はプレセール(105個)から2時間で完売する勢いでした。一般発売(888個)も好調な売れ行きで、今年の収穫を迎えたと聞いています。夕張メロンの独特な美味しさは温度、湿度のきめ細やかな管理や、手間を惜しまないことさら丁寧な作業の賜物と知られています。収穫前から生産の過程を見守るオンラインのアンバサダーコミュニティの動向や熱量も気になりました。

 購入者のうち、コミュニティには、生産者も含む200名ほどのメンバーが集いました。NFTの特徴上全員が匿名のつながりながら、「夕張メロンの豊作」という共通目的に向け積極的に意見が交わされ、強いチームワークを垣間見ました。ここで「チーム・夕張メロン」の一員として活動した記録は、ブロックチェーン上に刻まれます。改ざん不可能なデジタルアイデンティティの証明書を所有できることは、他でもない格別なユーザー体験になったのでは、とも想像しています。

 また、メンバー個々の夕張メロンへの貢献活動、発信によるPR活動などには、ミツバチポイントと名付けた対価を提供し、100ミツバチポイント集めるごとに、収穫後に届くメロンの糖度を上げ、好評でした。意外だったのは、お中元用にNFTを複数購入していたメンバーがより糖度の高いメロンを贈りたいという要望をコミュニティで投げかけると、すぐさま他のメンバーが、アンバサダー活動で貯めたミツバチポイントを、本当のお金か仮想通貨と引き換えましょうか、と持ちかけ盛り上がりました。これって結構革命的なんです。今までは「糖度」なんて価値交換できなかったものから一つの経済圏が成り立ち得る萌芽を予感し、“エモい”と思いました(笑)

 初めてNFTを購入したというメンバーも、おしなべて楽しんでくださったようで、Web3の世界観を体験的に深めてもらえたのも嬉しい成果でした。

第2回-②へ続く

MeTown株式会社

※NFT
記録の改変・改ざんが極めて困難なブロックチェーン技術によりデジタルデータやコンテンツの唯一無二の価値や真正性、所有権を示すことができる代替不可能な”デジタル証明書”

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