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【ざっくり学習】 お米

  稲の正式な学名はオリザ・サティバ(Oryza sativa)

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 こんにちはオオカミさんです。今回はお米についてざっくり学びましょう。

1 水稲はチート作物である

 どのようにチートかというと

 ① 収穫倍率

 米は一粒からとんでもなく増えます。
 一粒蒔くことで、何粒に増えるか?を表す収穫倍率が他の植物と比較して異常に高いのです。下記は江戸期の収穫量のヨーロッパとの比較です。

<江戸期の比較>
  米  → 1粒から144粒
  小麦 → 1粒から 23粒

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 つまり米は1万円分の米を植えれば、翌年

144万円の米になる

 わけです。

 小麦は23倍ですから7倍近い差で、年収が23万円か144万円か?どちらを選ぶかは誰の目からも明らかです。

 ちなみに小麦の23というのは上限で、ヨーロッパの北方だと倍率7とかになります・古代ローマのころなどは2倍です。

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  ごく稀に、土壌をナイル川の氾濫で入れ替える(ナイルの賜物)イベントがあるナイル小麦がやっと40程度。

 ここと比較すれば、いかに水稲が優秀かお分かりいただけると思います。

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     ですから、5年のうち3回は冷害で米が全く収穫できないのに、東北各地で農民は稲作してしまうのです。

     ちなみに、戦前まで東北で稲作とはギャンブルでありました。

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     定期的に東北の大名は

米を植えるな!アワ、ヒエ、麦とか地道にやれ!

そもそも大豆植えろって定期的にお触れ出してるよね?

なんで守れないの!

と必死に命令するのですが、農民は一発大金を狙って水稲を植えちゃうわけです。そりゃ東北でしょっちゅう飢饉起きるわけです。

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    ※博打に敗れて小作人に転落した農家のイメージ画像

 ちなみに最近の稲は1粒から270粒収穫できるそうです。水田なのに肥料も撒かずに収穫量増えまくりです。


 ② 小さな土地所有で大きなリターン

 米以外の作物は一度収穫すると3年は放置しないと、同じ作物は収穫できません。これを連作障害といいます。

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 アイルランドで発生したジャガイモ飢饉で有名ですね。作物が病気や成長不良になるのです。

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 つまり米以外の作物で米と同じ人口を養おうとすると、連作障害を防ぐため

3倍から4倍の耕作面積が必要になる

ということになります。

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 休ませておくのがもったいないので、勝手に生えてくる雑草を、牛や馬など家畜に食べさせ、肉や毛皮、牛乳などを手に入れる作戦が牧畜なわけです。

 江戸期まで牧畜なしで人口を維持できた日本が世界的に見るとおかしい話で、なんで日本は江戸期まで肉食禁止ができたのかといえば、米がチートだからという結論になります。生類憐みの令を出そうが何をしようが腹減ればその辺のイノシシとか食べちゃいますからね。

 日本の様に気温と水があれば、牧畜など非効率すぎてやってられないわけです。1ヘクタール辺りの獲得カロリー換算で比較するとこんな感じです。

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 ③ 麦角菌中毒

 トウモロコシやキャッツァバ、サツマイモは収穫が多く、容易に栽培可能ですが、保存性がよくないのです。

 中世ヨーロッパは、麦角菌中毒で苦しみました。この麦角菌に感染した小麦を摂取すると、強い精神異常をきたします。なおセイラム魔女裁判では、麦角菌中毒で女性19人が魔女認定を受けて死刑になっています。

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 米はこういうことがないのです

 食料として安全な保存性が高いほど有益なことはありませんから、税収として稲作を奨励し、米を徴収することで狭い国土にかからわず、鎌倉期の時点で、世界最強のモンゴル騎兵を凌駕できたわけです。

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<ここまでのまとめ>

  ① 水稲以上に収穫量が多い作物は無い
  ② 水稲以上に狭い耕作面積で人口を養える作物は無い
  ③ 特有の食中毒や幻覚作用をもたらすことが無いのでガチでメリットしかない

 米と出会った人類が、気温が高く、水が豊富な場所を探し続け、日本に到達した理由がここにあります。

 田んぼさえ作ればあとは飢饉と戦わなくていい、平穏な暮らしが約束されるのですから、海を渡るなんて一過性の危険は屁でもないのでしょう。

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 ちなみに今現在、歴史教科書では朝鮮半島から稲作が伝播したという記述がありますが

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 朝鮮半島は畑で育成する陸稲(おかぼ)でなければ栽培できません。水が無いという理由と、気温が稲作出来ないほど低いという理由からです。

 朝鮮半島は寒すぎて、南のごく小さい地域(任那日本府辺り)でしか水稲は栽培することが出来ません。

 日本に伝播させようにも、水耕稲作を伝播させることなどノウハウがない時点で無理なのです。

   しかも陸稲は収穫倍率が50以下しかなく、連作障害もおきます。さらに味が悪いので、わざわざ畑作陸稲を栽培する理由がありません。

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 なぜ教科書で記述がないのか?それは近隣諸国条項というものがあり、韓国や朝鮮に不利なことは教科書に記述できない取り決めがあるからです。

ぼくは早く撤廃する必要があるとおもいます。

 米は朝鮮半島から来てません。

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2 米は進化している

  以上のように水稲は、豊富な水と気温がある限り無敵ということがお分かりいただけたと思います。 しかし近年、気温を乗り越えはじめます。ジョジョでいうレクイエム化です。

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エンヤバア

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並河成資(なみかわ なりしげ)新潟農試技師

① 並河成資

 並河成資にノーベル賞が与えられていないのは「おかしい」というより、教科書に最低P2分の記述が必要な人物です。冷害で収穫できなかった田んぼから、辛うじて生き残った稲を交配させ続け、極端に冷害に強い品種を手動で(現代の遺伝子組換技術を使わず)作りあげたとか、おかしいことをした人です。

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 この人物は気温が低いと育たないと弱点を持つ米を、お腹いっぱいお米が食べたい執念だけで、東北はもとより北海道でも育つ「耐冷性」を持たせたのです。

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 この品種は異常な耐冷性を持ち、それまで稲作ができなかった北陸、北海道、東北を一面の田んぼに変えてしまったのです。雪国なので水源は豊富なので面積の3分の1程度が水田化しちゃいます。

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 一説によれば、昭和20年の終戦による食料不足は1000万人の餓死者を出すと予想されていたのですが、それほど餓死者を出さずに済んだ理由はアメリカの食料援助とこの農林1号のおかげと言われています。

ちなみに

今韓国で作っている米はこの農林1号の子孫

です。日本統治前は米を食べて豊かな暮らしをしていたというのは妄想です。なぜこの人が教科書に載っていないのかというと

近隣諸国条項

があるからです。韓国は日本に稲作を伝えて、日本が統治するまでは米の飯を毎日満腹に食べれていたという妄想を否定されるのが困るのでしょう。


 ② コシヒカリとササニシキ

 水稲農林1号と呼ばれる品種、代を数えていくつか経つと「農林100号」と言う品種が開発されます。「農林100号」の商品名を

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コシヒカリと言います。

     農林1号の子孫たちは寒くても育ち、むしろ昼と夜の寒暖差を利用してデンプンを作る性質があるので、それまでの高気温が品質に影響する品種とは違うのですね。

 それまでは台湾米が最も美味とされ、新潟や東北産の米はネコすら跨ぐと言われていましたが、ついに東北の農民は最高級ブランド米を生産できるようになったのです。


3 米が人類の食糧危機を救う

① 塩類集積

 日本は肥沃な土壌で真水も多いので気が付きませんが、世界の農地は肥沃ではなく、真水も豊富ではありません。だから塩分が多い水を使うのですが

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 当然、長年畑で作物を育てていると土中から塩が噴き出してくるのです。これを塩類集積といいます。

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 世界中で毎年150万ヘクタールの農地が塩類集積で使えなくなっています。人口の増加だけではなく、世界中の耕作面積は塩で減少していることで食糧危機は深刻化していると言えます。

今から50年経つと世界の農地の50%が塩でやられて使えなくなると予想されています。

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嗚呼どこかに塩害に強い作物はないだろうか?

こういうニーズがあったわけです。米は2度目のレクイエム化をします。


② 塩耐性イネ

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日本の研究で米から、塩(ナトリウム)を排出する遺伝子がめでたく見つかったので、この遺伝子(HKT1)を他の作物に組み入れることができれば、塩類集積問題は解決すると予想されており

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世界の耕作面積の減少に歯止めがかかることでしょう。


4 アフリカで稲作

 塩害でも育つ品種が開発されても、世界の人口は増え続けます。この人口爆発を支える作物は高い収穫倍率を持つ米を置いて他に思いつきません。

 米はもはや水があればどこでも育つ作物にまで進化した以上、これまで農業が盛ん出なかった地域でも稲作が可能ではないかということで、今、農業がおこなわれていない場所アフリカで稲作が盛んです。

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 アフリカで稲作をしようにも水が無いでしょう?僕もそう思ってたのですが、アフリカでも淡水が豊富な場所はあります。というか豊富なのです。

例えばナイル川

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例えばタナ湖

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例えばビクトリア湖

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しかし、なぜ稲作できないかというと、問題は2つです。


1)灌漑に金がかかる

 日本の様に有史以来、稲作だけのために土地を改良し、川を動かして来たというのがむしろおかしく、アフリカの場合一から作る必要があります。

 もしアフリカで灌漑水田をつくるとしたら、土地を平らにして水路を引き、場合によってはダムも必要になってくるため、1ヘクタール当たり1万~1万5000ドルのコストがかかるのです。


2)水稲は難しい

水稲は

 ・ 苗を作る
 ・ 粘土質の下土に肥沃な土を盛る
 ・ 畦(あぜ)を作って区画を作る

 などなど、技術が必要ですし、田植えと稲刈りの季節になると大量な人でで一気に作業を完了させねばなりませんので、強い統率力がある組織づくりが必要になります。

 民間での基礎教育が近代以前より行われ、農家の子息でも読み書きソロバンができ、戦国期に寄親寄子制度などが発生し、農繁期の労働力協力体制相互保証とかが異常なのです。

 アフリカに罪はありません。

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 日本人からすれば当たり前のことが世界中の人々が出来ることではないのです。

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 水車が自力で作れていない国がこの世界にはいくつもあるのです。第二次大戦以前に自力で水車を作れた国は世界に10カ国くらいだとおもいます。

 アフリカに小学校を作り、農業を教えることが如何に難しいかお分かりいただけたでしょうか?


④ 陸稲

 それでも陸稲なら作れるんじゃね?

陸稲なら、日本人でなくても作れるのではないか?

日本人はとうとうアフリカで稲作を始めます。

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坪井達史さん(JICAコメ振興プロジェクト)

 陸稲なら穴を掘って雑草を抜いて、水を撒けば収穫できる。田植も不要、脱穀も腐らない間に刈取ればいいさ。

 アフリカで2003年から本格的な栽培が開始されます。

 コメの品種は陸稲で、乾燥に強い品種を選択、その名前は“New Rice for Africa”の頭文字をとって

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ネリカ

  現在、アフリカの稲作面積は1000万ヘクタールと世界の稲作面積の6%しかなく、生産量の2680万トンは世界の3.7%でしかありません。

 しかしネリカにはいままで普及を妨げていたさまざまな問題をクリアできるポテンシャルがあります。

 もし広大なアフリカの大地で稲作ができるようになれば、世界の食糧問題は解決する可能性がかなり高いといわれています。


以上、【ざっくり学習】  お米 でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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