有害無罪玩具 / 詩野 うら
すごいねえ。榎本俊二の「ムーたち」を彷彿とさせるような漫画。
小説や漫画は主に「人間を描くもの」とそれ以外になるのだけど(この言い方卑怯かしらん?)
物語というのは基本的にはSFだろうが時代劇だろうがギャグ漫画だろうが
人間を描くものだし、人間が描かれていない物語はやはり退屈なのである。
ただこの漫画は正に後者というか、思考実験的世界がひたすらに描かれている。出てくる人間は人としての個性はあまりなく(というか皆狂言回し的ですらある)
デザイン的にも「お話のなかでキャラA、キャラBの見分けがつけばいい」くらいの描かれ方をしている気がする。
時間、や、自分、や、永遠などについて思うのが好きな人には
かなり響く作品であろう。
買って読んでみるまでこの人のことは知らなかったので
世の中にはすごい人がごろごろしてんなーと嘆息。
捨て曲なしのアルバムって感じでどの話も良いのだけど
「虚数時間の遊び」が自分には一番印象的だったかなあ。