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日記(2020/6/12):Folding@homeをGPUで走らせよう計画失敗の巻

1.Folding@homeとは

よほど古いパソコンか、安く非力なパソコンでない限り、パソコンの計算能力というものは、ふつうにかなり余裕のあるものです。

あることを考えている人たちがいました。

「スーパーコンピュータなら面倒な計算が出来るが、スーパーコンピュータはホイホイと使えるものではない。

ふつうのパソコンをたくさん集めて計算すれば、似たような効果があるのではないか。

ふつうのパソコンの、計算能力の余裕を使って、ネット環境で統合的に管理したら、これは行けるのでは?」

こうした計算システムを、グリッドコンピューティングと呼びます。

このグリッドコンピューティングを基礎として、いくつかの公益ボランティアサービスが存在します。

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例として、Folding@homeと、BOINCの説明をします。

Folding@homeは、グリッドコンピューティングで、タンパク質の折り畳み(フォールディング)について解析するものです。

「タンパク質の折り畳み? 何だそれは」

人体は大なり小なりタンパク質によって作られています。

その際に、タンパク質は「折り畳み」等の変形を起こし、そうして人体のいろんな部品となっていきます。

で、生物は基本的には場当たり的に進化してきたので、人体を作るためのシステムの全部が全部上手く行っている訳ではありません。というか、全体として見れば、よくバグります。

「折り畳み」もバグるのですが、これが様々な病気の元となっています。特に、各種ガンや、アルツハイマー病や、ある種の糖尿病や、他にもウイルスへの感染の際に、大きなポイントとなるところです。

つまり、ここの理解が進めば、これらの病気が、もっと効果的に予防出来たり、治せたりするかもしれません。

これらの病気は、今のままでは治せなかったり、かなり副作用の高い薬や治療法を余儀なくされたりしています。

なので、これの解明が深まれば、かなり有り難みがデカイと言えます。

(なお、Folding@homeは、2020/6/12現在、ウイルスの感染のバリエーションとして、新型コロナウイルスに関する解析に力を入れています。興味のある方は調べてみて下さい)

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BOINCもグリッドコンピューティングでいろんな解析を行うのですが、複数のプロジェクトに参加することで、それらが専門に受け持つデータの解析を行います。

これはタンパク質の折り畳みに限らず(主にRosetta@homeというプロジェクトがこれをやっています)、数学、物理学、化学、宇宙科学、地球科学、生物学、医学、認知科学等、極めて多岐に渡ります。

なので、私はこれまでBOINCでいろいろやっていました。

特に、数学プロジェクトで、最終目標が明確であり、進捗がパーセンテージで分かる、数論を解明するプロジェクト、NumberFields@homeに注力していたのでした。

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で、このご時世、新型コロナウイルス感染症が流行っており、日本は2020/6/12、少しずつ収束の気配が見えてきました(終息とまでは言い難いが)。

しかし、世界的には別にそんなことはない訳です。未だに多くの人たちが、世界中で新型コロナウイルス感染症に戦々恐々としている状況です。

何とかしたいですよね。

ということで、新型コロナウイルスを研究している全てのタンパク質解析プロジェクトの取得禁止を解除し、その他のプロジェクトを取得禁止にして(これだと復帰が簡単なのでそうしています)、今はうちのパソコンはCOVID-19対策モードに突入しています。

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んで、ふと思い立ったんですよ。

さっきも書きましたが、Folding@homeもこれをやっているわけです。

「BOINCとFolding@homeをそれぞれやれば、さらに解析は進むんじゃあないか?」

ということです。

2.BOINCをCPUで、Folding@homeをGPUで走らせようという計画

他の方の発言等を追っていくと、どうやらBOINCをCPUで、Folding@homeをGPUで走らせれば、大きな問題はなく、計算出来るのではないか。ということが分かってきました。

何でも出来るが、最適化はされていない、ふつうの計算速度の万能チップ、CPU。

グラフィック処理に特化しているため、ある種の計算に最適化されている、そこに限ればCPUよりずっと速い、グラフィックボードの計算チップ、GPU。

BOINCとFolding@homeを共にCPUでやると、おそらく空きCPUの食い合いになり、無駄な負荷が発生するのではないか。そのようや懸念が、実はありました。

CPUとGPUに振り分けて棲み分けすれば、そのような変な食い合いは発生しないでしょう。

ということで、その手で考えていたのですが…

3.今のところIntelのCPUはふつうにあるがIntelのGPUというものは手に入らないらしい

インストールしてみて、設定を見た時に、首を傾げることになりました。

「はて? GPUが存在しないことになっている?」

どういうことか。

後で気づいたのですが、要求スペックがあり、これに適合していなければダメ。ということでした。

https://foldingathome.org/support/faq/installation-guides/windows/requirements/

ATI/AMDかNVIDIAのGPUしかダメと書いてあるように見えます。

Intel? 対応してないですね。

というか、どうやらIntelのグラフィックボードに、GPUと呼びうるものは、2020/6/12の時点では、入ってないようなんですね。

はい残念でした。おしまい。

こうなる前に最初から「要求スペックを満たしているだろうか」と確認すべきだったし、初手でそこに気付くべきだった。やーいバーカバーカ! (俺が)

4.やはり当面BOINCをCPUでやっていくだけしか出来ないようだ

という訳で、せっかく入れたFolding@homeですが、また外しました(BOINCとCPUの食い合いをしても困るので)。

まあまた当面CPUの力でBOINCだけやっていきます。しゃーねーな。そうそううまくはいかねーか…

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