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デジタルデトックス

先日、有給を使って『デジタルデトックス』をやってみた。

デジタルデトックスとは、パソコンやテレビなど、毎日触れている電子機器から距離を取って、デジタル機器で疲れた体をリセットするといったもの。仕事でもプライベートでも、常にパソコンを使っているキモオタにとって、0歳児の乳離れくらい高難易度のデトックスである。

ただ、やると決まればやり切りたいのが僕の性格。前日にやりたいことはメモ帳に書き出し、ナビを使わなくていいよう地図まで書いた。とりあえず朝一で香水を買いに行って、お昼は行きたかった洋食屋に行き、岩盤浴からの銭湯で、早めに帰って寝る。完璧すぎるスケジュールを立て、当日を迎えた。

朝一は香水を買いに、近所のショッピングセンターに向かった。どうもそのショッピングセンターには香水専門店があるらしく、ちょっと話を聞きながら香水でも変えてみようと思ったのだ。

無音の車でショッピングセンターに向かいながら、ふと『香水専門店とはどんなところだろう』という考えが浮かんだ。

そもそもどんな店員さんが、接客をしてくれるんだろう。香水なんて贅沢品だし、意外と値段も張るから、パリッとしたお兄さんとか、エレガントなお姉さんがいたりするのだろうか。

ということは、イルカの鳴き声みたいな「いらっしゃいませー!」の姉ちゃんがいる感じではなく、麒麟 川島みたいな「いらっしゃいませ。」のおじさんがいる可能性だってある。気軽に入りやすいというより、シックにパリッと決める感じの店なのかもしれない。マウンテンパーカーなんて来て入ったら、インカムで「山男・入店。」みたいな変なあだ名をつけられたりするのだろうか。

次第に不安になってきた。どっちみち、ついてすぐタバコを吸おうと思っていたが、それは無しだ。タバコの匂いなんて付けて行った日には、「これでもくらえ!」とバケツ一杯の納豆をぶっかけられてその日が終わるのが目に見えている。

せめてネットでその店の情報を調べられたら、もう少し心構えもできただろう。ただ今はデトックス中。デジタルの毒素を抜くために、頭から湧き出す不安という毒素と戦う以外ほかにない。

車を止め、店内に入る。平日の開店直後で人気の少ないショッピングセンター。意を決して店内を歩き回り、行きついた先。そこには大きく、「LOFT」と書かれていた。

香水専門店はLOFTだった。

僕が戦々恐々としていた先に、ポップな黄色い看板がたたずんでいたのだ。

正確には携帯もないので、別に店があってつぶれたのか、移転したのかはよくわからない。ただ一つ確かなのは、僕はLOFTでいつもの香水を、いつものようにレジに並んで買ったということだ。いつもの買い物だ。

そしてタバコをしこたま吸って、なんか家系ラーメンが食いたくなってニンニクをマシマシにした挙句、サウナでテレビをガン見して帰ってくるという、意識の低い休日を過ごしたのでありました。

次は、朝からVRゴーグルをつけてアナログから解脱する、アナログデトックスでもやってみようと思います。

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