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ドリームクルーズ 4戦目(3歳未勝利) 観戦記


過去のノート

はじめに

 2024年4月13日、中山グランドジャンプが開催される日に、バヌーシー所属の出資馬・ドリームクルーズが4戦目を走りました。条件は、前走で初めて馬券内の3着に入った中山芝1600。経験のある舞台で、待ちに待った初勝利への期待が高まります。

 追い切りは、なぜ未勝利なのかわからないくらいの抜群の動き。また、厩舎サイドからは、何ごとにも臆病でおどおどするところが多かったドリームクルーズが、最近は「威張るくらい」になってきているという報告もありました。精神面の成長も著しいようです。

 当日のドリームクルーズのパドックの様子は、みなぎる気合いをレースに向けてしっかりと溜め込んでいる印象でした。美しく手入れされたブロンドのたてがみに、春の日差しをひときわ強くはね返す明るい茶色の馬体。その精悍な顔つきは、かつてのデビュー戦で見た、不安にうつむく迷子の女の子のような面影はどこにもありません。心身ともに競走馬に成長したことを実感する立派な姿でした。

 何頭か強そうなライバルはいて、絶対に勝てるといえる相手関係ではないと思っていましたが、それでも、ここまで成長してきたこの仔が、なんとか勝利という形で報われてほしい。

 結果は・・・

netkeibaより

 あまりにも悔しい2着!!!ドリームクルーズは休み明けからここまで、すでに3戦を走っています。勝って少し休んでほしかったのですが、その願いはわずかに届きませんでした。未勝利戦が終わるまで5か月弱。あと何回走ることができて、果たして実際に勝ち上がれるのか。ドリームクルーズの試練は続きます。

レース回顧

ラップグラフ

集計:3歳未勝利戦(中山芝1600良)2月~4月開催の直近10戦+今回

 これは、過去2月、3月、4月に中山芝1600良で開催された3歳未勝利戦のレースを、10戦分集計してグラフにしたものです。そして、黄色が今回のレースということになります。

 こう見ると、テン2Fがとても速く、中盤はしっかりと緩んで、ラスト3F目で急加速したあとは、勝負根性がものをいう減速ラップという展開でした。

 瞬発力・持続力・底力、すべてが求められた展開。これを作ったのは、今回初めて逃げを選択したドリームクルーズです。負けたとはいえ、1番強い競馬をしたのは文句なくドリームクルーズ。それだけに悔しい一戦となりました。うー、くやちい。

序盤

 これまでゲートを苦手にしていたドリームクルーズでしたが、この日は完璧なスタートを切りました。数頭の併せ馬の形でハナ争いが始まります。横山武史ジョッキーは、内枠で後手を踏むわけにいかないと判断したか積極的にうながし、それに応えてドリームクルーズは力強く芝を踏み込みます。

 2Fほど続いたこの戦いに根負けしたライバルたちは下がり、ドリームクルーズがさっそうと先頭に立ちました。

ゲート入りを待つ
抜群のスタート 栗毛のかわいい顔が見える
そのままダッシュ
併せ馬で一歩も引かない
ハナを取り切り、ドリームクルーズが逃げた!

中盤

 先週は、同い年の牝馬たちが、桜の女王の座を争って阪神で激闘を繰り広げました。ドリームクルーズがその舞台に挑むことは叶いませんでしたし、ここは満開から一週遅れの中山ではありますが、出資した3歳牝馬が桜を背景にマイルを走る姿は、「自分だけの桜花賞」と思えるくらい価値のある光景でした。

 散り始めたとはいえ、まだ花弁がたくさん残る桜の下を、ドリームクルーズは、鞍上の横山武史騎手とリズムを合わせ、気負いも緩みもなく、伸びやかなフォームで単騎駆け抜けていきます。

 勝てるかもしれない、と思いました。

初めての逃げ
後続を引き連れて堂々と走る
ドリームクルーズの「桜花賞」

終盤

 4コーナーで並びかけられますが、力強く突き放すドリームクルーズ。先頭のまま直線に入ります。「これは行ける!がんばれ!!」と撮影しながら思わず声が出ます。

 馬体を合わせてきた3番の馬を振り切って残り200m。しかし、外を突いた7番の脚色が明らかにいい。何とか凌いでくれ・・・と祈る間もなく交わされて、ドリームクルーズは無念の2着に終わりました。

4コーナーを先頭でまわる
最後の直線!
ドリームクルーズが最後の力を振り絞る
しかし外から芦毛の刺客
このあと差し切られてしまった

感想

 悔しすぎてツイッターXで2連投。このノートを書きながらも、また悔しくなっています。

 ドリームクルーズはこれまで4回走り、逃げ・先行・差し・追込すべてやりましたし、上がり33秒台から35秒台まで、ペースが異なるレースでも好走しています。このように様々な展開でも結果を残せる馬というのは、基本的にそのクラスでは能力上位の証だと思っています。

 でも、勝てるかどうかは時の運。今回勝ったナファロアはモノが違う、といえばそれまでですが、8か月の長期休養明けの素質馬が、4月の未勝利戦に出てきたのは運が悪かったとしか言えません。

 ところで、ドリームクルーズは昨年の9月に入厩してから、1度だけ数週間の放牧をもらっただけで、ほとんどの期間を在厩で過ごしています。それだけ手をかけてもらったからこそ、「勝ち上がれそう」という期待を持てる、ここまでの馬に育ったのは間違いありません。

 なので、1度勝ったら少し長めに休ませてほしいと思っています。頼む、勝ってくれドリームクルーズ!

写真館

パドック

返し馬

レース後

おわりに

 ドリームクルーズは、9着→4着→3着→2着と、順調に着順を上げてきました。今回の内容は未勝利クラス離れしていましたし、次こそいよいよ1着かと保護者会も色めき立っています。

 この仔の募集時は、もっさりゴツゴツした、いかにもパワータイプという馬体と歩様で全然人気がなかったのですが、調教を進めていくうちにスピードが出てきて、立派に芝のマイルを走れるようになりました。

 今回のドリームクルーズの逃げを見て思い出したのは、栗毛に大流星というルックスがよく似ている母父ダイワメジャーです。ダイワメジャーはサンデーサイレンスの直仔ながら、ディープインパクトのように溜めて弾けるタイプではなく、積極的に前に行って粘り込むタイプの馬で、番手抜け出しから皐月賞を勝ってみせました。

 ドリームクルーズは、1戦目と2戦目で33秒台の脚を見せはしましたが、今のところ上がり最速を記録したことはありません。かえって、初めての逃げでここまでのパフォーマンスを見せてくれると、外見から競争能力までダイワメジャーの隔世遺伝が強く出たのかな、と思ってしまいます。

 ダイワメジャーはもう種牡馬をほぼ引退しているので、その産駒に出資することはできないのですが、こうして孫の代で彼によく似た仔を持てたことは、その現役時代を知る人間としては嬉しいものです。

使用機材

カメラ CANON EOS R10
レンズ RF100-400mm F5.6-8 IS USM

注意事項

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