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ラストヒーロー見参!(菊花賞 23 ラップ分析)


はじめに

 菊花賞が好きです!

 ヒシミラクルやデルタブルースといった、3歳春には芽が出なかったけれども、夏を越して急激に強くなる馬が好きで、最近ではタイトルホルダーがその系譜を継ぐステイヤーですが、彼らが初めて輝いた舞台が菊花賞です!

 今年は例年と違って、クラシックの活躍馬がのきなみ菊花賞に出走してきたことで、3歳牡馬最強決勝戦というおもむきがあります。

 春の実績馬からは、タスティエーラソールオリエンスがそれぞれダービーと皐月賞を分け合って2強を形成。クラシックで掲示板に入ったハーツコンチェルトノッキングポイントファントムシーフ、札幌記念で存在感を示したトップナイフあたりがそれに続きます。

 秋の新興勢力では、神戸新聞杯で馬群を割って差し切ったサトノグランツと、目下4連勝中のドゥレッツァの勢いは無視できません。セントライト記念でソールオリエンスに土をつけたレーベンスティールが出ないのは残念ですが、3歳牡馬のトップクラスはほぼ出そろいました。

ラップグラフ

集計:菊花賞09~20 京都良馬場開催 10戦

・持続力勝負としたものの、ラストの瞬発力も強く求められるレース。

・ただし、3000mの長距離戦ともなると、道中が時に13秒台に落ち込むほどのスローペースになる。そのため、スピードやスタミナといった身体能力と同じくらい、「折り合い」という精神面での優位性が問われる。

・欧州中長距離血統でスタミナの補強があると好ましい。

気になる馬

ドゥレッツァ

 前走は新潟芝2200の3勝クラスで、ラスト5Fがすべて11秒台で前が止まらない流れを、後方から上り最速で差し切って見せた。菊花賞は、古馬2勝クラスを勝てる馬であれば能力的に足りているところ、ドゥレッツァは3勝クラスを勝っている。勝ちっぷりもまだ余裕があり、仮に菊を逃しても、先々は古馬重賞で通用する器と高く評価している。春の2強を崩すとしたらドゥレッツァが最右翼。調教も一番いい。
 懸念は、前走引き締まった流れで強すぎたため、道中大きくゆるむ菊花賞の適性が感じられなかったこと。
 それでも、後方からゆったりとした競馬ができるようジョッキーが教え込んでいたし、母系の底にはニジンスキーというスタミナの補強が期待できる血を備えているあたり、距離はあっさりこなしてもおかしくない。

ソールオリエンス

 セントライト記念のふりかえりで、「これまで馬群で我慢させる経験に乏しいことから、菊花賞ということではやや不安を感じている」と書いたように、身体能力は評価しつつも、精神面に課題を残している。
 ダービーでは、鳥かごに包まれ、スローペースで甘んじて走らなければならなかったことで、わかりやすく馬が戸惑っていた。それでも2着に来るあたり、改めて身体能力は世代トップクラスということを示している。
 体形的には胴長のステイヤーという感じではなく、菊花賞よりむしろマイルに適性がありそうな気も。
 ただ、血統的には非常に重厚で、母父モティベーターはタイトルホルダーと一緒。4代前にはレインボークエストがいて、これは母父としてアスクビクターモアを輩出。つまり、ここ2年の菊花賞馬のスタミナの源泉を両方とも内包している。血統的には1番勝利に近いといえる。

本命

タスティエーラ

 前崩れの皐月賞で、ただ一頭だけ前で粘り込んで2着になった身体能力。行きたがった共同通信杯で折り合いを教え込まれ、ドスローのダービーで淡々と折り合った精神力。母父がドイツ由来の粘っこいスタミナを供給するマンハッタンカフェという血統。タスティエーラは、出走馬の中でもっとも総合力が高いと評価している。
 また、後方から勝負する有力馬が多いため道中はかなり緩みそうで、展開的にも、先行脚質でそこそこの上りを使えるタスティエーラに向きそう。
 あまり極端な瞬発力勝負になると遅れを取るかもしれないが、それなら早く動いて勝負根性を発揮させる自在性もあり、自分の競馬をして大きく崩れないところが魅力。
 胴がスラリと長いステイヤー体形のため、3000mという未知の距離でも、春よりさらにパフォーマンスを上げてきてもおかしくない。
 マイナス材料としては、追い切りでちょっと気合いが入りすぎというくらい。久しぶりの実戦に興奮してしまうと脆いかもしれない。

おわりに

 2000mならソールオリエンスとドゥレッツァが相当強いと思いますが、3000mはやはり別の競技。心技体すべて揃った「もっとも強い馬」が勝つのが菊花賞ということで、タスティエーラを本命に抜擢しました!

 ただ、タスティエーラはわかりやすいステイヤーではなく、昨年のアスクビクターモアほどの自信はありません。ずっと折り合いを教え込んで来たソールオリエンスが落ち着いて走れるようなら、死角が完全になくなるので、二冠達成というシナリオも十分ありえます。

 他に気になる馬としては、サトノグランツとハーツコンチェルトは、身体能力・精神力・血統すべてが及第点で、ヒモには入れておきたい馬たちです。その代わり突出した何かは感じないため、勝ち切るには少しの幸運がほしいところ。トップナイフは、身体能力と血統は一枚落ちるものの、完全に手の内にいれたノリさんのエスコートで、人気薄と最内枠を利して前で粘り込むとワンチャンありそう。あとは古馬重賞を勝ってるのに人気のないノッキングポイントが、中距離でこそ走るタイプだとは思いますが、少し気になります。

 実績馬が貫禄を示すのか、それとも上り馬が台頭するのか、見どころが満載のクラシックラスト1冠です!

 

 このノートを楽しんでいただけましたら、ぜひ「スキ」を押していってください。次回のモチベーションになります。


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