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天才 vs 猛獣(天皇賞秋 23 ラップ分析)

はじめに

 天皇賞秋の日がやってきました!

 イクイノックスは、ダービーこそドウデュースに譲ったものの、その後は海外を含むG1を4連勝。ドバイシーマクラシックでは、まさかの逃げから直線で軽々とワールドクラスの強豪を突き放し、世界最高レーティングを記録しました。ダービー2着馬は、それからたった1年で「世界最強馬」の座に昇りつめたのです。

 一方、ドウデュースはダービーを勝ったあと、凱旋門賞では馬場が合わず惨敗。年が明けた京都記念では力の違いを見せつけるも、ドバイターフ出走前に故障が見つかって回避。以降、春は全休。「第89代日本ダービー馬」という最高の栄誉と引き換えたかのように、日陰に甘んじてきました。

 明と暗を分け合って走るこの2頭。昨年の日本ダービー以来の対決がついに実現します。イクイノックスが世界最強の走りで他馬を寄せつけない勝ち方をするのか。雌伏の時を経たドウデュースが復活Vを決めるのか。あるいは伏兵による鮮やかなタイトル奪取劇が見られるのか。いづれにしても、歴史に残る一戦になることは間違いありません!!

 今回は予想というよりも、イクイノックスとドウデュースをどのように評価しているか、という話になります。

ラップグラフ

集計:13~22天皇賞秋 10戦

・瞬発力勝負としましたが、10年平均ラップではラスト2F目から減速が始まっています(通常はラスト2F目が1番速い)。つまり、直線の切れ味がただ鋭いだけでは勝つことはできず、死力を尽くしたラストスパートを、高い次元で持続させなければならないことを意味しています。

前年の分析がハマったので、今年もさらっとふりかえっておくと、トニービン持ち3代以内にスプリンター(ダンジグ、ミスプロならなお良い)が注目ポイントです。両方を完璧に満たす100点はイクイノックスだけ。ドウデュースはミスプロが4世代目なので80点。血統的にもこの2頭が最有力です。

イクイノックス

 世界ランク1位の馬ではありますが、付け込む隙はあると思っています。というのも、同格といえる超G1級の相手と戦った経験が、それこそ対ドウデュースの日本ダービーだけだからです。

 いやいや、ひとつ上の「最強世代」と言われたエフフォーリアもタイトルホルダーも、まとめて有馬記念で倒してるよね?という向きもあると思いますが、エフフォーリアはスランプ、タイトルホルダーは凱旋門賞後で、決して本調子ではありませんでした。

 今年の宝塚記念では、阪神の短い直線で後方からよく追い込みましたが、ラップを見たら、淀みない流れで前崩れの展開で、数字的には映像から受けたインパクトほどではありません。仮に、同格の強力な馬が前にいたら、捕まえられなかった可能性があります。

 ただしかし、ドバイシーマクラシックの勝ち方は、ちょっとありえないものでした。実際のラップはわからないので見たままの表現ですが、逃げて上り最速という感じで、イクイノックスの真価の一端が見られたレースでした。

 今日、久しぶりに再会する強敵と走ることで、イクイノックスの真の姿が解放されるかもしれません。

ドウデュース

 ドウデュースは走るフォームが馬離れしています。獰猛なネコ科の動物のように、ダイナミズムあふれるピッチの速い四肢の動き。それでいて芯が一切ブレない異常に安定したバランス。ちょっと見たことないタイプです。

 能力査定をするための実戦が少なすぎて、確たることは言えませんが、日本ダービーを見る限り、鋭く長い末脚を持っており、イクイノックスにクビ差まで詰め寄られましたが、絶対に抜くことのできない差のように思えました。両者の能力は互角と考えています。

 調教では、長大な半紙にひとかかえもある筆で「一」の一文字を書くかように、荒々しくも静謐な動きで真っ直ぐに坂路を駆けあがっていました。あれを見てしまうと、イクイノックスといえども、まだこの馬とは決着がついていないことを思わずにはいられません。

 この馬もまた、本気で走るのは日本ダービー以来となるでしょう。覚醒ドウデュースが、これまでの鬱憤を吹き飛ばすような走りを見せてくれるはずです。

3着候補

ダノンベルーガ

 ハーツクライ経由でトニービンを持ち、5世代目にミスプロがいるため、血統評価は60点。クラシックでバチバチに2強とやり合い、能力的には少し足りないかもしれませんが、その差はわずか。古馬になって本格化するハーツ産駒ですから、ここで一世一代の大駆けはありえます。

プログノーシス

 追込み一辺倒の不器用だった馬が、札幌記念では早めに動く競馬で完勝。秋の主役に名乗りを上げました。マークされない川田ジョッキーという怖さもあり、軽視していると痛い目を見そうです。血統的にはトニービンがなく、4世代目にミスプロということで20点と低評価。舞台相性はそこまで良くはなさそうです。

ジャックドール

 大阪杯では武豊の絶妙なペースメイクで勝利。リズム良く逃げることができれば、最後までしぶとい脚を使うことができることを証明しました。後方に有力馬が固まり、自分の形を作りやすいレースだと思うので、手が戻った藤岡ジョッキーには果敢な騎乗をお願いしたいところ。血統評価は4世代目にミスプロというだけなので20点。

エヒト

 この馬を穴馬に挙げておきます。ルーラーシップ経由でトニービンを持ち、4世代目にダンジグがいるため、血統評価はドウデュースと同じ80点。安定感に欠けるものの、ヒモ荒れを演出できる舞台相性の高さを秘めています。

おわりに

 本命とかは書きませんでしたが、2強のワンツーで決まると思ってます。ただ、イクイノックスが崩れたときの方が配当が大きいので、頭固定の馬券を買うならドウデュースからというくらいです。

 今回は馬券よりも、レースそのものを楽しむスタンスでいます!


 このノートを楽しんでいただけましたら、ぜひ「スキ」を押していってください。次回のモチベーションになります。


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