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縦割り行政の弊害とは?〜第11回インターン勉強会〜

こんにちは。インターン生の乙坂です。

金融と英語に興味があったのと、ただの時間の切り売りにならないような学びのある仕事がしたいという思いで大学1年の冬からこのインターンを始めました。

今回の勉強会で普段から疑問に思っていた縦割り行政の弊害について共有した内容をまとめていきます。

縦割り行政とは​

今回の勉強会で扱う縦割り行政とは、行政機関における不合理な役割分担や各省庁の過剰な管轄意識によって、行政サービスが非効率に陥ってしまう問題のことです。

テーマが「縦割り行政の弊害とは」なので、縦割りの組織自体に悪いイメージを持ちかねませんが、縦割りの組織自体には何ら問題がないことです。

例えば学校や民間企業でも、委員会があったり専門部署があったりと縦割りのシステムを導入していますよね。そのほうが各業務の専門性も向上しますし、効率的に質の良いものが提供できるようになります。弊社インターンでもアナリストや営業、マーケティングなどに分かれて業務を行っています。

このように部署ごとに仕事を行うことは当たり前ですし良いことなのですが、冒頭でも書いた通り過剰に縦割り化がなされると、横の連携が図られず、組織全体としてうまく回らなくなってしまいます。

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民間企業程度の規模ならさほど大きな問題にはならないかもしれませんが、国単位となると働き手の効率のみを求めて強い縦割り分業を行っている場合では無くなってきます。

では、行政と民間企業との違いはどこにあるのでしょうか。

それは、業務内容が民間企業の比でないくらい多いという事と、分社化ができないということです。

業務内容がとにかく多岐に渡るため、その全てを把握している人がまずいないというのも問題ですし、行政は分社化できないせいでそれを改善することすらできないのもまた問題です。

具体例1 -幼保一元化-

さて、ここからは縦割り行政によってもたらされている弊害の具体例を見ていきましょう。

一つ目は、幼稚園と保育園の例です。昨今では待機児童問題がとても深刻であることをご存知の方も多いでしょう。

ただ、実は待機児童が多いのは保育園に限った話であり、幼稚園のほとんどは定員割れを起こしているというのが実態です。女性の社会進出が進んでいる現代では、保育園の需要が高まって幼稚園の需要が落ち込むのも当たり前のことですよね。

ここで合理的な打開策を考えようとしたら、まず幼稚園と保育園を一元化して、待機児童分の枠を幼稚園に移せば良いのではと思う方も多いのではないでしょうか。

幼保一元化は一見簡単そうに見えますが、実は政府の管轄がそれぞれ違うために簡単には実現しないのです。

保育園は厚生労働省管轄、幼稚園は文部科学省の管轄であり、また保育園は乳幼児の保育をするいわば託児所のような存在である一方、幼稚園は乳幼児の保育・教育が目的の教育機関、つまり学校のような存在なのです。さらに、保育士資格と幼稚園教諭資格は別物なので、どちらも持っている人材でないと一元化しても働けないということになります。

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最近はこども園というまさに幼保一元化がなされた施設も誕生していますが、施設数では幼稚園や保育園には遠く及びません。2018年度現在、保育園数が29,338園なのに対し、こども園は4,474園に止まっています。またここも管轄が内閣府なのでまたややこしくなってしまっています。

具体例2 -go to事業-

二つ目はgo to事業についてです。

昨今のコロナ禍で行われていたgo to事業もまた縦割り行政の弊害を被っているものであると言えます。

トラベルは国土交通省、イートは農林水産省、イベントは経済産業省というように全て管轄が別であるため、地域活性化のための政策であるにもかかわらずうまく活用できないような地域もあったのではないでしょうか。

本来の目的である地域活性化の観点から見れば、地方自治体が主体となってこの事業を行うべきではないかと私は考えています。地方自治体の職員の方が中央の人よりもその地域の実情を把握していて、効果的な施策を考えつくのではないでしょうか。

go to事業は緊急事態宣言の影響で中断されていますが、go to事業を行った後にも緊急事態宣言の発令がされている点からあまり成功ではないと言えると思っています。

解決策・海外の事例

さて、現在の日本でこの縦割り行政を打破しようとしている動きはあるのでしょうか。

実際菅首相も問題意識は十分に持っていて、昨年9月に首相に就任した際に縦割り行政の打破に向けた改革を行う意志も見せています。

政府主体となったDXの推進やマイナンバーカードの推進、デジタル庁の発足もこれらの縦割り行政に関する問題意識からです。

ただ、実際に一気に大きな改革をするというのはかなり難しいというのも現実です。日本には国家行政法という法律があり、それによって各省庁の仕事内容を細かく定められているため、各省庁の職員は個人の裁量によって仕事内容を柔軟に決められるわけではないのです。

現場で働いている官僚と思われがちですが、実際には根本的な制度がよくないのです。現行の制度が変わらない限りは縦割り行政の弊害は続くと考えて良いでしょう。

ちなみに、イギリスでは縦割り行政が起きづらいシステムであるため、日本も学ぶところが多いのではないかと感じています。また日本が課題として抱えているデジタル化についても進んでいます。

イギリスは日本と比べて柔軟に政策を扱うことができるシステムであり、近年の例で言うとEU離脱のような特別な事例があった際にも、各省庁で対応しきれないような場合には国会に持ち寄り、柔軟に政策を練ることができるのです。

DXと縦割り行政

DXの観点においては、実際にイギリスの政府公式ホームページを見てみても、一つのポータルサイトから様々な省庁が提供する詳細なページに飛べるような仕組みになっていて、国民にとっても非常に使いやすい仕様になっています。

上で述べたイギリスの例のように、DXを通じて行政機関の横の連携を図り、縦割り行政の打破を進めて便利になって欲しいものです。

日本は特にデジタル化が遅れている国ですが、その分前例も豊富になっているため他国を見習って国民が快適に暮らせるような国造りをしてもらいたいものですね。

最後に

今回の勉強会ではあまり身近に感じられなかった縦割り行政を身近に感じてもらえるよう取り上げてみました。身近な例から意識して関心を持っていただけたら幸いです。

※本noteは株式会社インベストメントブリッジとしての意見・見解ではなく、あくまでも一個人の意見・見解となります。

参考文献

・菅政権の縦割り行政との戦いhttps://www.newsweekjapan.jp/reizei/2020/09/110.php
・文部科学省 幼児教育の現状https://www.mext.go.jp/content/1421925_08.pdf
・認定こども園で働くために必要な資格について
https://hoiku.mynavi.jp/topic/2020/07/000143/
・政府や地方のデジタル革命:イギリスの事例と日本の課題
https://globalpea.com/govuk

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