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【第2弾】宅地建物取引士【②不動産業界で稼ぐために宅建よりも必要なもの】

こんにちは。
都内でひっそりと生きる専業主夫です。


続いては、宅建を取ったからといって、必ずしも不動産業界で高年収を得られるとは限らないということについてです。業界未経験で宅建を取得し、その後不動産業界で3年間の実務経験を持つ私の実体験をもとに解説します。

前回の記事はこちらからどうぞ。




②不動産業界で稼ぐために宅建よりも必要なもの

不動産業界はインセンティブが高いことで知られています。インセンティブとは、契約を取った際に基本給とは別にもらえる報酬のことです。試しに、転職サイトで不動産会社の求人を見てみてください。「年収1000万円以上も可!」という広告を多く見かけると思います。

これは実際に不動産会社で働いていた経験からいうと、嘘ではありません。そもそもなぜ高額なインセンティブをもらえるかというと、それは不動産の取引は参入障壁が低く、費用対効果が高い=「楽に儲けられるから」です。


1.不動産業者の数は○○○○より多い

突然ですが、宅建業者、いわゆる不動産業者が日本に何社あるかご存じでしょうか?

国土交通省が発表している「令和元年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」によると、令和2年3月末(令和元年度末)現在での宅地建物取引業者数は、大臣免許が2,603業者、知事免許が123,035業者で、全体では125,638業者となっています。

このうち従事者 5人未満の業者数は 108,234 業者(107,006 業者)になり、令和2年度末から 1,228業者増加しました。従事者数5人未満の業者の割合は、84.2%(84.1%)となっています。 (令和4年3月31日現在)

ちなみに、日本全国にあるコンビニの件数は約5万6千件(令和6年1月現在)なので、コンビニの2倍以上の不動産会社がおり、そのうちの8割以上が従業員5人未満の零細会社なのです。

この数値から、いかに参入障壁が低いかが分かると思います。


2.不動産業者の多くは○○会社

業界用語では「マイソク」と呼ばれる

よく、駅前などでこのような不動産のチラシがガラスに貼ってある店舗を見かけることが多いですが、それは仲介(※1)会社です。

仲介をメインで行う会社は、新築マンションなどを建てて販売するデベロッパーなどとは違い、自社で販売する不動産を所有していません。なお、不動産の管理で利益を出す、いわゆる管理会社も多く存在しています。

では、仲介会社は何を売るのかというと、不動産会社だけが登録できるレインズ(※2)に登録された(売りにだされた)不動産です。

そして、売主の代わりに買主を探すことで上の画像でいうBの売主側の仲介会社、いわゆる元付け会社(※3)から媒介報酬(※4)を受け取ることで利益を出します。なお、Aの買主側業者のことを業界用語で客付け業者(※4)といったりもします。

※1:仲介・・・不動産の取引により、売主と買主の間に立って両者の契約を成立させること
※2:レインズ・・・不動産物件情報交換のためのコンピュータ・ネットワーク・システムで、Real Estate Information Network Systemの頭文字を取ってREINS(レインズ)といわれる
※3:元付け会社・・・宅地建物の売買の仲介において、顧客から直接売買の依頼を受けている立場にあること
※4:媒介報酬・・・売買・交換・貸借が成立した場合、不動産業者と依頼者との媒介契約に基づき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと

つまり、元付け会社は自社で不動産を仕入れるコストをかけずに、売主の代わりに売るだけで高額な媒介報酬を得ることができ、これがインセンティブになるわけです。

ただし、安易にインセンティブを得られると考えてはいけません。

先ほどお伝えした通り、参入障壁が低いということは、すなわち多くのライバル会社が存在するということです。
そして、買い手が見つかりやすい物件ほど依頼が殺到します。

ちなみに、従業員5人未満の不動産会社の多くがこの仲介会社です。


3.資格よりも必要なもの

あらかじめお伝えしておくと、世の中に存在する不動産会社の多くは不動産仲介会社であり、仲介会社の多くは客付けをメインとする会社です。

※ちなみに元付をメインにする会社は、売主から直接物件を売って下さいと依頼されるため、客付けをメインとする会社に比べ圧倒的にインセンティブを得やすいです。その代わり、応募者の数も多いので就職難易度は高くなります。ちなみに私が働いていたのも元付けをメインにする会社です。


営業マンは会社の利益を上げるため、自分の給料を上げるため、社長や上司からパワハラを受けても動じず、猛暑の日でも台風の日でも走り回り努力し続ける「強靱なメンタル」と「覚悟」を持つ必要があります。


私としては、不動産業界で稼ぐことを目的とするならば、宅建の資格よりもこちらの方が必要だと思います。そもそも、不動産業界の営業マンで宅建士ではない人は大勢います。なぜなら、宅建を持っていなくても重要事項の説明ができないだけで、不動産の営業自体はできるからです。

しかし、それにより不動産詐欺や悪質なセールスが多いことも確かなので、私としては、営業マン全員に宅建を義務付けるべきだと思っています。


これらの文言を見ただけで「私には無理だ」と思ったらそもそも不動産の営業マンに向いていない可能性が高いです。でも、無理に目指す必要は全くありません。他に稼げる仕事は山ほどありますし、自分に向いていない仕事をすることは苦痛でしかなく、心の病を発症する場合もあります。


そして、求人広告を出している不動産会社の多くがこの事実を採用面接の際に伝えません。応募者としては「楽に稼げる」と思い込み、働き出してからその過酷さを知り、ギャップを感じてすぐに辞めてしまう人が多いのです。


4.報酬はいくらでもいいというわけではない

なお、この媒介報酬とはいくらでもいいわけではなく、宅建業法という不動産取引を規制し、消費者保護を強化する法律で定められています。

不動産媒介報酬額

詳しくは次に取り上げますが、この宅建業法は宅建試験で最も出題数が多い超重要科目です。

宅建の受験科目 出所:資格の学校 TAC


ちなみに、法律で媒介報酬の規制をしない場合、極端な例をあげると悪質な不動産会社が「タダでも買い手がつかないようなボロ家を売り、売主に報酬として1億円請求する」といったようなことが起きてしまいます。

ここまで悪質なケースは少ないですが、今のように宅建業法という法律がなかった頃は似たような事例が多くあり、そのような被害を生まないことが目的となっています。

そもそも、法律とは権力を持つものを規制し、立場の弱いもの(消費者など)を守るために存在するものです。憲法は国家を、行政法は行政(都道府県など)を、弁護士法は弁護士を、といった具合ですね。


今回は以上になります。

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