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なぜスマホは「スマフォ」ではなく「スマホ」と略すようになったのか

もはや手放すことができなくなったスマホ。私がはじめて購入したのはiPhone 3GS(購入は2010年)でしたから、界隈の中では遅め。しかし、それから一貫してiPhoneを使い続けています(ただキャリアはソフトバンク→au→ahamoとコロコロ変わっていますが)。

ところで、スマホの正式名称は「スマートフォン」ですが、なぜ「スマフォ」ではなく「スマホ」と略するようになったのでしょうか?

その前にスマートフォンの「フォ」について。NHK放送文化研究所によれば、原音[fæ][fi][fe][fo]が含まれる外来語の場合、発音と表記を一致させることを前提に、次のように表記するルールがあるようです。

①原則として、「ファ・フィ・フェ・フォ」と発音し、表記する。なお、「ファ・フィ・フェ・フォ」の発音は、原音のような歯と唇を使った発音ではなく、両唇を使った日本語としての発音で差し支えない。

②慣用により[ハ・ヒ・ヘ・ホ]と発音することが一般的と考えられる語は、「ハ・ヒ・ヘ・ホ」と書く。

「スマートホン」か「スマートフォン」か | NHK放送文化研究所

上記の①の理由から、スマートホンではなく「スマートフォン」と表記されるようになったようです。一方、「テレホン」「イヤホン」「インターホン」「ヘッドホン」などは②の理由から「ホン」で統一されたのだとか。

これは、スマートフォンが新しく使われるようになった語であり、②のように慣用が定着したと言い難いため、「フォン」なのだそう。また、事業会社や一般人の間にも「フォン」のほうが浸透しているという背景があったからのようです。

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では本題。なぜスマフォではなく「スマホ」なのか。同研究所は、「国語辞典を見ると、『~フォ』で終わる語はほとんどなく、『スマフォ』『スマフォン』よりも発音がしやすい『スマホ』で定着したのではないか」と主張しています。

また、略語の場合は「4拍」に縮まることが多いとのこと(例:パソコン、コンビニなど)。ただし、スマホは4拍(スマホン)ではなく3拍(スマホ)で定着しました。その理由について同研究所は「(理由は)はっきりしません」と答えています。

ところが、さらに調査を進めたところ、以下の事実が判明しました。

略称“スマホ”は「週刊アスキー」に刷られた特集の見出しが初出というのが定説です。(中略)編集長や周囲の人と“スマフォ”と“スマホ”どちらの表記にしようといった議論をしたのはハッキリ覚えてます。

“スマホ”の3文字がスッキリとして見出しとして目に飛び込んできやすいのと、「ホ」のほうが「フォ」より発音がラクという理由で「スマートフォン」の略を“スマフォ”ではなく、あえて“スマホ”としました。

略称「スマホ」の由来は? スマホに関する日本人の悩み:前編(10~6位) | ASCII.jp

確かに、筆者も2010~2011年頃にWebメディア編集部にいたときに、「スマフォ」と「スマホ」表記が混在していたのを覚えています。筆者は「スマホ」派だったので、自分の所属するメディアでは「スマホ」と書いていましたが、結果的に「スマホ」のほうに軍配が上がったようです。

というわけで、アスキー編集部が「スマホ」表記の起源だったのですね。さすがアスキー。

ちなみに2008年の記事ではありますが、iPhoneのカタカナ表記について、アップル広報としては以下のような回答をしています。

アップルジャパン広報部に問い合わせたところ、カタカナ表記はやはり「アイフォーン」。アイフォーンが正式な商品名。

「iPhone」と書いて「アイフォーン」と読む | ねとらぼ

アイフォーンというのが本家の正式な表記だったんですね。新聞などでも「アイフォーン」表記を利用しています。例えば以下の記事。

米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の日本上陸の仕掛け人、ソフトバンクの孫正義社長(当時)は2008年7月11日、東京都内で開かれた発売イベントでこう宣言した。

iPhone日本上陸15年 スマホの革命と進化を振り返る | 毎日新聞

これには理由があって、「アイホン」というインターホンの企業が日本にあり、その会社がアイフォンという商標を取得しているんです(こちらのリンク参照)。だからアイフォーンが正しいんですね。

結論としては、大人の事情によってアイフォーンになっている、というわけでした。

スマートフォンの略称は「スマホ」で、iPhoneのカタカナ表記は「アイフォーン」。それぞれの成り立ちを見ると、なかなか奥深い事実でした。

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