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わたしの一押し

今年も、ジメジメ、ムシムシ、苦手な季節がやってきました。
この季節は特に資料の健康状態が気になります。
お預かりしている貴重な資料や作品を無事に返却するまでは、ちょっとした変化も見逃せません。
あれ!こんな傷、えぇっ!こんな緩み、あったっけ…と気が付こうものなら、血の気が引くこともしばしばです。

調書を確認して胸をなでおろす毎日…。


借用して展示することの責任の重さを感じます。

さてさて、今回は、その貴重な「愛媛県美術館コレクション」の中からお勧めの絵画をご紹介させてください。

松原一の《裸婦像》です。

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※愛媛県美術館さんの許可のもと掲載しています。(転載不可です)


伊東深水、藤田嗣治、岡田三郎助…とビッグネームが並ぶ中、私はこの作品に惹かれます。

難しいことはわかりませんが、ただならぬ雰囲気…

明らかに異彩を放っています。

女性の身体から上気するような情熱的なガランス…

絶望なのか、それとも憎悪か…、はたまた愛憎か…など、表情が読み取れないだけに、想像を掻き立てられます。そこに、この作家の意図が隠されているように思われてなりません。


女性の表現も、美しさの形もさまざま、平面と立体という隔たりはありません。勉強になります!

松原一は、松山市出身の洋画家です。彼はやがて、愛媛県美術会(県展)の主軸メンバーとして愛媛画壇を牽引する存在となるのですが、同時に洋画研究所を設立し後進の育成にも力を注いでいます。

9月開催予定の「郷土ゆかりの作家展」においても紹介していきたいと思います。

松原一の若描きの作品、お勧めです。ぜひ、五百亀記念館でご覧ください!

ではまた。

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