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馬か鹿か

答え:鹿です。

大変ご無沙汰しております。
「忙しい」は理由になりませんが、仕事が立て込み、なかなかゆっくりとnoteに向き合う気持ちになれませんでした。

さて、これは、弥生時代の絵画土器。現在開催中の、といっても来月10日で会期終了となってしまうのですが、「まるっと日本画展」において展示させていただいています。

展覧会ポスター

日本画展なのになぜ?と思われるかもしれませんが、私の中では欠かせない作品でした。

ことの始まりを話すととっても長くなりますが、どうぞお付き合いください。

きっかけは、松山市考古館さんで開催されていた特別展「古墳時代のヤマト~奈良県唐古・鍵遺跡から纒向遺跡へ~」を観覧させていただいたことでした。

木製の仮面に引き寄せられ、足を運んだのですが、そこで私の目をくぎ付けにしたのは、大きな甕に描かれた「線描画」(絵画土器)だったのです。

イメージ画:藤原

ひどい画力は別にして、、、。
そこには、数人の人が船を漕いでいる様子が描かれていました。
省略されながらも力強い線で描かれたその絵にひどく感動した私は、「次回開催予定の『日本画展』では、絵画土器をぜひ展示したい!」と心に誓ったのでした。

大陸文化に影響を受け、やがて独自に発展した日本の絵画ですが、既にこの時代に出発点を見ることができるではないかと、そして、目に見えないものに対し、畏れ、祈り、捧げた道具に描かれた素朴でありながらも力強い絵にこそ、(縄文土器に岡本太郎氏が並々ならぬ力強さを感じたように)「日本の美術の源流」があるのではないか、こういったところにもアニミズム精神を「かたち」として見ることができるではないか、と直感。

そういったことで、今回、今治市の教育委員会さんにご協力をいただき、「阿方中屋遺跡Ⅲ」より出土した弥生時代の絵画土器を展示しています。

「馬が何ぴきも描かれていますね」
「これ、鹿なんですけどね」
「あ、失礼いたしました」

「で、この馬なんですが…」
「いや、鹿なんですけどね」

このやり取り数回。

鹿は、角が生え変わることから神聖視された生き物であったと考えられているそう。その再生する力をいただこうと、こうした道具に鹿を描き、お酒などを捧げ、その後、飲んでいたのか。などと様々に思いを巡らしてみる。。。

弥生時代の絵画土器から一つ視野を広げた新たな試みにもなりました。

ぜひ、ご観覧ください。

ではまた。




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