ボウリング業界への提言

以前、「io.LEAGUE 前期4日間を見て感じたこと」という記事を書きましたが、今回はボウリング業界を素人目線で見た意見を書こうと思います。
あくまで個人の意見ですので、聞き流していただければ幸いです。


ボウリング人気はどこまで衰退したのか?

ボウリングブームの1972年には3,697センターあったボウリング場の数も2024年2月現在では655まで数を減らした。
日本生産性本部が毎年発行するレジャー白書によると、1993年には4080万人いた参加人口も、2022年には480万人にまで落ち込んだ。


なぜボウリングの人気が出ないのか?

1.ボウリングに"触れる"環境が減っている

以前マネーポストWEBというサイトでボウリング離れについて調査した記事が掲載された。(こちら
この中でボウリングをしない理由として、「娯楽が変わりボウリングが選択肢にない」や「近くにボウリング場がない」と言った声があがった。
実際に私がかつて定期的に通っていた近所のセンターもここ10年の間に2か所が姿を消した。

ボウリングに触れる場が減っているのは原因の一つと言えるだろう。

2.ボウリングを"見る"環境が減っている

平成生まれの私はリアルタイムでは存じ上げないが、かつては「スターボウリング」を始めとした様々な番組が地上波で放送されていたと聞く。
またスポーツバラエティ「筋肉番付」でもたびたびボウリングコーナーの「PUNCH OUT」が放送されており、私もここでボウリングと中山律子プロを知った記憶がある。
しかし現在のテレビ番組において毎週放送されているボウリング番組は「P★League」だけだ。ほかに単発的にバラエティ番組でボウリング企画が放送されることがあるが、継続性があるとは言いにくい現状である。

ボウリングを見る機会が減っているのもボウリング人気に関わる原因の一つではないだろうか?

3.ボウリングを"知る"環境が少ない

  • 【野球】阪神タイガース → 180.4万人

  • 【サッカー】Jリーグ → 111.3万人

  • 【野球】NPB(日本野球機構) → 96.3万人

  • 【相撲】日本相撲協会 → 39.7万人

  • 【バスケ】B.LEAGUE → 36.5万人

  • 【競技麻雀】Mリーグ → 27.7万人

  • 【バレー】Vリーグ → 19.9万人

  • Rankseeker → 7638人

  • 日本プロボウリング協会 → 2555人

  • io.LEAGUE → 2555人

この数字は2月16日現在のX(旧Twitter)のフォロワー数である。

フォロワーの多いリーグやチームのアカウントを見ると、投稿が多く新たな
情報を得る機会が多いという共通点がある。試合予告や大会の結果、グッズ情報はもちろん練習風景やイベントのオフショットなどファンが見たい知りたい投稿を頻繁に目にする。
これらはリポスト(リツイート)を通して周りの人の目に届くことも多い。

一方でボウリング界では発信量の少なさが目につき、なかなか拡散されにくい現状である。


ボウリングファン獲得のために

ここでは予算や採算についてはまったく度外視して話します。

1.ボウリングに"触れる"環境を作る

初心者がいきなりボウリング場で投げるのはハードルが高い。そこで初心者やお子さんでもボールを投げてピンを倒す楽しさを伝える場を設けるのはどうだろうか?

1つ目は、「ショッピングモール等のイベントスペースに子供用ボーリングセットのような遊び感覚で誰でも楽しめるものでボウリングを体験するイベント」の開催。
休日に家族連れでにぎわう場所であれば老若男女問わず多くの人を呼び込むことが期待される。これを機にボウリングに興味を持つお子さんが出るかもしれないし、大人でもピンを倒す楽しさを見つけ実際にボウリング場に足を運ぶ人が増える期待が持てる。
そしてこのイベントでio.LEAGUEを活用するのも手だろう。各チームのホーム地で開催すれば、リーグのコンセプトの1つである「地域密着」にふさわしいと思う。またトップ選手と触れ合うことでボウリングプロに注目してもらえる期待も生まれる。
これらは、JPBAプロトーナメントでも開催地近くでプロ選手数名を集めた同様のイベントを開けば当日に足を運んでくれる人やRankseekerなどの中継を見る人も増える期待が持てる。

この手のイベントはスペース使用料や人件費がかさみやすいが、ボウリングを体験するハードルを下げるためには無料の方が好ましいだろう。

2つ目は「ボウリングのゲームソフトとのコラボイベント」の開催。
ボウリング単体のゲームソフトこそ存在しないと思われるが、任天堂のWii SportsやNintendo Switch Sportsなどゲーム内でボウリングが登場するゲームがある。このようなゲーム発売の際にそのゲームとコラボするのもありだろう。イベントであれば1つ目にあげた体験系イベントだと人が集まることも見込まれそうである。

こちらはゲーム会社との調整の必要性があるので実現のハードルはより高くなるだろうが、人気のソフトであればイベント等への集客を見込め、ボウリングを広める機会になるだろう。

2.ボウリングを"見る"環境を作る

上に述べたように、いま定期放送されているボウリング番組は「P★League」だけである。

こちらに関しては実現のハードルはかなり高くなるが、「地上波レギュラー番組」の実現が一番だろう。
私は調べるまで知らなかったが、1998年までテレビ東京系列で「ザ・スターボウリング」という番組が放送され、トッププロボウラーが出演していたらしい。内容もプロトーナメントなど真剣勝負からプロや芸能人が参加したゲーム対決までバラエティ豊かな番組構成になっていたようである。

今の時代にもこのような週1回のレギュラー番組を放送してみてはどうだろうか?
昨今はテレビ離れが叫ばれているが、スポーツ中継やスポーツバラエティは根強い人気があり、中継や番組内での出来事やトークがSNS上で話題になることも多々ある。またテレビは見ないがTverなど見逃し配信は見るといった層へのアピールにも繋がるだろう。

スポンサーの兼ね合いや制作費などで難しいことは百も承知だが、地上波のゴールデン近くで放送できればボウリング業界への注目度は上がるだろう。

3.ボウラーを"知る"環境を作る

野球を知らない人に野球を見せる際に、ルールを教えるよりも「大谷翔平って選手に注目してみて!」や「○○って選手はイケメン!」って言った方が初心者でも楽しめますよね。
ボウリングも同じように!と言いたいところだが、元々の観戦者が少ないのでこの手で広げるには何十年かかるか分からないのでここは別の手で。

業界Aの人と業界Bの人をつなぐ手段の一つにYouTubeでのコラボ配信というものがあります。そこでトークが上手いボウラーの皆さんが視聴者の多い芸能人やYouTuber、VTuberなどとコラボ配信してみてはどうか?
配信内容もボウリングと関係ないゲーム配信や雑談でいいと思う。
特にゲーム配信だと長い時間にわたって配信するので多くの視聴者を呼び込めるため、多くの人に名前を知ってもらえるきっかけになると思う。マリオパーティでもマインクラフトでもシューティング系でもジャンルは何でもいいが、雑談をはさみながらコラボできるものがいいだろう。
「このコラボしている人面白いけど、普段はボウリングの選手なんや。機会があれば見てみよ。」となれば、新たなファンを取り込むきっかけになり得るかもしれない。
特にラウンドロビンやTV決勝等に頻繁に勝ち進むようなシードプロだとより影響力があるのかなと思う。

4.ボウリングを"魅力ある"環境を作る

プロアスリートの凄さを表す数字の一つにお金というものがある。
昨年12月に大リーグの大谷翔平選手が10年総額7億ドルで契約を結んだニュースはまだ記憶に新しいだろう。

プロボウラーの収入として大会賞金・スポンサー収入・ボウリング教室でのレッスン代・リーグ戦やチャレンジマッチなどのイベント出演など多岐にわたるはボウリングファンであれば知っている人も多い。
しかし公に公表されている数字は大会賞金のみである。(承認大会の賞金も調べれば出てくるが…)

公にプロボウラーの収入としてハッキリと分かるのがこの数字だけであり、年間3位でも400万台しか稼げていないように映ることもある。
大変失礼だが、各球団から1億円プレーヤーが生まれるプロ野球や昨年男女合わせて12名が1億円超えしたゴルフ界のように夢のある数字には程遠い。

一番の方法として優勝賞金はもちろん全体の賞金を上げること。仮に10倍にあげても1億円には届かないが、夢のある職業の一つには見えるだろう。
賞金の資金についての問題があるため実現は難しいだろうが、賞金が増えればトーナメント賞金だけで生計を立てることもほぼ可能となる。新たなに出来た時間をボウリング業界外へのファン獲得に力を入れることに使えるなどボウリング人口・ボウリングファンの拡大につながっていくと期待できるのでないかと思う。

5.ボウリングを"広める"環境を作る

プロボウラーの中にはXやInstagramなどのSNSをやっている方も多い。今の時代はSNSで情報を知る機会も多く、これらを有効的に活用していただきたい。特にXは拡散性があるため周りに広めるのに適しているといえる。
先日行われたio.LEAGUEにおいても選手とそれ以外のプロとのSNSでの温度差に疑問を感じた。せっかくボウリングという競技を広めるチャンスなのだから自分に直接関係なくても積極的に情報を発信していくべきではないだろうか?今回は選ばれていなかった霜出佳奈プロが「io.LEAGUE勝利チーム予想キャンペーン」を独自に開催し盛り上げていたのが目立っていただけに他のプロも盛り上げに一役買っていただきたかった。

またSNSの使い方もボウリング関係の内容だけに止まらず、趣味や日常などについても積極的に発信してもいいだろう。犯罪に巻き込まれるリスクがあるくらい過度なプライベートの発信は必要ないが、どこで何の投稿が話題になるか今の時代は分からないので、投稿が増えればそのチャンスは増える。
仕事から趣味までこまめに投稿している岩見彩乃プロがいい手本と言えるだろう。


結び

以上、私が感じているボウリング界に向けた提言である。
今回は費用等については一切無視しているため実現には高い壁があるものも多々あるが、新リーグの発足など話題性が十分なだけにこれらを生かしてボウリング人口やボウリングファンが増えることを切に願いたい。