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愛と創世の『灼眼のシャナ』

 先月、ところざわサクラタウンで行われた灼眼のシャナのフィルムコンサートに行ってきました。

 会場であるところざわサクラタウンでは電撃文庫の30周年記念展が行われるということで、要はその長い歴史の数ある作品の中から、灼眼のシャナがコンサートに相応しいタイトルとして選ばれたワケですね。凄いぜ。ところざわサクラタウンにはペルソナ25thで初めて行きましたが、その後もらき☆たま展で声優さんのトークショーがある度に行ったりしましたし、もうお世話になりっぱなしだ。

 コラボフードのメロンパンを食した後に公演へGO。オーケストラなので落ち着いた感じかと思いきや、「無限の時が鼓動を止め、人は音も無く炎上する…」とお馴染みのナレーションから入り、爆音で『緋色の空』が演奏される。これには完全に頬をぶん殴られた気分。

 そしてそのアニメの映像をバックに演奏される大谷幸サウンド、KOTOKOさんの生歌唱を、なんと僕は最前列の、しかもド真ん中の席で聴いていた。嬉しすぎ!僕は恋に落ちた少女漫画の主人公のようなキラキラとした笑顔でずっとKOTOKOさんを見ていた気がするが、あれは気持ち悪かったのではないだろうか。反省。

 えー、そしてこれはですね…物販の抽選で当てた釘宮理恵さんのサイン色紙です!!!!!!!!
 最後の物販の時間、サイン色紙がまだ余っているということで何の期待もせずにダメ元で参加したのですが、やってしまいました…
 僕は釘宮ウィルス過敏性大脳皮質炎(英:Kugimiya Virus Hypersensitive Cerebral Corticalitis)を患っており、釘宮さんのラジオを聴いていたり、某アイドルのマスターで水瀬伊織のプロデュースをやっていたりもするので、嬉しいどころの騒ぎではない(後日ラジオにこの件でお便りを送って読まれましたヨ)。

 さて、会場には海外からのお客さんもいた。親愛なるシャナ大好き国家・台湾の皆さまはもちろん、どこの国からかは分からないが、白人種の方たちも居て驚いた。自分以外にシャナという作品を愛している人がこんなにも居るなんて思いもしなかった。いや、世代じゃない癖に何言ってんだ、酒も飲めないクソガキが…というのは分かる。仮にもラノベ界で天下を取っていた伝説的な作品です。それでもやっぱり驚いたんです。だって古のオタクたちにシャナの話を振っても『影響されてメロンパンを食べて〜』とか『くぎゅが〜』とか、そんな話しかしないんですよ。あそこまで壮大な創世神話を見せられておいて、そんな感想しか抱けないような人達しか見てこなかったから、灼眼のシャナを理解してるのはこの世で自分一人だけだと本気で思っていたくらいだ。というワケで、灼眼のシャナの話しよ!!!

※ここからは灼眼のシャナのネタバレを含みます※

灼眼のシャナのテーマについて

 まず、この作品が掲げる最も重大なテーマは「愛」であると考えています。それはシャナと悠二と吉田さんの三角関係だけにとどまりません。例えば、御崎市にやってきた者たちを思い出してほしい

“狩人”は──愛する“燐子”を確固たる存在にする為に
“螺旋の風琴”は──愛した者の描いた絵を復元する為に
“愛染他”は──愛する兄の欲望を叶える為に
“彩飄”は───愛する“ミステス”を取り戻す為に

 それぞれの行動理由は紛れもなく“愛”でした。シャナが生まれたのもメリヒムがマティルダを愛したことから始まるし、零時迷子が生まれたのもフィレスとヨーハンが愛し合ったことから始まります。
 御崎市での最終決戦…新世界創造という壮大なこの神話の最終決戦は、悠二とシャナの痴話喧嘩によって幕を閉じる。そんなこの作品が、愛おしくて愛おしくて堪らないのです…
 さて、この作品のなかで、“愛”は同じ立場の者にだけ起こるものではありません。人間、徒、フレイムヘイズ、ミステス、燐子…どちらかといえば、異種族間での“愛”の方が多く描かれているののは明白です。そしてそれは────こんなことを急に言ったら何をバカなことを、と思われるでしょうが───井上敏樹イズムだと僕は考えます。

超光戦士シャンゼリオン

 超光戦士シャンゼリオンとは、1996年に東映から放送された特撮番組である。白倉伸一郎と井上敏樹がタッグを組んだこの作品は、平成仮面ライダーのプロトタイプとも言える。が、正義感もやる気もない主人公、安っぽいAVみてーな画質、全然合ってない口パク…と、カオスっぷりを挙げると枚挙に遑がないほどの悪ふざけ作品である。こんなのがカーレンジャーと同年にやってたの嫌すぎ!
 さて、この作品の主人公であり私立探偵の涼村暁は、ひょんなことからシャンゼリオンとなってしまい、別世界・闇次元からやってきたダークザイドと戦うことになるのですが…このダークザイドは、元々住んでいた別世界・闇次元が滅亡の危機に瀕したために人間界へ移住してきたという設定で、彼らが人間界で生きるためには、人間の生命エネルギーであるラームが必要不可欠である。そして人間の姿に化けて社会に紛れ込み、その中には人間に恋愛感情を抱く者もいるのです。
 さて、そろそろお気付きかと思いますが、このダークザイド、もろに“紅世の徒”の設定元です。何を根拠に…と思われるかもしれないが、察しの良い方はお気付きでしょう。そう…

高橋弥七郎作品には必ずシャンゼリオンの小ネタが巧妙に隠されている

 これは『灼眼のシャナ』の前作、『A/Bエクストリーム』からの恒例で、分かりやすい物もあれば、血眼になって探さなければ見つからない物まであります。
 以上のことから、『灼眼のシャナ』が『超光戦士シャンゼリオン』から多大な影響を受けていることは明白です。“異種族の共存”という井上敏樹イズムを多分に孕んでいるのはこういうワケなのです。
 ここで面白いのは、そんな井上敏樹作品に影響を受けた『灼眼のシャナ』という作品のアニメ版の脚本を、小林靖子が手掛けているという点です。なんという運命のいたずら…!ちなみに、そんな小林靖子女史と高橋弥七郎先生の対談が『灼眼のシャナの全テ』に収録されていますのでみんな読むように。

 さて、灼眼のシャナSIVが出るということで今まで考えてたことを色々と描いてみましたが、こういった文章を描くのは初めてですので言葉足らずな部分が多いですね。もっと色々言いたいことがあった気が…
 シャンゼリオンに興味を持った方は、東映特撮ファンクラブで全話配信中なのでぜひ見てみてください。同じ井上敏樹氏の『仮面ライダーアギト』『仮面ライダーファイズ』『仮面ライダーキバ』とも比較して見ると面白いかもしれませんよ。ではでは〜

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