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君はデジモンワールドで少年心を燃やしてトイレを探せ

無茶を言うようですまないが、今こそ君は初代プレイステーションやプレステ2を引っ張りだし、デジモンワールドを起動しろ。

デジモンワールドは、1999年にプレイステーションで発売された『育てる!戦う!冒険する!』の三拍子揃った名作ゲームである。

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どうだこのパッケージのセンスのよさと言ったら!

飛び出すような構図のメタルグレイモンをはじめとした、そうそうたる顔ぶれの完全体デジモンたち…の中にピョコンと顔を出すピヨモンやパタモンの可愛らしさよ!

見ているだけで胸がワクワク、この時点で少年心が湧き上がってこないか。俺の目に補正がかかりすぎているだけだろうか。

そう、このゲームは、俺がプレステと同時に購入した思い出のソフトであり、人生でプレイしたゲームの中でも五本の指に入るほど楽しんだゲームだった。

しかしもう俺も34歳児だ。プレイしてからもう20年以上がたっている。記憶もどんどん薄れてきている。

そこでこのnoteを書いておくというわけだ。このゲームの何がそんなに魅力的だったのか、ここにセーブしておくのだ。

そして願わくばこれを読む君に、デジモンワールドの楽しさの片鱗でも伝わってくれると嬉しい。


『育てる』君はキノコ狩りの男になりトイレの場所を覚えろ

そもそもデジモンは「男の子向けのたまごっち」として発売された育成ギアであり、本来はバトルと同列に食事や排泄の概念が存在していたのである。そう、このゲームにおいてデジモンはまさに「生き物」だったのだ。

デジモンたちは時間経過により、「おなかすいた」「うんこしたい」だのの意思を示す。ダンジョンを攻略中だろうが敵に囲まれていようがお構いなしだ。

君は急いでカバンからエサを取り出し与えたり、トイレを目指して必死に走ったりしなければならない。

そのエサとなる肉にしても、はじまりの町にある肉畑から1日たったの3つ支給されるだけで、あとは自給自足を余儀なくされる。

食料の当てもないまま大食いデジモンにうっかり進化してしまったら大変だ。というかティラノモンだ。あいつの食欲は無限大だ。しかも簡単に進化できてしまう序盤のトラップだ。

そうなれば君の冒険は一旦ストップせざるを得ず、腹ペコのティラノモンと共に森で野生のキノコを探してうろつくことになるだろう。

トイレについてはより切実な問題である。

間に合わなければ、デジモンは悲しい声をあげてそのあたりで脱糞する。なんというか、惨めだ。(もちろんデメリットも多々ある)

どんなにかっこいい、美しいデジモンだろーが容赦なく野外脱糞だ。

道端がうんこまみれのスカトロゲームにしたくなければ、君が新しいフィールドに着いてまず確認すべきはトイレの場所なのである。


『戦う』君はマグマボムと回復フロッピーを交互に投げろ

うおおおおおっおもいっきり!おもいっきり!おもいっきり!やべっ回復回復やっべ回復!アッ、死…復活フロッピー…が…ない…。

バトルのシステムも良くできている。

マップ上に敵デジモンがうろうろしているシンボルエンカウント方式なのだが、敵と接触したらシームレスに(暗転したりせずに)その場でリアルタイムバトルがはじまる。

そして、主人公は基本的に「おもいっきり!」とか「ほどほど!」みたいな曖昧な指示しか出せず、あとはデジモンに任せるしかないのである。これもデジモンの「生き物」感を出すのに一役買っているうえに、絶妙な難易度を演出している。

また、戦闘中はアイテムウィンドウを開く間もポーズがかかったりせず、時間は進み続ける。死にかけてからウィンドウを開く、なんて悠長なことをやっていたら間に合わない。待っているのはプロミネンスビームによる無慈悲な死である。(※バードラモン戦)

なお、新しい技を覚えるためには基本的に敵からその技を喰らわなければならないシステムだ。

大抵の場合、最初に育てるデジモンは火炎属性に進化しがちなので、君はゴブリモンがら高火力のマグマボムを(何発も喰らいながら)習得するのがいいだろう。

そして序盤の壁であるグレイモンに対し、マグマボムと回復フロッピーを交互に投げ続けるのだ。ある程度のゴリ押しがきくのも、いいところである。


『冒険する』君は仲間を集め無職を増やせ

このゲームの目的のひとつに、ファイル島のあちこちに散らばってしまったデジモンたちを仲間にし、はじまりの町を発展させる、というものがある。

この作業も、地味に楽しいのだ。デジモンたちはバトルで力を認めさせたり、特定のアイテムを与えたりと様々な方法で仲間になり、町に来て能力を活かした商売を始める。

有名なのはモノクロモンか。彼はグレートキャニオンで雑貨店を経営しているが、君は彼の店でアルバイトし、経営手腕を見せつけることで仲間になってくれるのだ。そして町にも、雑貨店を開いてくれる。

他にもメラモンはレストランで炎のコックになり、ドリモゲモンは宝探し屋を開き、ケンタルモンは医者として町に貢献してくれる。

こいつが町に来たら、何をしてくれるだろう?というワクワク感も、強敵を倒すモチベーションになるというわけだ。

…ただし、後半になればなるほど、町は発展してやることがなくなるのか、強力なデジモンを苦労して仲間にしたのに、町に来たらほぼ無職、といったことが多くなってくる。

は、働けよ!という気持ちが強くなってきたら、そろそろラスボス戦も近いということだろう。

君は満足げに無職の群れを眺めて、そしてムゲンマウンテンに赴け。


『愛でる』君はデジモンたちをこよなく愛せ

このゲームに登場するデジモン数は、最近のゲームに比べるとかなり少ない。

世代は究極体がなく完全体止まりだし、そもそも完全体への進化難易度が異様に高い。

しかしそれでも、各デジモンのキャラ付けやイベントは、実際のゲームボリューム以上の世界観の広がりを感じさせる。

また、育成デジモンの動きや鳴き声、足音からはデジタルモンスターの生命の息遣いが伝わり、進化難易度の高さは裏返すとそのまま達成感へと繋がっている。

もし君が少しでもデジモンと縁がある人間なら…いや、このテキストをここまで読んでくれた時点で十分縁はできただろう。

ぜひ、名作デジモンワールドをプレイしてみてほしい。

古いソフトとしては少し高いが、その分の価値はあると考える。

プレステ本体がなければPC上で動くエミュレータだってある。


さあ行こうぜ。

え?

どこへって?

もちろん、デジモンワールドさ!

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