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32.『狼と香辛料』がとても好きという話

『狼と香辛料』って知ってますか? 2005年に出て以来ヒットし続けているライトノベルで、実は今も新刊が出続けています。2008年にアニメ化され、すごく人気が出ました。僕もアニメから入ってライトノベルを読み始めたくちです。そのアニメのリメイク版が2024年4月から放送され、また広く注目を集めています。

 現実とは異なるファンタジー世界なんですが、剣と魔法ではなく、知恵でたたかう商人とそれを支える狼の化身の物語です。原作者の支倉凍砂が言うには『聖書』と『金枝篇』をベースに作品を考えたらしいですが、特に『金枝篇』は狼についてそのものずばりな話があったことをインタビューで答えていました。

中世ヨーロッパの十字軍についての本を読んでいたら、当時の経済模様を解説した『金と香辛料』という本に出会い、それがとても面白くて中世のことを本格的に調べるようになりました。で、その合間に読んでいた『金枝篇』という世界中の神様の話を集めた本の中に、麦に宿る狼という豊穣の神様の話があって、民話的な雰囲気がとても良くて、いつかこんな感じの小説書きたいなあと思い、さらに当時読んでいた『さくらん』という漫画で大変印象的なシーンがあって(あと廓言葉超かわいいし、ラノベであまり使われていなかった)、ヒロイン像はこれだ!!! となって、三つ集めて『狼と香辛料』になりました。

狼と香辛料スペシャルインタビュー

 主人公のクラフト・ロレンスはそれなりにやり手の商人と言う設定ですが、めちゃくちゃ頭がいいわけではなく、そこそこに頭が切れるという感じ。行商人をやりつつも、いつかは大きな商会を構える夢を抱くごく一般的な良識人。対する狼のホロは「賢狼」を名乗り、実際に鋭い洞察力を見せてロレンスを助けたりします。この二人が道中で様々な儲け話に乗っかり、様々な困難を乗り越えていきます。スーパーパワーではなく知恵と工夫でなんとかしていくのが最大の魅力ですね。(たまに狼の力技が発生しますw)

 ロレンスは現代で言うところの個人事業主です。村社会に属して農作業をするのでもなく、商会との関わりは主従ではなくビジネスパートナーとして。非常に不安定な立場だけれど、自由に動けて商売のうまみは全て自分に返ってくる。当然リスクも自分で全て負わなければならないので、非常に困難な立場に立たされることも。本人も時に己の不安定な状態を寂しく思うこともあり、人間味があります。そんな決してスーパーヒーローではない彼が、賢狼の助けを借りつつも、自身の力で道を切り開いていくという展開が本当に面白いのです。

 今回のリメイク版は4月に始まったばかり。ニコニコ動画ならまだ無料で1話目が見られる(note記載2024/4/9現在)ので、気になった方は是非ご確認ください。

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