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動機づけについて

総合大学で教育心理学と教育相談の授業を担当しています。「動機づけ」の授業をしながら、ふと、ある風景がよみがえったので、書いてみることにしました。

動機づけとは

動機づけはモチベーション(motivation)の和訳。            外発的動機づけと内発的動機づけがある。               ー以下、リクルートマネージメントソリューションからの引用 (わかりやすい)心理学の考え方で、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つがあるとされている。外発的動機付けは行動の要因が評価・賞罰・強制などの人為的な刺激によるものであるという考え方に対し、内発的動機づけは行動要因が内面に湧き起こった興味・関心や意欲によるものであるという考え方である。一般的には、外発的動機付けの効果は一時的であり、人格的成長には必ずしもつながらないという見解があるが、外発的動機付けによって行動をしているうちに、次第に興味・関心が生まれ内発的動機付けへと変化していくこともあると言われる。

今回は、この「外発的動機づけによって行動しているうちに、次第に興味・関心が生まれ内発的動機づけへと変化していくこともある」に着目。

絵本を暗記して褒められた

おそらく、幼稚園か幼稚園に行く前か、                風景のように、おぼろげに残っている記憶がある。           初めて買ってもらった絵本を何度も読んでいるうちに、暗記してしまった らしいということ。そのものの記憶というよりも、「暗記しちゃったんだよね。すごいね。」という母の言葉に、そういえば〜そんな気が…と支えられている記憶だ。                            小学校高学年から中学生にかけて、学校の図書室に入りびたって、本を読んでいた。「絵本を暗記したのを母が褒めてくれたがうれしかった」ということがきっかけ(外発的動機づけ)で、「本を読むのが楽しい」(内発的動機づけ)につながったと考えている。

音読の宿題が好きだった

小学校の高学年の時、読み声カードという宿題があった。母が夕食の支度をしながら、楽しそうに聴いてくれていたことが記憶に残っている。    母は、昼間は父の事業を手伝い、家事をこなし、3人の子育てをし、その上、父方の祖母を介護していた。それこそ、寝る間もないくらい忙しい日々だったことだろう。母がどんなに忙しかったかということは、今だからわかることで、その頃のわたしにはわかっていなかった。          忙しい日々の中、もしかすると、母はわたしが音読するのを楽しみにしてくれていたのかもしれない。わたしは、母が楽しそうに聴いてくれるので、音読をするのがとてもうれしかった。                 「勉強をすること」がずっと好きなのは、「勉強をすると母がうれしそう」(外発的動機づけ)が、「勉強そのものが楽しい」(内発動機づけ)へと変化したと考えられ、「外発的動機づけによって行動しているうちに、次第に興味・関心が生まれ内発的動機づけへと変化していくこともある」のわかりやすい事例ではないかと思う。

ひとつの手段として

「学ぶことそのものが楽しい」という体験をたくさんすることが、学びへの意欲につながっていくのに越したことはないが、「学ぶことそのものが楽しい」というところへたどり着くのに、褒められるとか、認めてもらうとかという経験をたくさんすることも有効な手立てではないかと考える。









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