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「何度も言うよ 残さず言うよ 山月記を愛してる」2022/01/14

中島敦「山月記」が好きだ。そんなこと今更言うことじゃないんだけど、好きだ。
山月記とは、最も一般的な出会い方であるところの現代文の授業で出会った。文体に痺れたし、李徴は私だと思ったし。
そして何より教材の、江守徹の朗読CDが最高だったんだ。
最近その音源を動画サイトで見つけて、聴いて、やっぱり痺れた。
でも記憶の中の音源よりずっと優しい朗読だった。もっと朗々と語っていたような気がしていたが……多分これは私の捉え方の変化でもあるんだろうなと思った。
学校の授業なんていう超アウェーな場所で、派手なことをするでなく学生たちの心に残る(動画サイトのコメント欄にそういう学生時代の思い出を語ってるコメントがめっちゃある)んだからやっぱり半端ないなと感動した。感動、なんてなかなか使えない言葉だけど、そうとしか言いようがない。
そのあとも江守徹の山月記並の感動を求めて、プロのナレーターの方の朗読(別の短編だけど)を色々聴いてみたけど、あれほどまでにうわーーっとはならなかった。肩書きや個々人の演技プランとかそれぞれ違うから、どれがいちばんって話では本来無いんだけども。
私があまりに盛り上がっていたからなのか、少しあと、夫が「朗読youtuberってちょろそうだな」と口にした。おま……ばっ……さぁ…………戦争をはじめよう。

ちなみに、現在の江守徹も検索した。1年ほど前の所属事務所がらみのネット動画に出ていらっしゃるのを見つけた。
すっかりお髪も白くなり、声はしゃがれ、ときおり言葉に詰まっておられるご様子だった。どうか長生きしてほしい。

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