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店づくりで感じた、Pinterestのいいところ

来春オープンに向けて、店づくりを進めています。作りたい世界観はなんとなくあるものの、そのイメージを膨らませたり、膨らませたイメージを設計士さんに共有するのも、なかなか難しいものです。詩的な言葉を巧みに扱うことができれば言語化もできるのかもしれないですが、自分にはそんな能力はこれっぽっちもありません。

そこで自分が重宝しているのが、pinterest。内装からロゴデザインまで、めちゃくちゃ助かっています。今回はそのプロセスをGoogleの画像検索と対比するかたちで簡単にまとめたいと思います。

pinterestが優れているのは、個ではなく、集合としての伝達・共有

検索してイメージに近いものを見つける、という意味ではGoogle検索でもできるのですが、Google検索が個であるのに対し、pinterestは集合、というのがイメージ伝達に大きな差を生むと思っています。

たとえば、お店の内装は自然光の美しい、小屋のようなイメージを持っているのですが、それをGoogle検索で探すとこんな感じです。

左上の画像がイメージに近いのですが、他の画像は左上のと比べて分かる通り、全然求めているものとは違います。雑音でしかありません。Google検索だと残念ながらこれ止まり。またワードを変えて検索して、ドンピシャな画像を探すことになります。

一方、今pinterestで「カフェ内装ボード」を作ってまとめているイメージはこちらです。

なんとなく、描いているイメージが一発で分かる気がします。

こうしてボードとしてまとめるまでに、Google検索のように何度も検査してピンしているのですが、そういう個の検索が最終的に集合として見せられるのがpinterestのパワフルなところだと思います。集合として見せられることで、設計士さんへのイメージ伝達はスムーズに、ボードのURLを送れば共有もラクチンです。

次やろうとしていることは、このボードを見て設計士さんがイメージしたものを追加でピンしてもらう、ということ。そのプロセスを経ることで、向こうの頭の中とこちらのそれをすり合わせができるので、具体的な設計に入る前にかなりイメージのギャップは解消できそうです。

pinterestは検索結果の質がいい

もうひとつ、Google検索との違いは、同じ検索でもその結果表示される画像の質がいいということもあります。集合と個の違いと書きましたが、個で比べてもpinterestのほうが優っているケースが多いです。

たとえば、「wooddeck terrace」の検査結果のファーストビューを比べると……

こちらがGoogle検索。

こちらがpinterest。

この違いを言葉で表すのがなかなか難しいんですけど、pinterestのほうがいい意味で現実っぽくなくて「ワクワクする検索結果」なんです。あくまでイメージを膨らませる、それを伝達するのが目的と考えた場合、pinterestのほうがセレンディピティがあるというか、アイデアが膨らむんですね。

この違いは検査のアルゴリズムの違いと、ユーザーがそのサービスに求めているものの違い、によるものだと思っています。

Googleは、「ウェブ上にある”情報”から検索している」のに対して、pinterestは「人々のポジティブな頭の中から検索している」のに近いのではないでしょうか。

Google検索は見てもらうと分かる通り、設計や施工の具体例がヒットしているんですね。ユーザーの検索ワードに対して、Googleが「設計士や施工会社を探しているんだろう」と判断して、その"情報"を表示しているんだと思います。

一方でpinterestは同じような結果もあるんですが、全く違う、お店のホームページから引っ張ってきたものがあります。これはpinterestのユーザーが「こんなのいいなぁ」というイメージやアイデアをピンしているからだと思うんです。つまり、求めているのは"情報"ではない。この差は、お店づくりにおいてはかなり大きいと感じます。

実際に仕事の依頼にも繋がった

そんなことを感じつつ、pinterestでロゴのイメージを膨らませていたところ、ドンズバなピンを見つけました。

これは運命だと思い、海外のデザインチームなのですがメールで相談。正式にロゴデザインをお願いすることになり、今は最終の詰め段階です。

イメージを膨らませるのにも重宝しつつ、ドンズバなものが見つかれば依頼まで繋げられる。Google検索にはない、素晴らしい体験でした。

イメージづくりが心地いい

以上が、自分が店づくりをpinterestで進めていて感じたpinterestの素晴らしさです。

まとめると、

・個ではなく集合のイメージのほうがパワフル
・検索結果が「ユーザーのこんなのいいながベース」だからイメージが膨らむ
・ハイセンスなものが表示されるから、実際の仕事の依頼もしたくなる

という感じです。
なので、Pinterestに"情報"を求めると失敗すると思います。それはGoogle検索のほうが秀でてます。

Pinterestのいいところは、何よりも、イメージを膨らませて、まとめて、作っていく、伝達・共有していくプロセスが心地いいってことでしょうか。昔やっていた雑誌のスクラップに近い感覚があります。

最終的には予算や物理的な事情で現実的なラインに落ち着くのは当然なのですが、せっかくの自分が手がける空間なのだから、いったん膨らませてから収束させたいものです。それまでは無邪気にさせてくれ、、、!

またお店作りが進行するにつれ、このイメージがどう現実に降りてきたかはお伝えできればと思います。

10年先、20年先、未来の住民のために木を植えます。