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RPAエンジニアを経験するメリット


RPAとは?


RPA(Robotics Process Automation)を扱うエンジニアに転向して、今年で6年目になろうとしている。

RPAとは、パソコンの操作をロボット(=実体はソフトウェア)を使って自動化する技術のことである。
システム間のデータ連携などによく活用される。

本来、データ連携はAPIでやりたいところなのだが、基幹システムがフルスクラッチで構築され長年現役で稼働していたり、外部とのネットワークが遮断されたクローズドな環境だったりすると、そんなスマートにはいかない。

画面越しにデータを引っ張って、ストックしたデータを他のシステムに転記するといった作業を、ロボットが人間の代わりに代行するのだ。

基幹のリプレースが簡単にはできない事情


長老と化した基幹システムなのであれば、リプレースを検討すべきだという声はエンジニア界隈からよく聞く話なのだが、何しろお金がかかる。

数千万、数億円を払うほどのメリットがどれほどあるか。
セキュリティのリスクを理解するとか、致命的な事故が起こらない限り、リプレースは行わないだろう。
多少言い方は悪いかもしれないが、RPAが長老を延命させているとも言える。

ライセンスコスト


RPAを導入するにも、当然ライセンスコストがかかる。
ただそのライセンスコストも基幹リプレースに比べれば微々たるもの。(最近は物価高の煽りを受けてコストも上昇気味だが)
ということで、導入する企業が多い。

エンジニアと市民開発者


ロボットを作るにはエンジニアが必要だ。
エンジニアはRPAツールを使って開発をしていくのだが、従来のシステム開発のようにプログラミングをするわけではない。
フローチャートを作るように、図形を組み合わせてフローを組み立てていく。

プログラミングに比べると作成難易度が低めであることから、内容によってはエンジニアでない人(=市民開発者)がロボットを作成することも可能だ。

僕はRPAを活用したい!という企業に対し、
うまく活用していくためのコンサルティング、RPAツールの導入支援、ロボットの開発を統括するプロジェクトマネージャー(開発もする。下手だけど)、市民開発者の教育などをやっている。

RPAの仕事の魅力


長らくこのRPAというものに関わってきて、この仕事はIT業界未経験の人がエンジニアを目指すためのファーストステップとしては割と良いかもしれないと思った。

もしくは、上流工程(要件定義や設計など)に強みをもつエンジニアとしてキャリアアップしたい人も、一度RPAの仕事を経験しておくとプラスに働くと思う。

何が良いのかと言うと、発注側の人(以下、ユーザー)との距離が近いため、

ユーザーの要望を汲み取って形にする練習ができる

からだ。
要件を詰める練習とも言える。RPAの仕事は直接ユーザーと会話する機会が多い。

ITエンジニアとして就職した人ならお分かりの通り、直接ユーザーと会話して要件を詰める機会は誰でもすぐに与えられるわけではない。
最初はユーザーの顔も知らず、会話もしないまま、ひたすらPCに向き合ってコーディングすることも珍しくない。
僕なんか、コーディングどころか飲み会の幹事ばっかりやってたし。

ユーザーの顔が分からないというのは、個人的にはあまり良くない環境だと思っている。
ユーザーがほしいものを直接聞いて、その熱量を感じること。
開発の原動力の一つにユーザーの熱意があると、「よし、作ろう!」って気持ちになって生産性も上がる。
ドライにいくのがエンジニアの流儀だという人もいるとは思うけど、僕は"気持ち"で仕事をしたいと思っている。

ユーザーと親密になれば
「RPA大活躍してます!助かってます!それでご迷惑でなければ〇〇する仕様を追加してほしいんですけど、大丈夫でしょうか?」
といった感じで、会話もマイルドになるし、頼られている感じもする。

ユーザーにエネルギーをもらえる環境で、ユーザーと一緒に1つのものを作り上げていく経験は絶対楽しい。
そしてその経験が、エンジニアとしては上流工程の経験としてプラスに働く。この環境を手に入れない理由はないと思う。

ITエンジニアは慢性的な人材不足が続いているそうだ。

ただ、この人材不足というのは、いわゆる"デキるエンジニア"が不足しているとも言われている。
何ができればいいのかというと、ユーザーの要望を設計に落とし込むことだ。

AIに代替されにくい領域で活躍できるエンジニアが求められている。
その一つとして、ユーザーの熱量とか、言語化できない要望を汲み取る力、エンパシー(共感力)があるのではないかと思っている。
RPAの仕事はそのスキルを鍛えやすい。

気をつけること


注意したいのは、RPAの仕事に浸りすぎないことだ。僕のようにね!(笑)

RPA以外何もできない人と思われてしまうと、逆にキャリアの傷になりかねない。
1~2年程度みっちり顧客折衝の経験を積んで、コンサルタントになるも良し、企業のDX推進部門に転職するも良し、高単価のフリーランスエンジニアとして活躍するも良し。

ユーザーの反応が見られるのはモチベーションアップに繋がるし、自分が”誰かのために働いている”という実感も湧いて、生きがいにもなる。

嬉しい事ばかりではないが、辛い経験も後から笑い話にすればいい。
今お世話になっている企業の人も、情報システム部の時にあらゆる理不尽や喧嘩を経験したそうだ。
そんな経験を若い人に笑って話せるのは素晴らしいことだと思う。
そしてその話がことごとく若手にウケているのだからすごい。

どんな経験が自分のプラスになるのか。自分で考えて選択していくこと。
その選択の連続が、納得できる自分を形作っていくことは間違いない。




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