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台風の計画運休のあと、JRが「ありがとう」と言うわけを考えた

台風一過で灼熱の京都府南部。きのうJR京田辺駅の改札前を通ったら、こんな掲示が出ていた。

お客さまへ
ありがとうございました


台風の影響により、各線区で列車の運転を取り止めました。お客さまに多大なるご不便をおかけしましたことを、お詫びいたします。

夏休みのご旅行や帰省の日程変更などにご協力くださり、本当にありがとうございました。

(以下、運行情報を入手できるWebサイトとtwitterアカウントへの誘導と続く。)

これを一読して、ちょっと不思議だなと思いつつも、まずは「ありがとう」というメッセージを出すという1点で良いなと思った。公共交通機関からのメッセージとしては、けっこう珍しいと思う。

そりゃあ、物理的に電車が止まっているから旅行を中止したり移動日程をずらさざるを得なかったことを「協力」とは言わないと思うけれど(笑)、年を追うごとに災害対応の知見を積み上げて「計画運休」を広げていく流れを、「いいこと」とプラスに評価して受け入れることが、まあ協力なのかな。

8/15、新大阪以西の新幹線を丸一日止めるというのは、相当な決断だと思う。学研都市線を含む「山の中を通る細い路線」は、翌朝も安全点検で間引きしたり運転再開を遅らせたりしていた。台風10号は結果的に、幸い京都での影響はかなり限定的だったけれど、「リスク」は常に悪い方を想定して対策を考えるべきことだ。

多少不便に感じたり行動に制約が出る人がいても、「より多くの人がハッピーになる判断」をみんなが支持する流れが加速していったらいいと思う。このメッセージは、そういう社会を一緒に目指してくれてありがとうっていう意味で受け取りたい。


JR西日本という会社が過去どんなコミュニケーションをしてきたかは、松本創さんのルポ『軌道』に詳しい。2005年に脱線事故を起こした福知山線は、まさにJR学研都市線に直通して京田辺を通り、同志社前で折り返す電車だった。けっこう他人事じゃない。少しずつ2周目を読んでいる。

14年。社会の流れは案外、ちゃんと変わってきているのかもしれないよね。

🍻