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チームで使うAsana:生産性と信頼を築く7つのTips

10連休明けのスタートダッシュのために、プロジェクト管理ツール「Asana」の使い方について、少し踏み込んだ知見をまとめたい。

自分が所属するロフトワーク京都では、社内プロジェクトメンバー間の共有基盤として、Asanaが浸透してきている。(クライアントやパートナーとのやりとりは、Backlogを使うことが多い)

個人で使うだけでも十分便利だけれど、チームで使ってこそ真価を発揮するAsana。その「運用のコツ」を7つのTipsにまとめて紹介する。

英語版で使っているので所々英語名称ですが、2019年3月に日本語版がリリースされましたので日本語でも!

(1) 分かりやすい課題名と概要文を書く

第1のコツは、タスク項目を「読んだ瞬間にやることが分かる」ように書くこと。

たとえば「○○修正の件」ではなく、「デザイナーKさんに○○の修正を指示」 というように、【動詞】と【目的語】を正しく使うと明瞭になる。

また、チームで使う場合は特に、タスクの前後関係や関連情報との紐付けが重要になる。Description(概要)欄には、作業指示や要点だけでなく、対応するBacklog課題のURLを貼ったり、GoogleDrive上のファイルのURLを書いておいたりする。作業完了後にレビューするときも、作業の詳細をすぐ参照できることは大きい。

(2) 適切な担当者にパスする

よくある「なし崩し的にAsanaで管理できなくなってくる」パターンの一つは、「終わったのか終わっていないのかよくわからないタスクがどんどん滞留していく」事態。これを防ぐには、【作業が終わったらレビュアーに担当者を付け替える】というルールが有効だ。

後述するように、Asanaは基本的に自分が担当するタスクがプロジェクト横断で「MyTasks」に出てくるので、普段はこれを見ることになる。自分の担当作業が終わり次第担当者を付け替えるようにすると、項目が自分のMyTasksから消え、レビュー担当者のMyTasksに現れる。有料ユーザーなら「カスタム項目」でステータス欄を加えるテクニックもあるが、担当者の付け替えだけで十分機能する(タスク名の冒頭に[済]などと追記するとさらに親切だ)。要修正の場合は、コメントをつけて作業者に戻す。

とにかく自分がボール(担当タスク)を持っている時間を少なくする=「ボールを投げ合う」文化が定着すると、タスクの回転スピードがどんどん良くなっていく。担当不明なものはPMが一度引き受けて、適切な人にボールを渡す。

また、「タスクを立てた人」と「アサインした担当者」にしか通常通知が飛ばないので、他に通知を飛ばしたい人(サポートメンバーとか)がいる場合は、Followersに追加すると通知される。

(3) Like(いいね)で反応する

チームでボールを投げ合うときに欠かせないのが、気軽な「受領確認」の習慣化だ。Asanaでは「Like」(いいね!/かつてはハートマーク)を使って、関係者に合図を送ることができる。

新規タスクを認識したらLike。
コメントを読んだらLike。
ボールを受け取ったらLike。
自分担当以外のやりとりでも見かけていいなと思ったらLike。

もちろん、コメント一言書いてもいいのだけれど、いちいち文字を打たなくてもハートアイコンを押せばすべてinboxに通知されるので十分伝わる。ハート機能を使って「タスクが認識されているのかどうか不明な状態」を徹底的になくしていく。

(4) MyTasksを常に見る

個人のタスク管理は、MyTasksの画面がホームポジションになる。

↑連休明け/案件狭間でタスクが激少ない明日のMyTasksです。繁忙期はTodayに30個ぐらい、Upcomingに20個ぐらい並びます。

プロジェクトのタスクリストで各課題に担当者が正しく設定されていると、自分のMyTasksに全ての担当課題が出てくる。これを優先度と期日に従って整理し、「今日自分はこれだけ全て片付ければOK」という項目だけが”Today”の欄に並ぶようにする。これが「クローズドリスト」だ。

この整理を定期的に(たとえば朝一や、退社前に)行えば、あとは上から順番に片付けるだけ。整理ついでに、各タスクの所要時間を追記したり、タグで文脈を整理してもいい。(自分の場合、人に頼む系のタスクに @tell タグをつけてまとめ、優先で処理している)

MyTasks活用のコツは、MyTasks専用の属性であるToday (tab+y) / Upcoming (tab+u) / Later (tab+l) と期日(Due Date)の合わせ技。翌日以降にやる予定のタスクはUpcomingに、もっと先のものはLaterに設定しておくと、その期日が来れば自動的にTodayリストに移動するようになっている。

※この整理を機能させるためにも、Asanaで管理するタスク粒度は日をまたがない(数分〜長くて2時間程度の)細かさにするのがいいと思う。

各個人がMyTasksをうまく使っていくことで、リズム良くタスクを消化していくことができる。

(5) Due dateをメンテする

担当者の件に並ぶ「なし崩し的にAsanaで管理できなくなってくる」パターンは、タスクリストに「期限切れ課題が並んでいる状態」。締切を過ぎた課題の期日は赤文字で表示されるが、個人単位ではついずるずると放置してしまいがちだ。

だから、PMはとにかく「期限切れを放置しない」ことに神経を使うといい。面倒でも担当メンバーに「これ期限過ぎてるんで再設定してください」「この件どうですか?」と訊いて回るのが有効だ。

クリティカルパス上にないタスクの場合、期日は「努力目標」であって遅れの影響がないこともあるが、その場合も「適切な期日」を都度再設定したほうがいい。「期限切れを放置してもいい」空気が充満すると、そこからなし崩し的に全ての期日が無視されるようになってしまう(割れ窓理論)。

重いタスクほど何回も何回も期限が上書きされていくのだが、この履歴は全てタスクに記録されるので、あやしいものはやりとりの中で気づくことも可能。マスタスケジュールの中で遅れちゃマズいタスクが遅れている場合は全力でフォローする。

※「開始日」属性を使うことで、Asana上でガントチャートを普通に作れるようになっている。これは便利そうだけど、ここまで書いてきた運用スタイルとタスクの粒度がちょっと合わないので普段使いはしていない(線表作成専用のプロジェクトを別に作るのはありうると思う)。

(6) チャットツールを併用する

Asanaを皆が普通に使っていれば「課題コメント」で重要なコミュニケーションは十分だが、「雑談」やちょっとした連絡はしにくい。Conversationsという機能がそれ用なのだが、いまいち使い勝手がよくない(全PJメンバー宛のアナウンスには向いている)。

ということで、Asanaとは別にチャットツールを1つ併用するのは合理的な選択だと思う。Slackがベストだと思うが、うちではChatworkを使っている。これはプロジェクトごとに、というより、組織全体で使っているチャットツールに乗ればいいと思う。

Asanaの各課題はパーマリンクを持っているので、メンバーの反応がない場合「○○さんこれ確認しといて」とURLつきでつつくのが早い。とはいえ、chatでいちいちつつかなくても「Asana上でちゃんと受領確認してくれる」人が増えれば、徐々にすべてAsanaで完結するようになる。

(7) MTGで定期メンテする

ここまで述べてきたこまごました「ルール/運用スタイル」は、一朝一夕に全メンバーに習慣化しないと思う。だから、PMが根気よく定例MTGでフォローしていくことが必要だ。担当者設定のこと、期日管理のこと、軌道に乗るまでは口を酸っぱくして言おう。

頻度はプロジェクトの性格によるが、テンポ良く進めるにはやはりデイリースタンドアップ形式で、朝始業時に10分ぐらい集まって、リストを見ながら「今日やること」と「ちょっとした共有、相談」の機会をもつのが最良だと思う。と書きながら、最近こういう丁寧なコミュニケーションを怠っているのでがんばりたい。

一部のメンバーが遠隔の場合はすんなり行かないが、それでも週1〜2回はオンラインMTGの時間を設け、画面共有しながらすり合わせができたらいい。「リストを見ながら打合せ」も、Asanaが生きるスタイルだ。

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Asanaが(他のツールも本質的には同じだけれど)真価を発揮するのは、メンバーみんなが「Asanaが信頼できる状態であるように保つ」努力をするとき。いくつかのTipsを習慣化してしまいさえすれば、維持にかかるエネルギーは少なく、そして、気持ちいい。


信頼に基づくハイスピードなプロジェクト運営を、実現していこう。

▼参考記事(英語)


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