見出し画像

金色の写経セット

さとなおさんが懐かしの「般若心経現代語訳」を紹介していたので、やっぱ般若心経はいいなあと思っていた。そこで実家に帰った折、母に「写経セットなかったっけ」と聞いてみたら、

あった。

しかも紺紙に金泥で書くタイプだ。金文字書くのなんて生まれて初めて。8歳の娘が硯に金泥をごりごりすって、それで書く。金墨の使い心地はそんなに普通の墨と変わらないけど、粉がこぞんでしまうので、時折混ぜるようにして筆先に金を乗せる。

幸い昨年末にちょっと筆ペン文字の練習してて、それで書き初めもけっこういけたので、わりと細い写経筆も大丈夫。1時間以上?かけて一周目を書いた。

心頭滅却して字を書くのは楽しい。好きな字もある。字面で好きなのは遠離一切顛倒夢想究竟涅槃っていうあたり。

そして内容。2010年頃が初出とされる「黄色先輩」の現代語訳はまあまあ意訳入ってると言われるけど「大丈夫だ」っていう強いメッセージ性で編集されてるのが好き。特に好きなのは、最後ぎゃーてーぎゃーてーのところ。

『唱えよ、心は消え、魂は静まり、全ては此処にあり、全てを越えたものなり。』
『悟りはその時叶うだろう。全てはこの真言に成就する。』

いろいろなメタファーで「写経」っていう言葉を使うけど、元祖写経は心が落ち着く。母は、随分「書」をやっていたようだけど、胃を悪くしてから前傾姿勢が苦しく、すっかり書くのが厳しくなったそうだ。引き出しにしまい込まれていた道具が日の目を見て嬉しいらしい。

京都に帰る前、もう一周は、腹に力を入れて書く時間が取れそうだ。


🍻