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政治家の個人演説会に参加して学んだこと

※【注】参院選前ということで珍しく特定政党に寄ったガチ政治ネタを書いてみますが、「noteで政治の話はちょっと…」という方はぜひそっ閉じしてください。明日から日常系に戻します。

7月14日土曜18時、京都マンガミュージアム(旧 龍池小学校 講堂)で行われた、立憲民主党公認・増原ひろこ候補の個人演説会に参加した。政治系の集まりに行くのは2回目で慣れないけれど、色々面白い発見があったのでメモを書く。

※見出し画像、ここからお借りしました…!

背景

筆者は立憲民主党結党以来(2017年衆院選、10月3日@有楽町の演説)の支持者で、サポーター組織「立憲パートナーズ」にも発足時から参加している。2018/8/18の京都府連タウンミーティングにも参加した。

政策についてもそれなりに勉強しつつ、徹底的にわかりやすい枝野さんの演説の組み立てや、twitterアカウント運営など、質の高いコミュニケーションデザインのかたちにも興味を持って追っている。

note引っ越し前の個人ブログ記事から。

「応援演説」は、他集団の利益を代弁すること

さて、講演会は門川大作・京都市長と、続いて西脇隆俊・京都府知事の応援演説からスタート。京都選挙区(定足数2)では、この2人の自治体首長が、自民党の西田昌司候補と増原候補の両方に応援で入っている。

門川市長は「KYOTO」の視点、西脇知事はどちらかというと京都市を除いた京都府の「北部(舞鶴、伊根)」や「南部(木津川、京田辺)」に暮らす人のことを話す。それぞれの守備範囲に照らして、増原さんの政策の方向性が「首長を選んだ地域有権者の期待と合っているか」「自治体が認識している地域課題の解決に議員としての活動が寄与するか」を明らかにしていく。

応援演説で「自分のことばかり話さずに、自分の文脈にあわせて『主役』を応援する」話の組み立て方をするのは、難易度が高い。つい「いつもしている自分の話」が先行してしまう。その点、市長・知事とも経験値豊富な印象を受けた。

そして、「はたらく仲間」を代表する、連合京都の廣岡会長。この会ではいろいろな人の話の中に「はたらく仲間」という言葉が顔を出す。数が多い労働者層/庶民の利益を代表する立場。一緒に闘いましょうというオーラを出していく。

応援演説はただの来賓祝辞ではなく、「その人の当選が、どの集団にとって利益になるのか」を明示する役割がある。ストーリー次第では、かなり力を持つと思う。

明確な軸のある主張の組み立て

上述した3人の演説を受けて、増原さん本人の演説が始まる。

増原さんは「LGBT当事者」という、ひとつのわかりやすい属性を背景に、マイノリティの生きづらさを政治で解消するというビジョンを掲げる。ただ、その話だけでは「その属性じゃない人」に届かない。「綾部のおばあちゃん」の話、「生きづらさを抱えて死んでしまった活動仲間」の話、さまざまなエピソードを用いて、生きづらさを抱えている人が世の中には大勢いること、多様な「生きづらさ」に寄り添う政治のあり方が社会全体の希望になることを訴えていた。「政治は、希望なんです」という総括もよかった。

国会議員としてカバーしなければいけない範囲は、経済/産業/労働/エネルギー/選択的夫婦別姓などの社会制度/教育/福祉/医療など本当に幅広い。各領域の政策に共通する「考え方の軸となるコンセプトワード」を設定することは、全体像を把握するのにも役立つし、ひとつひとつの提案に説得力が増す。

引き込まれる演説の「抑揚」と「間」

続いて枝野代表。そもそも平明で人を引き込む話し方が人気の枝野さんだけど、ライブで聴く演説はほんとうにすごかった。オーケストラを聴くような話の組み立て方、間の取り方。穏やかな普通の話し方の途中に、少しずつ力のある投げかけを重ねていく。クライマックスでは続々と聴衆から「そうだ!」と応答が上がる。終盤ではまた少し冷静に戻る。

話すスピードを速くして、間を意識的に長く取ると、攻撃的・戦闘的なスタイルになる。廣岡さんのリズムはまさしくそうで、「武闘派」という印象でちょっとこわい。

京都府連代表の福山哲郎幹事長は、案外「絶叫系」だ。支持の共感を呼びやすいけれど、長く続くとちょっとつかれる(彼の場合は、それが地元での愛されポイントのひとつなのかもしれない)。

引き込まれる演説のポイントは、「テンションのバランス配分」にあるのかなと思った。「サビ」を盛り上げるには、前後で「抑える」リズムが必要。去年聴いた辻元清美さんの話し方もほんとうに上手かった。テレビ報道では「サビ」だけ切り取られたりするから全体のリズムは分からない。ライブで聴く経験を重ねて、研究してみたい。

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1時間ちょっとの尺で6人が話す講演会。案外、増原ひろこさんという候補の姿が立体的に見えてくる面白い時間だった。

そして、「政治的(political)」な案件も少なくないプロジェクトマネージャーにとって、シビアな利害調整の世界である政治家の立ち居振る舞いから学ぶことはたくさんある。書き切れないが「野党共闘で候補者を下ろした国民民主党関係者への感謝の辞の挟み方」や「裏方として会を仕切る田中けんじ府議チームの手配力」も印象的だった。

国政選挙の期間は、政治の世界のひとたちが身近に降りてきてくれる美味しい機会だ。今週末の投票日以降も、政治家たちのあり方を注視していく。

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