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はじまりの呼吸 ロンドン封鎖日記 #14 ひとまず完結?

パ…パブが再開! …けど壮絶なコレジャナイ感…!

波乱の2020もあっという間に半分が過ぎ、7月突入です。3月にロックダウンに入ってから4ヶ月、100日以上を経てついにロンドンでもロックダウンが緩和されました。完全封鎖解除とはいかないまでも、先月のリテイル業再開に続き、飲食業が再開しました。月末にはレジャー施設再開が予定されています。

いやー長かった。思い返せば色んな事がありました。14回にも及んだ封鎖日記を今読み返して見ると、ほぼ週単位で目まぐるしい展開。世界中が右往左往してる様子がありありと蘇ってきます。改めて、なんつー無茶苦茶な年なんだ2020

しかしこうして封鎖緩和に至った今も尚、パニック脱出感は正直皆無です。相変わらずCovid19のグダグダは世界中で絶好調に継続中だし、ロンドンも眠りから覚めたとは到底言い難い。まだまだ再開できないビジネスは沢山あるし、オフィスだって一応オープンとはいえあれこれ制限がかかってて、在宅できる人は基本継続です。ニューノーマルスキームというやつです

4ヶ月ぶりのパブ飲み

規制緩和初日、ローカルビジネスをサポートしようという事で、馴染みのパブに行ってみました。地下鉄に乗り、SOHO地区に出て、パブで1杯飲む、というただそれだけの事。なのにその全てのプロセスにおいてコレジャナイ感

現在ロンドンの公共交通機関利用はマスク着用必須で、その旨のポスターがそこかしこに張り出してあります。週末の繁華街地区といえど地下鉄内の人はまばら。殆どみんなちゃんとマスクしてて、車内でもお互い距離を空けて座っています。すごいディストピア感。SOHOに出ると、若干人出がありました。似たような事考えた人達が繰り出して来てるようです。1ヶ月前に自転車で来た時は本当にもぬけの殻だったので、若干の活気の戻りを感じます。が、未だ開いてる店はまばら、所々の通りは封鎖されています。

馴染みのパブに着くと入場制限がかかっていて、入り口でしばし待たされました。2人分のテーブルが開いてると言われて、説明を受けます。床に貼ってある矢印に沿って移動する事。アプリをダウンロードして、それを通してオーダーする事。入り口には消毒液。各テーブルは距離が離されており、客が入れ替わる度に店員がテーブルを拭き、椅子にも消毒液を吹きかけています。アプリでオーダーしたビールがテーブルに運ばれてきて、トレーから直で受け取ります。そこでようやく4ヶ月ぶりのパブ飲み乾杯。

なんだこれ。

俺の知ってるパブ飲みと違う。馴染みのはずなのに全然知らないパブだ。大体テーブル予約とかテーブルサーブとか、隣の席の人とロクに話せもしないとか、パブの意味ねーじゃん。というか、やってる側も採算合わな過ぎだろと思うが、こんなんでも開けないよりマシって事なのか。ロンドンの別地区に住んでる友人の誰かが来てるかと思ったけど、とてもそれどころじゃない感じ。こりゃーまだまだしんどい状況は続きそうです。1杯だけでそそくさと退散。後でニュースを見ると、夜にはSOHO大混雑、封鎖された通りがそのまま大ストリートパーティに変貌していました。酔っ払いにはニューノーマルなど無意味。またクラスター来るで。

欧州パンデミックおさらい

3月初旬にイタリアから炸裂したコロナ・パンデミック。続いてスペイン、フランス、ドイツ、ヨーロッパ全域、そして2週間でイギリスに到達。イギリスは一瞬対応を迷いつつも3月中旬に全土ロックダウンに突入しました。

いきなり全てが凍結し、静寂に包まれるロンドン。情報も乏しい中、人々はこれを現実として受け入れる事もできずただ呆然。怖いとか心配というより思考停止に近かったような。全てのサービス業は止まり、いきなり在宅勤務になって、全ライフサイクルが豹変。ホリデープランなんかも全キャンセル。パニック買いが起きたり、#ClapForYourCaresでグッときたり。この先どうなっていくのか、誰にも何もわからないという大混乱の幕開け。

4月。パンデミックは勢いを増し、全世界に広がって行きます。イギリスでも被害が急拡大、ボリス首相までコロナ入院とか、混乱にも拍車がかかっていきます。状況の整理や情報分析が活発化し、各国とも実態把握と対策にてんてこまいです。日本でも緊急事態宣言が出されたりしてました。パリピvs自粛警察みたいな事も世界中で起こり始めます。ポストコロナとかウィズコロナとか、若干冷静なシミュレーションも出始めます。ZOOM飲みとかが一瞬流行り、すぐ廃れました。そんな中、発生源である中国は一抜けで封鎖解除へ。

5月。イギリスが死者数でイタリアを抜き、欧州最大被害国となります。更にアメリカ・ニューヨークでコロナ大爆発が起こり拡大、死者数は一気にイギリスをも抜き去ります。一方、ピークを脱した南欧では、少しずつ規制緩和が始まりました。民間レベルでは、2ヶ月経ちみんなロックダウン生活に慣れ始めます。スローライフを満喫する人、逆にストレス溜まり過ぎてネットで暴れる人、Twitterが煉獄と化します。下旬ともなると夏気候の到来と共に、もう限界とばかりにビーチに人が押し寄せてクラスター発生とか。

6月。ピークは脱したものの依然として毎日の死者数が下がり切らないイギリス。しかしゆっくりと規制緩和が始まります。一方コロナ爆裂中のアメリカで#BlackLivesMatterが起こります。内燃していた問題をロックダウンが引きずり出していきます。コロナもお構いなしの大暴れ、もう手の施しようがないカオス。中南米でも被害が拡大。

この時点までの半年間で全世界の死者50万人超。北南米では尚も拡大中。その直接被害に加え、経済的被害として中小企業のみならず大企業でも倒産する企業が出始めています。夏の観光客掻き入れ時を逃す訳にはいかないイタリア、スペインなどは、半ば強行気味に国境を開き、ホリデー呼び込みを開始。コロナで死ぬか経済で死ぬかのサバイバルは今後も続いていきます。

そして7月初旬現在

Covid19のデータは概ね変化なし。9割は無症状または軽症。しかし1割は重篤化。高齢者、基礎疾患や肥満者はハイリスク。特効薬は未だ無し。ワクチンは全世界で15ラインくらい走っており、幾つかが治験段階ながら、当初からの予測通り年内普及は難しそうです。

各国とも感染者数は増減を繰り返していますが、死者数は下がって来ています。ハイリスクグループの保護と、感染者の追跡が機能している模様。でも油断するとすぐにアウトブレイクが起きます。追跡アプリは完全強制の強権国家とかでなければ実用性は低そう。

経済優先の対策をとったアメリカ、ブラジル、スウェーデンなどは結果大きな被害を出しており、方針再考を余儀なくされています。一方で、比較的うまくやっていたドイツなどの国でもクラスターがちょいちょい発生しており、経済的ダメージも回避できず。どっちへ行こうが近道は無いのだと思い知らされます。

アンロックから程なく、レスター市やオーストラリアのメルボルンなどはアウトブレイクにより再ロックダウンになりました。中国でもいまだに都市封鎖が起きています。こういうのを延々繰り返して行くことになりそう。

結局最初の予測通り「ワクチン普及までどうにか生き残った者勝ちのサバイバル」に変わりない訳です。できる事は相変わらずマスク・手洗い・密回避。

とはいえ「Covid19のバリエーションが増えて、ワクチンも決定打にならない」だとか「抗体の持続期間が3ヶ月程度しかなく、集団免疫獲得は困難」という話もあります。毒性は弱まっていくので、このままインフルエンザのような位置に落ち着き共存していくのかもしれません。

どの道やはり1年程度では終息は無理そうなので、少なくとも3〜4年スパンのサバイバルプランを立てておいた方が良さげです。

はじまりの呼吸

パンデミックは自然摂理の一部とも言える弱者淘汰の波です。肉体的、経済的、社会的、技術的、あらゆる弱者が振り落とされていきます。それに抗う人類。どうにか弱者をすくい上げつつこの波を乗り切りたい。

ならば摂理には摂理で対抗です。淘汰という摂理に対抗するのは「適者生存」の摂理であり、即ちそれは変化です。環境の変化に適応したものが生き残る、自然選択の摂理です。今、環境は変化してしまいました。つまり、以前が良かった、元通りに戻りたい、という選択肢はもはや無くなった訳で(そんな選択肢は本来存在しませんが)、変化を拒むもの、適応できないものは恐竜のように絶滅淘汰されていきます。

僕たちは、企業は、社会は、国家は変化しなければならない。変化適応し、新世界に新人類として生まれ変わる、はじまりの息吹、はじまりの呼吸です。

直近の未来像としては、重症化リスクの低い若者が経済を回し、それをテクノロジーでサポート。ハイリスクや適応できない弱者の側を隔離保護、という方向しかもはや無いのかもしれません。そこに至るには相当な社会大変革が必要になりますが、やれるのか人類。

パンデミック第一波はひとまず終息傾向ですが、経済の激震はこれからです。そして冬には第二波の危険。まだまだコロナは続きます。まずはトランプみたいな恐竜が淘汰されていくフェーズが程なく始まります。


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