ファンメイド・ニンジャスレイヤーカード【シャイニーテンポ】 02

シャイニーテンポ / Shinytempo

サイバネアイに固執する、元盲目の少女ニンジャ。テンションが高く、光るものが大好き。世間知らずで、好奇心旺盛。
家を持たず、夜ごとネオサイタマを飛び回る不良娘。


ニンジャソウル:ムシケラ・ニンジャクラン(ソウル格は不明)
身長:147cm
外見特徴:最新型サイバネアイを常時発光させる少女
戦闘スタイル特徴:LAN直結オートマチックガンと致命的殺人サイバネアイビームによる遠隔攻撃


「ピカピカしてるって事は、キレイで、カワイイで、つまり強いんだよ!光っていないのは存在していないって事とおんなじなんだよ!!」

イサキメモ:彼女は生まれつき盲目でした。ショーユ工場の廃液が垂れ流される川の下流で生まれた彼女は、それでも母や父の体温だとか、ちょっと粘ついた川の水の冷たさだとか、そういうので十分幸せだったのです。
ラジオを聞いて、『外側の世界』に思いを馳せることはあっても、それは自分には永遠に見る事のできないファンタジーの世界として空想するだけの物でした。
ワンルームのカンオケ・マンションとその周囲100メートル以内が、彼女の全世界。
親は悪党ではありませんでした。確かに娘を愛していた。時には彼女の髪や血を売ることはあったけれど。でもそれもどうしようもない事だったのです。
でも結局、いつかはどうにもならなくなる。娘が13を迎えて一ヶ月立った頃、親は5万を受け取って、男を娘の寝室に入れた。娘は怯えて、父親の名前を叫んだ。そうすれば何時も、父親は助けに来てくれたから。
父親は遠くから叫んだ。大人になってくれと。
その瞬間、少女は暗闇に手を伸ばした。指先は男の額の生体LAN端子に触れ、光が走り、少女はシャイニーテンポになった。男の眼を通し、彼女は初めて世界を認識した。限りなく狭い自らの世界を。
……彼女は男を川に投げ捨て、親を足腰立たなくなるまで叩きのめし、家を飛び出した。
シャイニーテンポは自分はオトナだと事あるごとに主張するけれど、内面は幼い少女そのものだ。無知で無垢で、初めて接する世界への期待と恐怖に今にもはち切れそうになっている。他者に対する拭い難い不信感と共に。
だから彼女はソウカイヤ所属だが、寮に入ることを恐れ、ホームレスめいて廃墟を転々としている。明るすぎる世界のどこにも、彼女は帰るべき家を見つけられずにいる。安心できる場所は何処にもない。眠る為に目を閉じる事すら、彼女には耐え難い恐怖なのです。暗闇はショーユの甘ったるい匂いを思い出させる。あの狭い世界を。
彼女は蛍光色に輝くこのネオサイタマから、穏やかな家の光を見つけられるのでしょうか?


2019/09/26 追記

結果として、彼女は死んだ。穏やかな家の光を見つけることも無く。

だがそれは、彼女が他者の光を奪い続けたが故のインガオホーであり、避け難い結末でもあったのでしょう。守ってくれる相手に裏切られた少女は、自分以外の守られた人間に対してドロついた憎悪を抱え込んでいました。

そんなもの、信じられる訳がない。この世の理不尽に曝されれば、必ず誰もが愛する者を裏切るんだと。彼女は思い込んでいた…いや、そう信じたかった。だからニンジャになった自分自身が、理不尽を押し付けて回った。その結果、死神が訪れた。理不尽で平等な殺戮者が。

けど、最期に彼女は飛行機に乗って輝く太陽を見た。ニンジャになって、盲目でなくなったから見れた景色だ。死ぬ刹那に、ビルの屋上で、ビアガーデンで、夜のお屋敷で、酒場で、色んなところで出会った友達を思い出した。ニンジャになったから出会えた人たちで、ニンジャになったから広がった世界でした。

いくら逃げようとも彼女は檻の中、鎖の中でした。だけど、それでもその内側で起こった事、出会えた人は、彼女にとっての幸福だったのでしょう。太陽に手を伸ばし、彼女は落下して死んだ。

だから、彼女の物語はここでおしまいです。

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