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『負けるもんか。』

台風19号の被害がたくさん出ていて、いますぐにでも被災地に飛んでいきたい。
でも、すぐに飛んでいけない自分が悔しい。
いろんな状況があると思います。
どうかいまは、負けないでください。
天野伊佐子

天野祐吉のCM天気図 (2012年4月11日掲載)


負けるもんか

 「負けるもんか」というホンダのCMがいい。「負けるもんか」という言葉がいい。

 終始、中ロングでとらえた静かで即物的な映像もいい。

 タテ1列に並んだホンダの歴史的なクルマたち。それをうしろから前へ、カメラはゆっくり映していく。
 
 で、ナレーション。

 「頑張っていればいつか報われる。持ち続ければ夢は叶(かな)う。そんなのは幻想だ。
 
 たいてい努力は報われない。たいてい正義は勝てやしない。たいてい夢は叶わない。

 ……けれど、それがどうした。スタートはそこからだ。新しいことをやれば、必ずしくじる。

 腹が立つ。だから寝る時間、食う時間を惜しんで何度でもやる。さあ、きのうまでの自分を超えろ。

 きのうまでのHondaを超えろ」

 すると、並んだクルマの先頭にいたNSXコンセプトが、ゆっくりと動き出す。で、白い画面に、

 「負けるもんか」という文字が現れて終わる……。

 ホンダが「負けるもんか」というときには、失敗に負けるもんかとか、競争相手に負けるもんか、

 ということだろう。が、いまこの言葉は、「頑張ろう」とか「きずなを大切に」と言った言葉より、

 確実に人びとに響く。届く。

 津波や原発事故の被害にあわれた人たちだけではない。
 
 この国はいま、人それぞれにそれぞれの問題をかかえて、

 「負けるもんか」という思いを抱いているときじゃないか。

 そんな思いに、このCMの「負けるもんか」という言葉は、まっすぐ届いてくるのだ。

 たとえば、脱原発のために「頑張ろう」と言う人よりも、

 原発の再稼働を強引に進めようとする人たちに「負けるもんか」と言う人のほうが、

 ぼくはなぜか一緒に飲みたくなっちゃうんだよね。

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