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「酒は百薬の長」は本当?(1): Jカーブ効果

言うまでもなく、大量の飲酒は健康に悪いですが、
一方、「酒は百薬の長」といって、適量の飲酒なら健康によいと言われています。ちなみに、適量とはアルコールで1日平均20g程度です。

それには一応、科学的根拠もあります。例えば、イギリスでの10年にわたる調査によると、適量のお酒を飲む人は全く飲まない人や大量に飲む人よりも死亡率が低いと1981年に報告されました。

これがJカーブ効果と呼ばれるもので、飲酒量を横軸に、死亡率を縦軸にとると、グラフの形状が「J」の字に似ることからそう呼ばれています。

飲酒のJカーブ曲線        「日本酒の科学」より引用

つまり、適量までは死亡率が下がり、それを超えてくると死亡率が上がってきます。このグラフは、酒の健康効果を示す図として有名で、酒造会社を始め、酒愛飲家や推進派?の方々がいろいろなシーンで持ちだしてきます。

しかし、このJカーブ効果が成り立つのは虚血性心疾患や脳梗塞だけで、他の病気では成り立たない事がわかっていますので、この効果を過信するのは危険だと思います。やはり体調が優れない時はできるだけ控えたほうが無難ですし、「適量なら健康によい」と言って、飲めない人に無理にすすめるのも厳禁です。

さらに、最近は適量でも飲酒は健康によくないのではないか?という説も報告されてきています。次回は、それについて紹介しようと思います。


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