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デューデリジェンス何するか知ってる?

VCに関する記事や本では目にしないことはないデューデリジェンス。
起業を精査するっていうことはわかるけどもう少し詳しく何をやっているのか調べてみた。

投資の流れ

デューデリジェンスは投資の流れの一部であり、投資全体のフローは以下の通り。
1.NDA(Non-disclosure Agreement)(秘密保持契約)の締結
2.タームシートの締結
3.デューデリジェンス
4.投資契約締結
5.投資実行

1.NDAは投資を申し込む際にスタートアップは定款や内部情報などの書類を投資サイドに渡すため、それを外部に流出させないようにするために締結する。
2.タームシートとは契約内容を大まかに記述した文書。1枚に短くまとめることでコストや時間を短縮する。

そして3デューデリジェンスが行われ、承認されると4投資契約締結、さらに5投資実行が行われる。

デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスの目的は以下の主に3点

1.投資可否の決定(リスク、財務状況など)
 契約書や財務諸表をチェックすることで、リスク調査をしたり会社の実態を見極め投資やM&Aの判断を行う。
2.企業価値の算定
 企業価値の算定により、シナジーやリターンの計算が行えるようになる。
3.投資後の経営戦略策定やガバナンス調査
 企業の情報を手に入れることでマーケティングや人事面などの経営戦略を決めることが可能になる。また、当該企業がきちんと書類の届出を行っているかなども調査される。

デューデリジェンスの種類

デューデリジェンスは以下の側面から分析される。

1.法務
 事業や契約、取引が法的に適正なものかをチェックする。訴訟リスクなども算定される。専門性の高い分野であるため、弁護士などの専門家が行うことが多い。
2.税務
 法人税などを適切に申告納税しているか確認する。こちらは、主に税理士が行う。
3.財務
 決算や財務諸表から、収益性や設備投資、オフバランス項目などが分析される。不正な会計処理やキャッシュフローの状態なども確認される。財務デューデリジェンスは企業価値の算定に大きな影響を及ぼす。主に会計士、監査法人によって行われる。
4.事業
 市場調査や競合企業などの外部環境の分析などを行い期待される成長や持続性等を把握する。コンサルタントなどに依頼することも多い。
5.労務・人事
 M&Aにおいては統合後に人事評価システムや報酬などが維持できるかなどを確認する。主に社会労務士に依頼する。
6.IT
 主にM&Aにおいて、労務システムや財務システムなどの管理システムの統合が正常に行えるかなどを調査する。ITコンサルタントに依頼することが多い
7.環境
 事業の環境リスクやそれに伴うレピュテーションリスクを調査する。近年、注目されているSDGsやESG投資の側面から事業を分析する。

資料の追加提出とマネジメントインタビュー

企業が資料を提出し、調査サイドがそれをもとに調査、分析を行うとより詳細な質問や追加資料の提出が要求される。

その後ある程度、デューデリジェンスが進行するとマネジメントインタビューが行われる。
インタビューは主に、
・開示資料に対する質問のうち重要な点
・回答の補足
・開示資料に記載されていない問題点の有無
の観点から行われる。質問内容はインタビュー実施数日前に送付されることが一般的。

調査が終了すると専門家により報告書が作成され投資実行の有無が判断される。

終わりに

非常に時間のかかりそうなデューデリジェンスだが、スタートアップのシリーズにとってその内容は大きく変わる。
創業間もないシードやアーリーステージのスタートアップは財務諸表などの書類や情報が十分でなく、また、ピポットする可能性も大いにあり予測が見通しにくい。そもため、プロダクトではなくチームを重視して投資を行う投資家もいる。
とはいえ、スタートアップにとって資金調達のためのデューデリジェンスを乗り切ることはその生死に関わることさえある。きちんと理解しておくことが大切だ。
また、デューデリジェンスには様々な専門家が関与し調査、分析されることが分かった。それらの情報をもとに判断をすることがVCサイドには求められるのだろう。

参考


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