芦原先生のことについて

久しぶりに導入剤を服用しても全然眠れない夜が来た。
こういう日に、ここにとりとめもなく考えていることをまとめることが、私にとってとても精神安定につながっている。

この記事は、今月書いては消してを繰り返していた下書きをなんとか形にまとめたものです。
2月は日テレと小学館、芦原先生のドラマ化におけるトラブルについてのニュースが飛び交っていて、トラウマがフラッシュバックするかのような感覚がしんどくて生きていくことだけで精一杯な1か月でした。

誤解なきようお伝えしておきたいですが、私が自作品のアニメ化において、脚本家の村上桃子さんがとても良いコミュニケーションをしてくださって、直接やり取りをすることでスムーズに行ったので、私は脚本での勝手な改変という経験はしていません。
芦原先生と小学館の件もなんの事情も存じずただの部外者です。

ただ、企業間で「漫画原作ビジネス」として二次展開をする際に、日本においては原作者の著作人格権、同一性保持についてとても意識が低く、また制作側で何かトラブルが起こった時に、結果的に作品の名前と作家個人にしわ寄せが来るケースがとても多いのではないかと感じています。
この、「企業間の制作トラブルの問題なのに作家個人にしわ寄せが来る」という状況がどれほど作家に負担をかけることか、声を上げられる作家が少ないか、と言うことを私は感じています。
私自身は意図せぬ原作改変を受けたわけではありませんが、二次展開における企業間の制作トラブルに巻き込まれた経験のある作家なので、このニュースを見るたびに他人事のようには思えず、自分はこの出来事をどう受け止めればいいのか悩んだりフラッシュバックしたりする日々を過ごしていました。
その中で私が感じたことをまとめておきます。

出版社の仕事にどこまで期待ができるのか

今回、まず日テレが原作者との約束を反故にしたのではと、日テレのコンプライアンス意識が問題に問われるところから始まって、小学館自体の対応も問題とされているニュースやSNSが多くなってきたように思います。

私が作家として感じるのは、出版社にもメディア化担当がいて、広報がいて、担当編集もいる状態で、「二次展開における原作の同一性を保持する事」「原作者の負担をマネジメントする事」という意識や品質が編集個人によってバラバラで、原作に不利益が出ないようにするという仕事を出版社が仕事の範囲内と思っているのか分からない点です。
出版社は契約と窓口だけというのであれば最初からそれに徹していてほしいですし、作家個人でエージェントを雇うように勧めてほしいと思います。

私のいた編集部では私が初めてのアニメ化だったということもあり、編集部は原作者に負担をかけないようマネジメントするという意識はなく、アニメ製作委員会のおつかいになっていたように感じました。
編集部としても初めての二次展開だったので、ノウハウがなく、製作委員会の各社に低い姿勢でつなぎ留めたかったのだと思います。
ノウハウがないことは仕方がないことですし、そういった対応の編集も多いと思います。
しかし結果的にその時私が感じた心理的負荷や仕事量の増加、アニメそのものの制作が破綻したことによる作品イメージの悪化に対して、初めてメンタルクリニックに行くくらい思い悩みました。

そして二次展開が決まった作家は周りから「成功者」というふうに見られるので、同業者に相談しても「でもテレビになるんだからいいじゃない」「我慢するべきだよ」と共感もされづらく、作家は簡単に孤立します。

漫画原作のメディア展開は増えていますし、新興出版社も増えている昨今です。
二次展開における漫画原作者に対するマネジメントガイドラインのようなものが、業界で出来てほしいし、そのノウハウを新興の編集部でもガイドラインを見れば把握できるようになってほしい。
そして、ガイドラインから逸脱した対応をする編集部や出版社に対して作家個人が申し立てできる機関の窓口が広まってほしいです。
(漫画家協会、出版ADRなどがそれにあたるのかな?協会には一時期お世話になりました)

その他に私が個人的に感じたことは以下有料部分にまとめました。

ここから先は

684字

¥ 100

いただいたサポートはすべて原稿製作・設備保守・資材投資・スタッフへの外注費として作品をつくるために使用させて頂きます。