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それとも金が、男を所有していたのだろうか? ゴールド115

1945年の夏、第二次世界大戦が終結した。第二次世界大戦による爆撃、流血、迫害が終わったとき、ヨーロッパとアジアは壊滅状態だった。

だが、1960年代の初めまでに西ドイツ、ソ連、そして日本は力強い経済活動を営み、高い経済成長率を実現していた。そして、第二次世界大戦を唯一無傷のまま切り抜けた合衆国と競っていた。

1960年代の崩壊、衝突、不快な事件

1960年代に崩壊、衝突、不快な事件がさまざまに起こった。そして、その元凶、トラブルの元は金であった。

金が関係したところで、夢が叶うことはほとんどなかった。ラスキンが思い出させてくれるように、金を持つ人は酷い仕打ちを受けることが多いのだ。

※19世紀のイギリスを代表する思想家ジョン・ラスキンはこんな話を書いている。

ある男が全財産の金貨を大きな袋に詰めて船に乗り込んだ。数日後、船は激しい嵐に襲われ、乗客は船を棄てて逃げろと警告された。男は金貨の袋を腰にくくりつけると、甲板に上がって海に飛び込んだがたちまち海の底に沈んでしまった。そこで、ラスキンはこう問いかける。「さて、海に沈んでいったとき、男は金を所有していたのだろうか、それとも金が男を所有していたのだろうか?」


シャルル・ドゴール

金に最も執着した指導者はフランスのシャルル・ドゴール将軍だった。

ドゴールは、世界が自分の助言に従い、国際的な本位としてまた金を決済手段とすれば、ドルを通貨としての傑出した地位から引きずり落とすことができ、自分の目的 -アングロサクソンを自分の前にひざまずかせる- を達成できると確信していた。


金本位制への復帰を

1965年2月、ドゴールは金本位制への復帰を求めて記者会見を行いこう主張した。

「実際、金以上の基準、金以上の本位はありえません。それは決して変化しません。国籍はありません。金は不変の卓越した信用価値として、永久に永久に受け入れられるでしょう」


アメリカの金保有高の減少

さらに、ドゴールは「ドルに与えられている超越的な価値は、当初の基盤を失っています。つまり、アメリカが世界で最も多く金を所有していたことです」とアメリカを攻撃した。

実際、1949年のアメリカの金保有高は全世界の75%だったが、1965年には50%に、そして1960年代末には30%以下になっていた。


フランスは新たに集まった全てのドルを金へ交換し始めていた。そして、その金を大西洋を渡りフランスへと運んだ。それは、多くの国がドルを金に換えても、ニューヨーク連邦準備銀行の金庫室に保管していたのとは対照的だった。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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