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エッセイ

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#エッセイ

82 考えると完成の、その間に。

82 考えると完成の、その間に。

少し前に、「自分にはノートが必要だ」と思って、この間やっと文房具屋さんでちょっとお高目なノートを買った。たかがノートがどうしたんだと思うかも知れないけれど、僕にとっては久しぶりのアナログな筆記用具なのだ。

ipadを導入した数年前から、自分の部屋のペーパーレス化が加速して、ノートもペンも久しく買っていなかった。譜面を印刷するのに買った大きな複合機も、今では何かの申請に必要な免許証のコピーを刷る時

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81 変わり目

81 変わり目

生活がまた変わりそうだ。今度引っ越しをする。またする。僕は飽きっぽいので、新しい環境や新しい家のことを想像すると少しワクワクする。今の住んでいる町への愛着と、近くにコンビニとスーパーがある暮らしやすさは惜しいけど。決めたのだからワクワクするしかない。

人生の岐路というものがあって、大小さまざまだと思うけど、人との出会いや別れ、引っ越し、そんなことでも人生の景色はガラリと変わる。その景色が今変わろ

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63 九九と足し算

63 九九と足し算

講師の仕事をしていて、よく思うことがある。「覚えなくても良いことと、覚えておいた方が便利なこと」。この区分けをどこでするか。そして、この区分けが大切だということをどう説明するか。

九九と足し算。身近な所に、とってもわかりやすい例があった。

足し算をする時は、毎度毎度暗算をして答えを出す。「9+8=」とあれば、頭の中で「9と8を足すから17だ」という具合に。

でも掛け算の場合は違う。「9×8=

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62 過程を楽しむ

62 過程を楽しむ

『ゆるキャン△』というアニメを知っていますか。高校生の女の子たちがキャンプをするアニメなのですが、ゆったりほのぼのしていて、それでいてキャンプの道具や方法などはかなり本格的に描かれていて面白いのです。

数年前にシーズン1の放送があって、今、好評につきということで、シーズン2が放送されています。先日それを知って、僕も数話遅ればせながら見始めました。

女の子たちが、テントとかランタンとか、専用の道

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61 洗い物は温かい水で

61 洗い物は温かい水で

冬は寒いので、普段やっている生活の様々なことが一段難しいものになる。朝布団から出ること、冷え込んだ空気の中で着替えること、洗濯物を干すこと。家で仕事をしたくても、足元がスースーするので、電気ヒーターの前でずっと縮こまって、仕事になかなか取り掛かれない、なんてこともある。

失敗したなと思うことに、洗濯機置き場のことがある。東京に出て、はじめて一人暮らしをしようと物件を探していた頃は、「室内洗濯機置

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60 暗雲と希望

60 暗雲と希望

人生のゴールが「幸せ」なら、せめて幸せになった瞬間命が終わるような仕様になっていて欲しかった。……というのは極端な考えだとして。僕は今十分幸せだけど、人生はまだまだ続く。それを思うと、居ても立っても居られないような、不安な気持ちになってしまうことがある。

僕はよく人生の意義を見失う。何のために生きているんだろうと思う。いや、何のために「生きていこうか」と、前向きに考える姿勢にはなれるけれど、結局

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59「欲求」と「欲」の違い

59「欲求」と「欲」の違い

最近、『倫理用語集』という本を寝る前に読んでいる。Youtubeで「哲学を入門的に勉強するならこれが良い」というのを見て、最寄り駅の本屋さんで早速買ったのだ。

倫理と聞くと「人として」とか「道徳」とかそういうイメージが沸くのだけど、この本は、パラパラと全体を見てみると、発達学から始まって、宗教、哲学、思想、現代社会の様々な課題まで、要は広く扱っている。

その本の中に「欲求」の説明欄があって、そ

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58 引いて守る

58 引いて守る

最近、スマホでサッカーゲームをよくしている。夜寝る前とか、朝の目覚まし代わりにとか(これがまあ良い目覚ましになる)。

スマホのあの小さな画面の中で、11対11の試合を繰り広げる訳だけれども、操作するのは基本的にボールの近くにいる選手1人で、ドリブルしたり、パスを出したり、シュートを打ったり、ボールを奪われたりしたら逆に奪い返しに行ったりする。(操作していない他の選手はコンピューターがやってくれる

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57 紙の上の理解者

57 紙の上の理解者

最近、考えごとが溢れてしまうのか、夜になると紙に歌詞を書き出すことが多くなった。

いつも近くに置いてあるB5のコピー用紙の束から、1枚白紙を取り出して、最初に思いついた言葉をボールペンで書き下ろす。1行、そこに、さっきまで頭の中にあった思いが活字となって現れる。

インクが乾くより早く、続けてまた次の言葉を書く。そして、そして、次々と、あっという間に4行ほどになって、そこで一息ついてはじめから読

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56 思っていることを言う

56 思っていることを言う

父親に殴られた記憶が2つある(もちろん教育として)。実際にはもっと殴られた気がするんだけど、記憶に残っているのは2つ。1つは僕の筆箱の中が汚くて怒られた時(小学生の時かな)と、もう1つは中学の文化祭の時。今日話したいのは文化祭の時の話。あれは確か中学1年生。

僕のクラスの出し物は演劇で、「新撰組」がテーマの劇だった。僕は沖田総司の役をやることになって、剣道着の様なのを着て、竹刀を腰にくくりつけて

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55 夢は大変

55 夢は大変

空を飛ぶことが小さい頃の夢だったんだけど、いざ高いところに昇ってみたら足がすくみました。ただ昇るだけですくむのだから、空を飛ぶというのはどんなに恐ろしいことか。

人生をかけて作品作りをしている人や、お金をたくさんかけて事業を成功させようとしている人が僕の周りにはいる。「かける」という文字は、本来は「懸ける」と書くのかもしれないけど、僕が見るに、その人達の場合「賭ける」だ。ほとんど狂気のような姿勢

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54 生きてるフリ

54 生きてるフリ

どんよりとして、浮かない日々の正体は、プチ虚無感でした。

何も手につかない昼下がりに、悩み疲れた夜の終わりに、嫌々起きた朝のシャワーの時間に。なんだかすべてが面倒臭くなって、「何をしてるんだろうなあ」と、今自分がこの世界に存在していることが不確かに感じる瞬間がある。虚無感といったら大袈裟だけど、右でも左でもない、なんだかわからない気持ち。

忙しいというのは良いなあ。忙し過ぎるとそれはそれで愚痴

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53 這い上がるんじゃなくて、一生懸命に逃げて来ただけ。

53 這い上がるんじゃなくて、一生懸命に逃げて来ただけ。

自分の今の人生を評価するなら、「下の中」っていう所。下の下ではない。這い上がった感が正直ある。だけど、世間を見渡すと、まだまだ全然下の方にいる自分に気付く。卑屈になっているわけでもなく、変に謙遜しているわけでもない。ただ、直感的に出てきた評価は「下の中」だった。

何を指標にしているかというと、「ストレスの無さ」。世の中はストレスに溢れている。そして、人類はストレスから逃れるように進化して来たよう

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52 アートは健康に良い。

52 アートは健康に良い。

めちゃくちゃ真面目にやりたい時と、意味わからないくらいふざけたい時と、両方あるけど、やっぱりふざけている時の方が気持ちがいい。なぜだろう。

社会人になってから、なんとなく自分の中に出来た指標のひとつに「仕事中はA型って言われるようにする」っていうのがあるんだけど、つまり、僕自身本当はO型なんだけど、仕事は丁寧にする人と思われたいからそんな言葉が指標になった(A型の人は几帳面というから)。で、

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