71 新成人と小鳥のさえずり

東横線を降りて、横浜駅改札に上がるための階段を登る時に、ぴよぴよと小鳥のさえずる鳴き声が聞こえた。一瞬本物のように聞こえて後を振り返ったんだけど、すぐにどこかのスピーカーから鳴ってる音だと気づいた(それにしてもリアルだった)。

階段を登りながら、森というか自然というか、そういう環境に自分がいるような錯覚がさっとよぎって、これは何かのメッセージなのかもしれないとか思っていた。人間よ、時には自然を思い出せ、みたいな。

階段を登り切ると、振袖を来た女の子が歩いていて、地元の最寄駅にもスーツとコートを来た(着慣れてなさそうな感じで)若い男の子が数人いたなと思い出した。ツイッターのタイムラインに「成人式」という言葉が流れていて、そうか、今日は成人式なんだと知った。

自分が若かった頃(っていうのも変なんだけど)、まだ「ひよっこ」というか、青々としていた時のことを思い出したらさっきの小鳥の鳴き声と何かが繋がった気がした。若さ。青々しさ。

新成人たちを駅のホームとかで見て、今日は全既成人たちが「おれたち(わたしたち)もこんな時があったねえ」となっているはずだ。そう思うと、今日はなんというか、初心に帰るというか、素の姿を思い出す日なのかもしれない。若くて良かったなあと思うことと、若くてバカだったなあと思うことと、いろいろあるけれども、それを経て今はなんとか大人として生きているんだなあ、と。

新成人を見ると(とくに振袖の女の子)、祝福したい気持ちになるのはなんでだろう。なんだかよくわからないけど「おめでとう」と言いたい気持ち。偉そうにしたいわけじゃないけれど、人生の先輩としてなのか、んん、つまり、若さに対してはみんな純粋になれるということなのかもしれない。成長することはめでたいことだと、純粋であるからこそ素直に思える。

新成人のみなさん、おめでとう、ぴよぴよ。

気に入ってくださいましたら、ぜひお気持ちを!