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<伊勢滞在記>市原えつこ / Etsuko Ichihara

前にお世話になった伊勢神宮の神職さんに「こんなのありますよ」教えていただき、速攻で応募した「伊勢市クリエイターズワーケーション事業」。

昨年、伊勢神宮に参拝・取材した着想から生まれた取り組み「仮想通貨奉納祭」によってお仕事が広がっていったこともあって(様々な美術館での展覧会への怒涛のご縁や、大阪万博の日本館のお仕事など)、今回はあくまで「お礼参り」を主な目的に滞在をしていました。

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「仮想通貨奉納祭」より

また、前回も短い滞在ながら日本の信仰の核の部分に触れられた感じがあり、「伊勢にいくと信仰のドープな本質にふれることができる」という自分の中でのジンクスがあり(というかジンクスも何も当たり前ですが)、それにも期待して滞在しました。

現地では普通にリモートで働くつもりで企画の仕事をいくつか持ち込んでいたのですが、結果的に「せっかく滞在招致いただいているのだから、全力で伊勢を楽しむのがいちばんの仕事である」とばかりに食い、飲み歩き、神や信仰を学び、観光した6泊の滞在。ワーケーションというか、「遊びが仕事!!」と開き直ったバケーションに結果的になりました。仕事ばかりだった5年間のフリーランス生活で、こんなに観光に専念できた日々はほぼ皆無だったので、自分でもビックリ。

結果、こうなりました

現地での行動記録

現地での行動記録はこんな感じでした。Twitterに行動を垂れ流し気味だったので、参照しつつ現地での滞在記を記述していきます。

1日目:夕方に伊勢到着。伊勢市役所立花さんがお出迎え。早々にクリエイターの晩餐会。
2日目:お伊勢参り開始。西見浦〜外宮に参拝。
3日目:神宮会館で伊勢神宮の崇敬会に入会し、猿田彦神社&猿女神社参拝、内宮にて御垣内参拝、御神楽奉納。お伊勢参りフルコース。めちゃくちゃ緊張した。
4日目:今日マチ子さんたちをお見送り&その後に街でばったり遭遇しランチ(感涙)。コンフォートホテルがまじでコンフォートで感動。この日はたまってた仕事をこなしたり、伊勢市周辺の気になってたカフェや飲食店(モーツァルト&ダンデライオン&豚捨)を制覇したりする。
5日目:伊勢神宮神職の西本さまに早朝から伊勢を案内いただく。
夜は一人飲みをキメる。独立間近の美容師さんや大手化粧品メーカー部長さんと知り合う。
6日目:他クリエイターの方が絶賛していた伊勢シーパラダイスを訪問し衝撃を受ける。水族館前ストリートでたらふく飲み食い。賚日館や、元遊郭だった麻吉旅館までチャリこいで訪問。夜は初日の二軒目で伺ってワインがすごく美味しかったバーを松田さんと再訪問。
7日目:立花さんを取材し、最後の外宮参拝をし、土産を調達し、東京戻。

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1日目:夕方に伊勢到着。伊勢市役所の立花さん(本事業の企画された方)ご挨拶。

夜は伊勢市駅前のホテルに宿泊しているクリエイターの晩餐会があり、タイミングがあい混ぜていただく。昔からファンだった今日マチ子さん、「coccoon」で衝撃の演技を見せていた青柳いづみさんはじめ豪華なメンバーでビビる。ほんとに昔から好きだった方々と伊勢で一緒に焼き肉を食っている不思議な状況……。
松阪牛食べて、Poni Anelaでまったり二次会。初日から楽しすぎてぶちあがる。

2日目:お伊勢参り開始。まずは西見浦〜外宮〜月読宮。正直東京での仕事の雑念を引きずりながら伊勢にやってきたのが、本当に祓われた感じがして驚く。


3日目:神宮会館で伊勢神宮の崇敬会に入会し、猿田彦神社&猿女神社参拝。初訪問でしたがすごく好きな神社。

内宮にて正式参拝(御垣内参拝)、そして御神楽奉納。神宮神職の西本さまのお取り計らいにより控室も個室&神楽も最前列中央というファーストクラス待遇のような状態になり、ありがたすぎ・恐縮すぎで内臓が縮みながら参加。御神楽、素晴らしかったです。演者の方々の身体能力がすごい。と同時に、本当に「一国の主」にご対面したという感覚があり、めちゃくちゃ緊張した。

夜は知人のファッションデザイナーの方おすすめの銭湯に行く。ドープ。


4日目:朝、「市役所の立花さん取材したいな」とふと思い立った矢先に伊勢市内で立花さん本人にばったり遭遇。見切り発車で取材アポを爆速でとり、掲載媒体の日本経済新聞の編集者さんにメッセンジャーで提案。速攻でOKが出てガッツポーズ。

一足はやく東京に戻る今日マチ子さんたちをお見送り。その後ばったり御一行に外宮参道で遭遇したのでランチ(嬉しい)。
この日から滞在したコンフォートホテルがまじでコンフォートで感動しました。日曜日で観光地は混んでそうなので、この日はたまってた仕事をこなしたり、伊勢市周辺の気になってたカフェや飲食店(モーツァルト&ダンデライオン&豚捨)を制覇したりする。うまい。腹パンパン。明日に備えて早め就寝。

5日目:
早朝から伊勢神宮神職の西本さまに伊勢を案内いただく。

朝から活動したので宿でいったん昼寝し、仕事。
夜は念願の「一月家」で一人飲みをキメる。最高。また行きたい。「君らなんだか雰囲気似てるね!!」という店員さんの無茶振りにより、独立間近の美容師さんや大手化粧品メーカー部長さんと知り合いました。

6日目
:今日マチ子さんをはじめとした他クリエイターの方が絶賛していた「伊勢シーパラダイス」を訪問し衝撃を受ける。これはやばい。狂気。

水族館前ストリートでたらふく飲み食いする。賚日館や、元遊郭だった麻吉旅館までチャリこいで訪問。

夜は初日の二軒目で伺ってワインがすごく美味しかったバーを松田さんと再訪問。

7日目:
荷物をまとめチェックアウト、江六前さん&大野さんの料理ユニット「侍キュイジニエ」とホテルのロビーで情報交換し、立花さんを取材し、最後の外宮参拝をし、編集者の金城さんおすすめのイタリアンでランチをかきこみ、お土産を調達し、バタバタと東京戻。

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「神」の存在感の強い土地性

滞在全体通してずっと感じていた所感ですが、伊勢は改めて本当に神の存在感のとにかく強い土地柄だと感じました。


伊勢はどこにいっても神の気配が色濃くにじむ場所で、信仰について全力で向き合わないといけない気持ちになるし、とてもじゃないが悪いことなんてできない(伊勢の方々の清廉潔白な感じは、この地域性からじわっと醸成されてるのかもと思った)

コロナ禍の禍々しい世情において、精神にためこんでいた「穢れ」「恐れ」みたいなものが伊勢滞在によって一度掃き清められた感じで、再びフラットで新しい自分に再出荷できた、という感覚があります。やる気に満ちている。

伊勢という純度の高い土地に、分野を越えて様々な作家があつまり現地の方も含めて交流しあうことで、クリエイティビティの純粋な発露を目撃しあい、何かを手渡し交換しあうような不思議な時間でした。
今思えば、「つくり手への祝福」みたいな期間だったなと感じてます(多かれ少なかれ、未曾有のウイルスがはびこる中で無力感を感じたり、傷を負っていた表現者の魂が癒やされる時間だった)。

ここは桃源郷なのか?伊勢の食

さらに伊勢、うまいもの多すぎでした。観光地として栄えているし、海の幸も山の幸も豊富で、老舗からB給グルメ、おしゃれなフレンチまで色々ありすぎ、終始ずっとハートと胃袋をつかまれていました。朝から晩までずっと食ってた。

外宮周辺の美味しいフレンチ。女性におすすめです。

値札がでていない居酒屋、一月家。店員さんのホスピタリティも味も最高でした。

書いてるそばからまた食いたくなってきた……。

個人的振り返りと滞在の反省

楽しすぎた滞在ですが、反省もあり、、また次回行けた時の宿題にしたいと思います。

・積極的に現地企業・現地組織にアポをとって、現地ならではの取り組みを企画したほうがより有意義な滞在になりそう。次何かの機会にいけるとしたら、現地での制作・展示・ワークショップなどの現地プログラムもご提案したいと思いました。儀式とか。

・「お礼参り」がメインだったこともあるのですが、ある種受動的な滞在になってしまったかも?次いけるとしたら、一般的なお伊勢参りやツーリズムとは違うニッチなスポットも色々と見ていきたい。

・もっと交流したり飲み歩いたりしたかったんですが、リモートワークで肉体が衰えてる身、朝から観光した日にゃ夜には目がしょぼしょぼして動けなくなり身軽に飲みに行けなかったのをやや後悔……
初日に今日マチ子さん御一行とお話できて「もう、これ以上、望むことはない……!」と満足してしまいましたが、もはや同時期滞在の作家さんに全員お会いする!というぐらいの勢いでアグレッシブに声をかけていったほうがいいなと。
高倍率をくぐりぬけたうえ、同時期に現場にいるということ自体が既にご縁だったのかもしれません。

滞在後も広がるご縁

伊勢から帰ったその後の伊勢ロスがすごすぎて、気づけば伊勢のクリエイターズワーケーション関連の方々と色々と交流が続き、、

2020年11月:ワーケーション企画者である立花健太さんのインタビュー記事を日経COMEMOで執筆・公開。予想を超える大きな反響を頂きました(くそバズった)。

2021年2月:当時はやっていたClubhouseでオンライン同窓会を開催。

2021年3月:21_21 DESIGN SIGHTで出展していた「トランスレーションズ」展にワーケーション首謀者のお二方がいらしてくださったので、再会を喜びました。

2021年5月:同じくワーケーション参加作家だった松尾たいこさんが六本木での展示を見に来てくださりました!!学生時代からファンだったので感無量。。

2021年9月:最近は、逆に松尾さんの個展を見に行きました。ワーケーションからインスパイアされた、「常若」という概念をモチーフにした個展。清々しい空間でした。

改めて、伊勢はいろんな縁のハブになる土地なんだな、と実感しています。「もしかしてこれは神縁かも」と思ってしまうような、素敵な出会いがたくさんありました。
実はまだまだ、当時知り合った方々とのお仕事の縁は広がっていっているところです。
改めてありがとうございました!また滞在できる機会を楽しみにしています。

市原 えつこ(Ichihara Etsuko) メディアアーティスト
http://etsuko-ichihara.com/

【滞在期間】2020年11月12日〜11月18日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)