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伊勢滞在記 〜8日間でできあがった習慣(上大岡トメ)〔チームふくもの〕

8日間住んだ河崎町の「たらちね」の近くに、小さな祠(ほこら)がある。
「庚申(こうしん)さん」だ。

朝7時すぎ、この祠の前を自転車で通り過ぎる時に、「おはようございます」と声をかける。それが毎朝の2人の習慣である。2人とは、今回一緒に滞在しているふくもの隊の酒井‘エビス’ゆう副隊長と私のことだ。
「ふくもの」とは縁起物や縁起のいい場所のことで、私たちの造語である。
その「ふくもの」を探して全国へ旅をし、それを書籍やSNSで発信するのが「ふくもの隊」。
今回はふくもの隊の隊長、副隊長2名で、伊勢市クリエイターズ・ワーケーションに参加させていただいた。

そして2人の向かう先は、神宮外宮。自転車で約10分の道のりである。

今回私の強い希望で、神宮外宮の早朝参拝と「トメサイズ」(すぐできるカンタンなエクソサイズ)の2分に満たない動画を撮影することを我々の日課とした。
数ある神宮の中でも、私は外宮ファン。

伊勢に初めてやってきたのは、2011年のこと。
それまでは寺も神社も区別がつかなかった私。縁あって神社の本を描くことになり、それならやっぱり最初は神宮でしょう、ということで取材に来た。
そのときに初めて外宮、内宮の境内に足を踏み入れた。その瞬間、シンプルな「唯一神明造」と広大な杜の中に配置されたおの美しさのトリコになったのだ。
それ以来何度も神宮にはお参りしたが、毎朝連続でお参りというのは「滞在」だからこそ叶った夢。
ちなみに初めて伊勢に来たときも、隣にいたのはエビス副隊長だった。

そして夜、10時過ぎ。
歩いて5分もかからない近所の「旭湯」から、ホカホカの熱をカラダから逃さないよう足早にたらちねに帰る。また庚申さんの前で「おやすみなさい」とぺこり。これが毎夜の習慣だ。

この「習慣」を作れることが、観光と滞在の大きな違いである。

同じことを毎日つづけていると、3,4日でだんだんカラダに組み込まれて、ルーティーン化する。
同じ時間に目が覚め、瞑想をし、洗濯機に洗濯物をほうりこみスイッチを入れる。顔を洗って昨朝もそうしたように、一点の疑いもなく自転車にまたがる。
頭で考えることもなく、カラダが勝手に動くのだ。

この習慣の味わいは、毎日同じことをしているとささいな変化に気がつきやすい、ということ。
外宮のたたずまいは、毎日表情を変える。
境内で動かす私の腕や脚は、明らかに毎朝感覚が違う。その伸ばした指の先に広がる青空も、今まで見たことがないものだ。
旭湯のお湯だって、脚をひたした瞬間の感覚は毎晩違う。受付のおばさんも、後半は私たちの顔を覚えてくれて交わすコトバも増える。

同じ瞬間、同じ感覚、同じ風景はない、と習慣が教えてくれるのだ。

この8日間の習慣は、「たらちね」という空間の中にパッケージされた。

伊勢を離れて1ヶ月。
私は今いる自分の住む場所の日常生活に、どっぷりもどっている。

でもまた伊勢に行って、「たらちね」にこっそりしまっておいたパッケージを開ければ、何にも考えることなくあの習慣が始まるのだ。
毎朝庚申さんにあいさつをして外宮を目指し、帰りに「プラティニ」か「トンチン」に寄ってパンを買う。
夕方は「ぎゅーとらエディース」に食料を買いに行き、河崎の町をぶらぶらする。晩ごはんを食べてひと息ついたら、歩いて旭湯へ。汐湯に入って露天を見上げる。庚申さんに「おやすみなさい」をして、たらちねの玄関先のライトを消す。

その姿は確信できる。
そして、近い未来であることも。



写真1外宮

神宮外宮。毎朝違う表情。鳥居の向こうのうっそうとした暗闇がたまらない。

写真2トメサイズ

「ココロとカラダに向き合う2分間『トメサイズ』」は、
ヨガのインストラクターでもあるトメが
運動習慣の入り口になるように進めているコンテンツです。
「トメサイズ@伊勢神宮編」は以下のInstagramに載せています。https://www.instagram.com/tomecise/

毎朝神様に見守られながら、「ふく」なキモチいっぱいでカラダを動かした贅沢な記録。
ご一緒にやってみてください。きっと「ふく」なことが起きますよ。


写真3たらちね

8日間暮らした「たらちね」。情緒のある昭和の町家にシャープなデザインのインテリア。
中谷武司協会運営。初めて泊まったときから、「いつかここに滞在して仕事をしたい」と思っていました。今回その目標を達成!

写真4ふくもの@伊勢和紙

この机で描いた「ふくもの」(仙台張り子)。
伊勢和紙に透明水彩を使いました。
場所を変えて仕事をすることは、新しい画材にチャレンジするきっかけをくれます。

すき焼き差し替え

鶏鍋差し替え

「たらちね」ごはん。たらちねにはキッチンや調味料、食器も完備されていて、朝食すべてと晩ごはんの半分はここで作りました。
エビス副隊長作、松阪牛(「めし勇」で購入)のすき焼きと鶏鍋。

おからサラダ差し替え

美鈴のぎょうざ差し替え

外ごはんも、おいしかったー!
次回も絶対行きたい、「向井酒の店」と「ぎょうざの美鈴」。



上大岡トメ(Kamioooka Tome) イラストレーター〔チームふくもの〕
http://tomekami.com/

【滞在期間】2020年12月10日〜12月17日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)

※「ふくもの隊」酒井‘エビス’ゆう副隊長による伊勢滞在記もあわせてお読みください。