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ええっ!?世界でもっとも熱い場所、那須ワールドモンキーパークをご存知でない!?

~導入~ 論語に通じる道、那須とは


まず導入として、かの有名な孔子の言葉を引用しよう。
「子曰く、汝何ぞ栃木に至りてモンキーパークに入らざる?」
これは現代語に訳すと、以下のようになる。
「孔子は言った。貴方はどうして栃木まで来て那須ワールドモンキーパークに行かないという選択ができようか?いや、行かざるを得ないだろう。(反語)」
哲学とはつまり人生の糧である。我々は先人の知恵に敬意を払い、その教えを価値ある指標として見なすべきだ。
さて、それでは、かの孔子を唸らせた那須ワールドモンキーパークとはいかほどのものなのか?ここでは、とある冒険家達の実録を通じて那須ワールドモンキーパークの謎を解明していきたい。

~冒険の始まり~ 隊員Aの逆張りに倣え!

4月の良く晴れた日。我々は強風のなか、那須の山奥に足を踏み入れた。猛烈な黄砂が竜巻となり我々の行く手を遮る。一昨日洗車したばかりの車も早々に黄色い謎の粉体(黄砂)によって疲労を隠しきれぬ有り様となっていた。那須ワードモンキーパークに至るまでの行程においても、探検隊は多くの困難に直面した。
例えば食料事情である。塩原では通じたであろうスープ焼きそばが那須では一切通用せず、金銭との交換に応じて貰えると期待していた探検隊はその出足を大きく挫かれたのである。
那須高原SAに狙いを定めていた我々であったが、Inter-netを用いて収集した情報も那須の高度な情報統制の前では無意味だった。
「くそ!このSA、普通のラーメンしか置いてねぇ!事前情報と違うじゃねぇか!」「とりあえず探そう!何処かにひょっこり隠されているかもしれない!」「あぁ!なんてことだ!GODIVAだ!GODIVAがある!GODIVAは那須の食べ物だったんだ!!」「GODIVA美味しいよね~(隊員K)」「ちょっと栃乙女の苺サイダー買ってくる!」


苺の甘味が寝不足の身体に染み渡る

那須高原SAには数々の罠があり、足を踏み入れた我々は数々の誘惑に翻弄されていた。もう危険な冒険は終わりにしよう。そう思わせるほど、きれいな建造物に整然と並べられた豊富な品揃えは魅力的であった。
この窮地を救ったのは、やはりというべきか、逆張りの申し子 隊員A であった。
「特産の苺ですか、良いっすね。じゃあ俺は葡萄サイダー。」
その言葉で我々は正気を取り戻したのだ。そうだ、苺が名産だからと言ってそれを買わないといけない理由などない。僕たちはもっと自由で、気ままに生きるべきなのだ。無意識の心理的制約から解放され、苺の特産地で葡萄を買っても良いじゃないか...…
隊員A の逆張りがまたもや探検隊を救ったのだ。誘惑を振り切り次なる地へと歩を進める。我々を見送る菜の花は、そんな我々を嘲笑うかのように咲き誇っていた...…

隊員Mの機転でMOCHIラーメン(諸説ある)や中華ザル(この時、我々探検隊に対して猿の暗喩と警告がなされていたことに気付くのは後になってからである)を食した我々はついに準備を整えて那須ワールドモンキーパークのその門前まで訪れた。

~入口の洗礼~ その門をくぐる時、常識をすてろ!


那須ワールドモンキーパークの門前には巨大なゴリラが待ち構えており、ここにはゴリラが生息すること、そしていつ襲われてもおかしくはないということがありありと示されていた。

巨大なゴリラが威圧するように待ち構えていた...…

「でかいぞ!なんて大きさだ!」「ここまで強調しているのだ!絶対ゴリラが居るに違いない!!」「わぁ~!ほんとにゴリラだぁ~!(隊員K)」
一同に緊張走る。
我々は息を殺しながらその門をくぐり入場を果たしたのである....…
次に目に入ったのは上位存在であるフサオマキザルのメイ氏からの凄絶な笑顔であった。

上位存在から向けられる歓待ほど恐ろしいものはない

NASU world monkey parkはworldwide なmonkey  parkなのである。ここでは英語が標準語だ。力強い「JOY」(楽しめ!!)には、我々を試そうとする意志が感じられた。
元来笑顔とは攻撃的な要素を含むものである。野性的な鋭利さを見せる牙に目がいってしまうのも無理はない。
この先に何があるのか...…我々はこの笑顔を見せるサオマキザルのメイ氏と相対することがないよう祈りながら歩を進めた...…

「なんで猿いねぇんだよ!?」
突如探検隊隊員から悲鳴が聞こえた!どうした、何があった!?倒れ伏す隊員Mは残された力を振り絞り祭壇に押し詰められた猿以外の生物郡を指差してうわ言のように繰り返した。
「くじ引きに猿がいない、モンキーパークなのに猿が居ない....…」
指し示す先には絶望的な光景が広がっていた。

モンキーパークなのに猿が...…いない..…..

お分かりいただけただろうか?
那須ワールドモンキーパークにはレッサーパンダさんや像さんといった生物も存在するのである。
そしてお猿さんは運命などといった我々の尺度には縛られない。事象の天秤は御猿神の思し召しに依るのである。故に祭壇に並ばず!モンキーパークにてくじ引きにお猿さんは並ばず!
我々は格の違いを見せ付けられたことになる。

ここから先の冒険は当初の想像を絶するものであった。特に恐ろしかったのは30分置きに訪れるお猿さん達の「祭り」である。サバンナモンキーさん達は突如として一斉に大声で叫び、笑い、そして慟哭するのである。上位存在の圧倒的声量による不意打ち気味の大合唱は、ただのお猿さん同士の喧嘩などではない、もはや局所的な次元励起である。その影響はすさまじく、ある隊員は感情が暴走してサバンナモンキーさんにつられて跳び跳ねてしまう程であった。
隊員Kは後にこう語った。
「今回の冒険で一番印象的だった光景?祭りを目の当たりにして興奮して跳び跳ねていた隊員Iの姿かなぁ。」
お猿さんは超次元的な存在である。我々の理性を溶かし、あり方を変容させるなど容易なことなのである....…

~突然の襲撃!?~ 探検隊は危機一髪!!

「奇襲だ!!上から来るぞ!気を付けろ!!」
隊員Mは悲鳴をあげた。ふれあいコーナーにて我々は空からの奇襲を受けたのである。

リスザルさん (公式サイトより引用)

林檎を手にお猿さん達の檻の中に歩を進めた我々を待ち受けていたのは、人間など登りやすく御しやすい下位存在に過ぎないと謂わんばかりに天井から、地上から迫り来るリスザルさん達であった。
この時、隊員達は理解した。このふれあいコーナーは我々人類がお猿さんに触れるのではない。お猿さんが我々に好き勝手に触れるコーナーなのだと...…
我々はリスザルさんにとって娯楽でありおやつでありそして搾取されるだけの存在に過ぎない。リスザルさんは我々の身体に易々と張り付き、手にした林檎を奪い、貪り、そして去っていった....…
「頭にウンコ擦り付けられたり、ホクロとか噛まれたりするらしい...…無事で良かった。」
恐怖に身を震わせる隊員達。リスザルさんが木に執拗に自身の糞を擦り付けている姿を見た後だったということもあり、この時の恐怖は今思い出しても背筋が凍る。

「大型個体だ!」
絶望的な叫び。心身ともに疲労困憊だった隊員達はそれでも体に鞭打って立ち上がる必要があった。そう、リスザルさんの襲撃を終えたからといって、安心するのはまだ早かった。我々の進む先にはエリマキキツネザルさんとワオキツネザルさんが待ち受けていたのである。

エリマキキツネザルさんはふさふさで触ると気持ちいい。
ワオキツネザルさんは献上品の林檎に興味をお示しである。

リスザルさんよりも大型な個体である彼らは優美であり真摯である。愛らしい黄色い眼でひとたび見詰められては、まさか対等な関係などおこがましく、たかが人間ごときでは己の全てを献上してもまだ釣り合わぬ実存性の差があるのである。幸いなのは手にしていた林檎を差し出すことでエリマキキツネザルさんもワオキツネザルさんも満足して頂けたことだ。
我々は命からがらではあるが、赦しを得ることが出来たのである……

~歓迎の祭り~ 二つの贈り物、それは繁栄と未来への希望


逆境の中、何とか ふれあいコーナーを抜け出した我々はついに来るべき時が来たのを感じた。時刻は15時。お猿さんの歓迎の宴、animal theater の幕開けである。
そこでは偉大なる跳躍と竹馬の使い手 ニホンザルの結平氏と画伯 フサオマキザルのメイ氏が我々を歓待して下さるというのだ。
そう、メイ氏である。モンキーパークの門を潜って早々に、爆発的な笑顔と共に「JOY」(楽しめ!!)と語りかけてきたメイ氏が自ら我々を出迎えて下さるのだ。
「何が始まるんだ...…?」
隊員達の間に緊張が走る。
慢心はない。覚悟の準備は出来ている。これからの戦い、我々が心を乱すことは無いだろう。
少し早く着いたので開始までの待ち時間が少々。無限にも思える静寂が終わる。
そしていま!痛快な音楽と共に!!
歓迎の宴が幕を開けた!!

...….
......…

圧巻であった。animal theaterについてはあえて割愛しよう。
ただ、歓迎はすさまじく、加えて我々は去り際に二つの秘宝を受け取った。
一つは今後の繁栄の約束である。なんと、結平氏が手ずから猿神様に今後の運勢を占って下さったのだ。

神に祈りを捧げる結平氏。我々の繁栄が約束された瞬間である。

お猿さんは運命に捉われない。入口の祭壇を思い出してほしい。くじ引きの結果にお猿さんは並んでいなかった。お猿さんこそが運命の選定者である。そして猿神様の祝福は我々の幸福を約束するものとなるのだ。
私は中吉でした。

そして二つ目の秘宝は画伯 メイ氏から直々に絵を頂けたことである。

メイ氏のあまりの笑顔にあふれるJOYを感じる。

頂戴した絵に何が描かれているのか、それは我々では決して理解することが出来なかった。しかし、メイ氏の激しく(本当に激しく)書き殴るさまは正に、力強い「JOY」(楽しめ!!)を感じさせた。
社会問題、環境問題、入ってくる情報に耳を傾けるとどうしようもない不安が胸を襲うことがある。しかしだ。メイ氏は語りかける。那須モンキーワールドパークでの数奇な経験を思い出してみよ。数々の試練があった。リスザルさんの襲撃は恐ろしいものであった。しかしエリマキキツネザルさんに受け入れられたように。ワオキツネザルさんに赦されたように、私たちは前に進む勇気と力を確かに得られたのだ。
それならば、これからの未来。結平氏が将来の繁栄を約束して下さった今、あとは前に進むだけだ。
メイ氏の絵からは、我々の背中を強く推す、未来への希望の賛歌が聴こえてくるようであった。

~おわりに~ 帰路にて

温泉入って宇都宮で餃子食べて帰りました。
いやー、楽しかった。次は塩原行きたいなぁ。スープ焼きそば食わねば。
え?ゴリラ?今回は運よく襲撃にあわなかったよ。
御神体はあったから、そこで記念写真を撮ったくらいかな。まぁ、襲われていたらひとたまりもなかっただろうし運が良かったというべきだね。

おしまい。