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日本ドラマSP「女系家族」(2021)

主演:宮沢りえ、寺島しのぶ、水川あさみ、山本美月、奥田瑛二
2021年 全2話(1話約90分)
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=テレビ朝日公式サイトより)

TVerに「花より男子」が出てたので、タイ版の予習にでもと久しぶりに観てみようかと思ったら、思わずこっちをクリックしていた私。あれ、寺島しのぶだっけ、長女?と思ってたら新しいバージョンと発覚。原作も読んでいるし、2005年の高島礼子&米倉涼子バージョンも観てるので、視聴してみることに。

3人姉妹と父の愛人による遺産争奪戦

すでに有名な作品だが、イントロダクションとして物語の設定はテレビ朝日公式サイトより抜粋。

女系にょけい家族』の舞台は、大阪・船場。四代続く“女系筋”の老舗木綿問屋『矢島商店』の当主・矢島嘉蔵が亡くなり、その莫大な遺産を巡って、総領娘の長女藤代(寺島しのぶ演)、次女千寿(水川あさみ演)、三女雛子(山本美月演)の三姉妹による醜くもし烈な争いが繰り広げられようとしていた。そこに突然明らかになる、当主がひた隠しにしてきた愛人・浜田文乃(宮沢りえ演)の存在。遺言状に「なにとぞよしなにお取り計らいを」と記されていたことから、全員が騒然となるが、さらに大番頭の大野宇市ういち(奥田瑛二演)やその他の親戚の思惑も絡み合って、複雑な人間模様の糸が絡まりながら物語が進んでいくことになる。

テレビ朝日公式サイトより抜粋

もはや日本ドラマの古典

原作は超有名だが、1963年の出版された山﨑豊子氏による同名の小説。発表以来、1963年、1970年、1975年、1984年、1991年、1994年、2005年となんと7回も映像化(主にテレビドラマ、Wikipediaより)されている作品で、本作は実に16年ぶり。

私は2005年版を当時視聴しているが、面白かったものの、舞台が原作の大阪から、時代を変えて東京の日本橋にしていたため、ちょっと違和感はあった。小説では思いっきり関西弁であるが、皆標準語だったからである。もちろん私は関東人なのでいいのだが、原作が印象的だっただけに、これじゃない感もあったりした。

しかし本作はオリジナル通り、舞台を大阪にしているので、それはよかった。時代も無理なく2014年という設定である。

キャストが全員胡散臭くて良かった

私は山﨑豊子氏の小説は全部読んでいて、可能な限り映像作品も視聴している(最も2000年以降のものに限られるが)。2019年の岡田准一版「白い巨塔」がたったの5話だったので、まあ、ストーリーはわかっていたから楽しんだものの、正直ドラマとしてはよくなかった(2003年の唐沢寿明版は全21話)。
今回も「全2話」ということで、視聴前はちょっと疑心暗鬼。もちろん「白い巨塔」とは原作の長さも全く違うので比較するのもおかしいが、彼女の小説をたった2話で表現できるのかなと正直内容に期待はしていなかった。

しかし、やはり原作が面白いので、結末は分かっていても楽しめたし、何よりキャストが全員良かった。メインキャストの寺島しのぶと宮沢りえ、劇中では「37歳」という設定だが、実年齢は二人とも48歳!いやぁ、あっぱれである。

そして胡散臭い代表、奥田瑛二と伊藤英明。大番頭役は2005年版の橋爪功も胡散臭くて良かったが、本作でも奥田瑛二の本領発揮。この役は原作の小説では私はそこまで胡散臭く感じなかったので、さすがベテラン俳優たちである。
日本舞踊の師匠という伊藤英明のストーリーは、流石に短い本作ではかなり端折られている。2005年版の高橋克典はけっこう出番が多かった記憶があるが、まあ仕方ないだろう。ちょっとの登場とはいえ、胡散臭さは十分に伝わってきた。

また面白かったのは主題曲の「ボレロ」。劇中様々なアレンジで流れ、主人公たちも踊ったりする。ボレロというのはバレエ曲として有名だが、諸説あるもののスペインが起源とされる説が有力なようで、”飛ぶ VOLARE”が転じて”BOLERO”となり、リズムの速い舞踏曲のことだったらしい。遺産相続の家族の争いというのは、よほど革命的な法律改正でもない限り、日本においてはまだまだあり得るもので、それこそみんなが”踊らされて”しまうわけであるから、テーマ曲としてはまさにうってつけだと言えるだろう。

本作はまだ1週間はTVerで無料視聴できるようなので、興味のある方はぜひ。

シルヴィー・ギエムによる最後の日本公演でのバージョンの「ボレロ」をリンク♪



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