鼻血のはなし

「最近よく鼻血を出します。ぶつけたようなこともないのに、いきなり垂れてきます。大丈夫でしょうか」

子どもは鼻血をよく出すものです。鼻の入り口付近に、血管が密集している場所があり、そこの粘膜にちょっと傷ができると、簡単に鼻血が出てしまうのです。ぶつけた時だけでなく、鼻をほじったり、鼻を何度もかんだりしても、鼻の粘膜は傷つきます。熱があったり、身体が温まって、血管が拡がっていると、それだけ出血もしやすくなります。花粉症などのアレルギーや、かぜなどで鼻の粘膜に炎症があるときは、粘膜が腫れて充血していますから、よけいたやすく出血します。小さい子どもは鼻かぜもひきやすいですから、鼻血のでやすい条件がそろっていると言えます。

寝ている間に鼻血が出ていて、シーツに血が染み込んでいる、などということも、実はめずらしいことではありません。眠っている間に無意識に鼻をいじっていたり、のぼせたりして、鼻血が出るのです。たいていは、起きた時にはもう鼻血は止まっています。

鼻血がぽたぽたたれて大量に出ているように見えても、実際の量はたいしたことはありません。あわてずに、小鼻をしっかりおさえれば、数分で止まります。けがをしたときに出血しているところをおさえるのと同じことです。顔は下を向いたほうが、血液がのどに回りこまずにすみます。仰向けに寝るのは、血液がのどに落ちてかえって気持ち悪くなったりするので、お勧めできません。

しょっちゅう鼻血が出るので血液の病気ではないか、と心配して相談されることも時々あります。たしかにある種の血液の病気では、血液が固まるのに必要な、血小板などの成分が不足して、出血が止まりにくくなることがあります。このようなときは、鼻血が非常に止まりにくくなります。ただし、「出血が止まりにくい」場合、その症状がいちばん出やすいのは、ぶつけたりこすったりしやすい場所で、強く打った覚えもないのに手足の皮膚に紫色のあざがたくさん出てきたり、点のような出血があちこちに現れたり、というほうが、初期の症状としては一般的です。言い換えれば、血が止まりにくくなるような血液の病気が、鼻血だけで始まることは極めてまれで、他に出血しやすいところがあるのでなければ、こうした病気である可能性は非常に低いと言えます。

また、出血が止まりにくくなるような血液の病気では、ひどい貧血や、白血球のはたらきの異常を伴うのがふつうで、元気がない、顔色が悪い、だるくて動けない、などの症状もあります。

そもそも「出血が止まりにくい」ということは、おさえてもなかなか止まらない、ということです。実際、こうした病気の子どもの鼻血は、止血剤をしみこませたガーゼをつめるなどの処置をしても、なかなか止まりません。元気で走りまわっている子どもの鼻血は、頻繁に出る鼻血であっても、おさえれば止まるのであれば、心配はいりません。

ふつうの子どもの鼻血がなかなか止まらない、というとき、見るとおさえ方が不十分なことがほとんどですが、どうしても止まりにくい場合、救急処置は、まずは耳鼻科でお願いしたほうがよいでしょう。同じ側の鼻からしょっちゅう鼻血が出て、量も多めという場合も、耳鼻科で鼻の中の状態を診てもらうのが先決です。

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クリニックノート

石橋こどもクリニック(東京都江戸川区)
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