見出し画像

「国産牛 = 黒毛和牛」は間違い。騙されるなっ!

どうも、石原牛の石原です。

スーパーや焼肉屋さんなどで、よく「国産牛」という単語を見かけます。
国産牛=黒毛和牛
と思っている方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。

違います。

ではどういうカラクリなんでしょうか?
説明します。



〇解説

国産牛は文字通り国産の牛さんのお肉のことです。
もっと正確にいうと、生まれてから出荷されるまでの間、日本で飼育された期間が最も長い個体を指します。
黒毛和牛はもちろん国産でおる可能性が非常に高い、という言い方を敢えてさせて下さい。
まぁ100%そうだと思って頂いてよろしいと思います。

他にもあります。
・乳用牛(ホルスタイン)
・褐色種(あか牛)
・交雑種(F1)

出回っている代表的なものを上げると、この3種類ですね。

これが国産牛の正体です。

●乳用種(ホルスタイン)

ホルスタインの雄は肉用牛になる道しかありません。
雌も乳がでない、身ごもれない、高齢、様々な理由で最後は肉用牛の道を辿ります。
ホルスタインは成長が早いのが特徴で、20カ月程度で生体重770㎏程度まで成長します。
基本的に赤身が多いのがく弾力がある肉質が特徴です。


●褐色和種(あか牛)

あか牛はみなさん聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
肥後のあか牛(熊本県)、土佐のあか牛(高知県)が有名です。
因みに肥後あか牛は放牧に適した改良、土佐あか牛は韓国牛を改良した歴史があるようです。
特徴としては文字通り見た目が赤毛なところ。
強健で耐熱性に優れており、粗飼料(草系)の利用性が高い品種で、赤身肉なのは有名ですね。



●交雑種(F1)

これが一番聞き馴染みがないと思います。
文字通りではありますが、他の品種との掛け合わせでできた個体を指します。
特に多いのが、
黒毛和牛の雄 × ホルスタイン雌
の掛け合わせです。
主な利用方法としては、「黒毛和牛ほどではないがそこそこの肉質のものを短期間で欲しい」という理由で使われます。
ホルスタインの成長スピードを受け継いでいるので、黒毛和牛よりも早く出荷できるのがメリットです。

あとは黒毛和牛の種牛の素質を見極める際に使用されます。
成長が早いので、結果を早く知るためにまずF1で試し、それで良好であれば黒毛同士で再度試す。
こういった流れで種牛の素質を早く見極めます。

黒毛和牛の種牛は日進月歩で、ものすごいスピードで改良が進んでいます。
これはまた別の記事で書きますね。

●国産牛と表記すると見栄えがいい

今上げた3つは黒毛和牛に比べて安価です。
なぜなら、サシが多い方が高値が付くシステムになっているからです。
しかし、それを「国産牛」と表記することによって、国産である安心感と黒毛和牛肉であろうという錯覚を生む効果がある、と私は考えております。

別にこれが悪だという話ではありません。
しっかりと理解したうえで購入するべきという話です。
そうすればお肉の価値観がまた変わると思います。
調べ方は、ラベルに記載されいる個体識別番号を調べてみてください。


因みにそれぞれのブランド牛も結構存在します。
黒毛和牛だけがブランド牛なわけじゃないんですね。



●黒毛和牛を安く買う方法

番外編です。
上記3つと変わらないくらいの価格で、黒毛和牛を楽しむ方法があります。
それは経産牛です。
文字通り、子供を産んだ経験のある牛さんのことです。

前の項目サシが入っている方が高値が付くシステムになっていると言いました。
これは、サシを入れる技術を有しているからできることなんです。
サシは技術(肥育方法)で入れるんです
牛にサシを入れるために重要な時期は生後8~15か月頃だと私は考えます。
この時期の肥育で、出荷までの残りの日数をちゃんとコンスタントに食べてくれるかがかかっています。
しかし、母体となるために選ばれた牛さんは違います。
私がセリ市場で見た最高は16産目です。
つまり16頭も子供を出産しているのです。

もうこれ以上身ごもれない、と判断されたお母さん牛はお肉なる道を辿ります。
そこで肉牛にするための肥育へ切り替えるのです。
人間でいえばおばあさんです。
若者のフレッシュさには到底勝てません。
なので、サシが入ることは期待できないのです。

そういったお肉はどうしても安くなるシステムになっております。
だから経産牛のお肉は黒毛和牛なのに安く買えるのです。

●経産牛は狙い目?

こういったデータがあると聞いたことがあります。
「日数を重ねた分だけ赤身のうまみ成分が上昇した」
私は直接書物や書類で見たわけではありませんし、このお話を聞いた方も「かなり若干数」とおっしゃっていました。
しかしこれは一般肥育での話です。
経産牛の生涯は長いです。

…旨いんでしょうね。

私は残念ながら意識して経産牛を食べたことがありませんので明確なお答えはできません。
しかし、弊社社長が言うんですよ。

「経産牛はうまいぞ」

一度食べてみたいですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?