石井千湖

ライターです。 https://twitter.com/ishiichiko

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  • 韓国文学500日読めるかな?

    毎日13ページ以上、韓国文学を読むチャレンジの記録です。目標は500日。

  • 日記になるかどうかわからない

    日記というほど更新できるかどうかわからない雑文の置き場です。

  • 文豪たちのツボ

    文豪たちや名著にまつわるあれやこれや。

  • この翻訳家に聞きたい

    目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューします。

最近の記事

韓国文学500日読めるかな?【11】20240304-0310

春だけどまだ寒い。チョン・ジア『父の革命日誌』を読みました。 3月4日✅13pages 📖 MY FATHER’S LIBERATION DIARY By JEONG JIA 『父の革命日誌』/チョン・ジア著、橋本智保訳(河出書房新社) 📄P5-21 パルチザンが登場する小説なのに韓国で32万部を突破したという長編小説。主人公のアリは、電信柱にぶつかって死んだ父の葬儀に出るために帰郷する。まだはじめのほうを少し読んだだけだけど、かなりユーモラス。 パルチザン=1945年の

    • 韓国文学500日読めるかな?【10】20240219-0303

      体調を崩したり、原稿が終わらなかったりで、1週間くらい書けませんでした。読んではいたんですけどね。ゆるくいきます。 ポリタスTVのプレミアムトークで斎藤真理子さんにインタビューしました。 ファン・ジョンウンの作品を中心に「韓国文学の中心にある近現代史」というテーマでお話を伺っています。 有料ですが、ご購入いただいた方は韓国ドラマの特集もご視聴頂けます。 購入受付期間:2024年3月16日(土)17:00まで ファン・ジョンウンの全邦訳作品を読んだときのまとめです↓

      • 韓国文学500日読めるかな?【9】20240212-0218

        2月は逃げる。『数学者の朝』と『遠きにありて、ウルは遅れるだろう』を読みました。 2月12日✅13pages 📖 Mathematician's Morning by Kim So Yeon 『数学者の朝』/キム・ソヨン著、姜信子/訳(クオン) 📄P11-68 少し前に参加した韓国の詩の朗読会で「ワンルーム」という詩の朗読を聴いたらめちゃくちゃよかった。 〈ちょっとのあいだ 死ぬことにするわね 三角形みたいに〉ではじまる表題作「数学者の朝」「反対語」も好き。 D-485

        • 韓国文学500日読めるかな?【8】20240205-0211

          東京に大雪が降ったので、表紙が吹雪いている『七年の最後』を読みました。 2月5日✅13pages 📖 The Last of Seven Years by Kim Yeon su 『七年の最後』キム・ヨンス/著、橋本智保/訳(新泉社) 📄P12-26 雪の日に読み始めるのにふさわしい本じゃないかと思って。伝説の詩人、白石(ペクソク)が筆を折るまでの7年間を描く。 今日は「一九五七年と一九五八年の間」という章の途中まで。ソ連の詩人ベーラとヴィクトル、白石をモデルにした主人公

        韓国文学500日読めるかな?【11】20240304-0310

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          韓国文学500日読めるかな?【7】20240129-0204

          今週は『優しい暴力の時代』の続きから。 1月30日✅13pages 📖 The Age of Gentle Violence by Jeong Yi hyun 『優しい暴力の時代』チョン・イヒョン/著、斎藤真理子/訳(河出書房新社) 📄P70-96 「私たちの中の天使」は、貧しいカップルがある不穏な〈プロジェクト〉に挑む話。 ミジは恋人のナムウと狭いワンルームで同棲中だ。しかし、部屋の契約満了日を間近に控えて別れることを考えている。日曜日、ナムウがでかけたあと押し入れを開

          韓国文学500日読めるかな?【7】20240129-0204

          韓国文学500日読めるかな?【6】20240122-0128

          相変わらずファン・ジョンウンを読んでいます。X(Twitter)のポストはうまく埋め込めないことがあるので、テキストをコピーすることにしました。 1月22日✅13pages 📖 I'll Go On by Hwang Jungeun 『続けてみます』ファン・ジョンウン/著、オ・ヨンア/訳(晶文社) 📄P8-48 第23回大山文学賞を受賞した長編。 大人になって建設会社で働くソラが、子供のころをふりかえる。ソラと妹のナナの父は、工場で巨大な歯車に巻き込まれて死んだ。母のエジ

          韓国文学500日読めるかな?【6】20240122-0128

          韓国文学500日読めるかな?【5】20240115-0121

          引き続きファン・ジョンウンを読んでいます。『誰でもない』の続きと『野蛮なアリスさん』。 主人公のミョンシルは、何かを書こうとして、ノートと万年筆を探している。ミョンシルは自覚がないけれども年老いていて、今自分がしていることも忘れてしまう。恋人のシリーは、本をたくさん遺してこの世を去った。ミョンシルはシリーと一緒に妹の家に行ったときのことなどを思い出す。 万年筆が好きなので出てくるだけでわくわくするし、とても美しい話だった。登場する生き物は、机と椅子! 主人公は引っ越してき

          韓国文学500日読めるかな?【5】20240115-0121

          韓国文学500日読めるかな? 【4】20240108-0114

          成人式の当日は大学のレポートを書いていた記憶があります。振り袖よりパソコンがほしいとか言っていた。チラシに載ってる振り袖はやたらギラギラした色柄が多くて気に入るものがなかったし、とんでもなく高価だったので。 いろいろ進んでないけど、がんばれ今年のわたし。 8月の雨の日、ウンギョさんはムジェさんとユゴンさん(いつも宝くじの束を持ってヨさんの修理屋に金を借りに訪れる人)と一緒に飲み屋へ行く。ユゴンさんも影法師の話をする。怖い。 ウンギョさんとムジェさんが藤棚の下に座って話す

          韓国文学500日読めるかな? 【4】20240108-0114

          韓国文学500日読めるかな?【3】 20240101-0107

          ほぼ布団にいる正月。能登半島で大地震が…なんという始まりだ。しばらくファン・ジョンウンを集中的に読む予定。 斎藤真理子さんの『韓国文学の中心にあるもの』によれば、ファン・ジョンウンは〈文学の背骨に溶け込んだ朝鮮戦争を最も雄弁に描いている〉作家で、『年年歳歳』は〈若い世代が朝鮮戦争に向き合った小説の決定版ともいえそうな作品〉。イ・スンイルとふたりの娘を中心にした連作。 「廃墓」 71歳のイ・スンイルは、毎年鎌で道を作りながら行っていた山中の墓を廃墓することに決める。次女のハ

          韓国文学500日読めるかな?【3】 20240101-0107

          韓国文学500日読めるかな?【2】 20231224-1231

          サンタクロースはいると思ったことがない。「うちは仏教だから関係ない」と言われて育ったので。クリスマスは父の取引先の会社にノルマとして買わされるケーキを食べる日だった。プレゼントもないのが当たり前で、一度だけ酔っ払った父が斉藤由貴のCDを買ってきてくれたことがあるくらい。大人になった今は、食事に行くこともあれば何もしないこともあるし、好き勝手に過ごしています。 今回読んだ韓国文学は以下のとおり。 表題作の「唾がたまる」。大手の進学塾で講師をつとめている主人公が、大学の後輩と

          韓国文学500日読めるかな?【2】 20231224-1231

          韓国文学500日読めるかな?【1】20231217-1223

          6年くらい活動を追いかけているBTSのジミンさんが兵役のため12月12日から548日不在。そのあいだに、1日13ページ以上本を読む企画に参加してみます。仕事柄、何もなくても本は毎日読んでいるので韓国文学しばりにしました。 23日のポストにD-536って書くの忘れた。 クリスマス前にド直球のファンソングをプレゼントしてくれたジミンさん。ありがとうありがとう。

          韓国文学500日読めるかな?【1】20231217-1223

          入荷がない日と推し絵本

          バイト先の書店。年内の雑誌・書籍の納品は昨日で終わり。今日はたまった新刊案内とか注文書を整理できてよかったです。 「MOE」2023年2月号では「絵本屋さん大賞」が発表に。 『さかなくん』が上位に入っていてうれしい。水のなかで暮らしているさかなくんが、水の入った金魚鉢みたいなヘルメットをかぶって、陸上の小学校に通う話。色鉛筆と水彩で描かれた絵がとてもいいんです。ひとり部屋で〈むっすり〉しているさかなくんの後ろ姿がかわいくて。友達が家を訪ねてくる場面も、水の深さが感じられて好

          入荷がない日と推し絵本

          手書きノートは楽しい

          仕事は例年通り納まりません。原稿のことを考えつつ、今年買ってよかったもののことを書いてみます。 〆切などの予定はGoogle Calendarで管理していますが、メモは手書きが好きなんですよね。万年筆も好きなので、インクが裏抜けしないノートをずっと探していて。あとで必要なところを読み返しやすいように、ノンブルもほしい。で、見つけたのが、大洋印刷株式会社の「つくるダイアリーノート」です。公式アカウントがいろんなインクで試し書きしていて、ふつうの文字を書くぶんには裏抜けしづらい

          手書きノートは楽しい

          アルバイト書店員の雑感

          「文学はダメ人間が9割」にもチラッと書いたとおり、書店でアルバイトをしています。働きはじめて、半年くらいになるでしょうか。兼業ライターは珍しくありませんが、専業から兼業になったので、友達には心配されました。そんなに仕事がないのかって。  今年になってレギュラーは増えました。ありがたいことに、ライターだけでも食べていける収入はあります。かろうじて、今のところは。  ただ、来年は50歳になるし、雑誌のカルチャー欄は縮小傾向にあるし、インボイス制度が実施されたらダメージは大きいし

          アルバイト書店員の雑感

          文豪たちのツボ 第二号

          春の日のさした往来をぶらぶらひとり歩いてゐる こんにちは、石井千湖です。BOOKSHOP TRAVELLERでひと箱書店を始めて一ヶ月半経ちました。本当に売れるのかな、と心配でしたが、在庫が減っていてうれしいです。できるかぎりマメに補充したいと思っています。ご来店の際はぜひ手にとってみてください。  さて「文豪たちのツボ」第二号。今回は春にまつわる文章を紹介します。芥川龍之介の「春の日のさした往来をぶらぶらひとり歩いてゐる」。たった二ページの、散文詩のような随筆です。屋根屋

          文豪たちのツボ 第二号

          文豪たちのツボ 第一号

          【自己紹介】  こんにちは、はじめまして。  主に雑誌や新聞で書評を執筆している石井千湖と申します。二〇二二年二月一日より、BOOKSHOP TRAVELLERでひと箱書店を始めました。「文豪たちのツボ」という店名の由来は、著書の『文豪たちの友情』(新潮文庫)と『名著のツボ』(文藝春秋)です。  生まれ育った佐賀県の小さな町には、いま一軒も書店がありません。わたしが子供のころは雑誌と文庫と漫画を少しだけ置いている街の本屋が二軒あったのに、いつのまにかなくなってしまったみ

          文豪たちのツボ 第一号