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シャーロック・ホームズ 螺旋の住人

 ホームズは何時間も黙りこくって坐ったあと、いつものように突然口を開いた。
「ワトスン、今は21世紀だったかな?」
「えッ」
 ホームズにはほとほと驚かされる私だが、こんな間の抜けた質問は初めてだった。
 驚く私を見てホームズはいたずらな目をして笑う。
「やあ、すまない。僕は何人目かなと考えていてね」
「何の話だい」
「なんてことない、ホームズの話さ」
「君の?」
「僕のでもあるが、それだけじゃない」
 ホームズの話は要領の得ない、それは事件について話すようだった。
「考えてもみろ、僕が死んだとしてこの脳細胞をそのままにしておくか?」
「一体何を」
「僕はクローンだ。そして君も」
 私の呆けた顔をホームズは微笑みながら見つめていた。
 その時、何者かの足音が部屋へと近づくのが聞こえた。
「ホームズ、君は本気で言っているのか?」
 するとホームズは笑い、
「いや、嘘だ。だけど騙されたのは君だけじゃないようだぜ」
 グロッグを取り出し扉に向けた。

【つづく】

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