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イップマン侵略

 詠春拳宗師である葉問(イップ・マン)は長男葉準の元を訪れるため、弟子の青年を引き連れ故郷である佛山に向かっていた。
「師父、荷物お持ちしますよ」
「いやいい。それよりお前こそ大丈夫か?」
 青年は親指で鼻を拭い、余裕の表情を浮かべる。だがその目は驚きに見開かれる。不審に思い視線の先へ顔を向けると黒煙が上がっていた。
「なんですかあれ」
 葉問は弾かれたように木々の間を走り出す。
「馬鹿な」
 眼下に広がる景色はまるで侵略を受けたようだ。功夫の聖地佛山が燃えていた。
 その時、身長2mほどある鈍色の骨格を纏った人型生命体が二人の背後に降り立つ。
「師父、変のなのが!」
「ああ、佛山を攻撃したのはやつだろう」
 生命体はガントレットから刃を突き出す。
「倒せますか」
「人型なら倒せるさ」
 葉問と青年は揃って水の流れのような動きで構えをとる。
「詠春拳、葉問」
「詠春拳、李小龍」
 二人が名乗ると人型生命体は兜の下から牙を覗かせ襲い掛かる。

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