時間と五感。(3/3)
ジーン・ウェブスターの名作『あしながおじさん』の続編『ディア・エネミー』は、本編ほどには知られていない。
『あしながおじさん』の主人公ジュディは孤児院に育った少女だ。『あしながおじさん』とあだ名した正体不明の支援者のおかげで女子大を卒業したジュディは、子供時代の辛い記憶でいっぱいの孤児院の経営を、親友サリー・マクドナルドに託した。サリーは孤児院の経営など全く興味がなかったのだが、親友にうまく乗せられて引き受けてしまう。結果、大変な苦労をするものの、だんだんこの仕事にのめり込んでゆくのだ。
この作品が私はとても好きで、繰り返し読んでいるのだが、中にちょっと面白い表現が出てきて、心に残った。
それは「あの人の心は漢字で書かれているみたいだ」という表現だ。
ガンコでとっつきにくいけれど時々やさしい、といった複雑な性質の医師を評した一節なのだが、なるほど、と思われた。アルファベットの世界で育った人から見て、漢字は「読めない文字」としか見えないだろう。
しかし。先日読んだ本に、衝撃的なことが書かれていたのだ。