「アイデンティティ」のゆくえ。(3/3)
「原因が未来にある」という転倒。
たとえば、ある人が別の人を殴って、たんこぶができたとする。
殴ったことが「原因」で、たんこぶが「結果」である。
殴ったのは「過去」であり、たんこぶは「現在」である。
先にたんこぶができて、そのあとで殴る、というようなことは起こらない。
「原因」はすべて、過去にある。
ゆえに、今この人を殴ったら、未来にこの人はたんこぶができるだろうな、と予測できる。だが、必ずそうなるとは限らない。
しかし「運命」という概念の中では、この順番が、くるっと反転する。