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不易流行|五臓六腑なんだよね|2022.2.4

 先週より原因不明の腹痛に悩まされ、田園調布と御殿場で緊急病棟にお世話になった。どちらも、直接の原因がわからず「消化器系の異常でしょう」と突き放された。本来経過観察入院するべきところをコロナ禍の医療切迫理由でそれも断られた。

 二度あることは三度ある。そして、今度の痛みがどのくらいのマグニチュードで襲ってくるかわからないだけに恐怖を感じていた。徹底検査から始めようと、四谷の主治医を頼った。MRIの結果は「胆嚢結石だねえ、これは痛かったでしょう」と言われ、7つある石が一つずつ管に落ちた時の痛みだった。再来週、内視鏡手術で除去することに決定した。

 中国最古の医学書『黄帝内経』に、五臓六腑(ごぞうろっぷ)が人間の内臓全体を言い表すときに用いられたことばとして登場した。「五臓」とは、肝・心・脾・肺・腎を指し、「六腑」とは、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を指す。恥ずかしながら「胆嚢」が何をしてくれているのかがまずわからない。胆嚢が機能不全に陥ったことで何が起きるのだろう。どうやら「決断や勇気を主る」らしい。

 実は、四日前に投薬を受け飲み始めた薬が胆嚢の動きを制御する薬で飲み始めた直後から面白いほど元気とやる気に満ちたのだった。実は、ここ数年「一歩」が遅いなと感じていた部分。人間というものは、内臓が機能して初めて連動する。実は、内臓に突き動かされているのかもしれないな。改めてそう自覚した。

 人間の身体というものはどこまでも深淵で不思議だ。どこか一つでも不調だと、途端に行動の精度、パフォーマンスが駄々下がりする。それが、指先のササクレひとつでさえも。大都市も重要だが、訪れたこともないような地域や島も日本という身体だ。血液や白血球が行き渡るように、留意したい。

 明和8年(1771年)の春、小塚原刑場での刑死者の腑分(ふわけ=解剖)を見るために杉田玄白、中川淳庵、前野良沢などが集り「解体新書」を作った。杉田玄白は、果たして「胆嚢」という地味な臓器と機能の関係をどこまで理解していたのだろうかと想いを馳せる。


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