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2016年1stステージ・川崎フロンターレ総集編レビュー

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川崎フロンターレの2016年1stステージの全17試合を詳しくレビュー。
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ワンポイントレビュー:小林悠の決勝点に見る去年との明確な違い、あなたはわかりましたか?
(1st第1節サンフレッチェ広島戦:1-0)

ワンポイントレビュー:小林悠の決勝点に見る去年との明確な違い、あなたはわかりましたか? (1st第1節サンフレッチェ広島戦:1-0)

 開幕戦はサンフレッチェ広島に1-0で勝ちました。

そこで、ワンポイントプレビューに続き、試合を観戦して気になったポイントを一つだけに絞って、深く掘り下げてみるワンポイントレビューもやってみたいと思います。

念のため断っておくと、現時点ではまだあくまで実験的にやっているだけです。需要がありそうならシーズン通じてシリーズ化出来たら良いかな、という感じですね(なので、みなさんからの反応が薄かったら

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ワンポイントレビュー:今季初失点の動揺。選手に聞く「あの後の試合運びは、どうすべきだったのか?」(1st第2節湘南ベルマーレ戦:4-4)

ワンポイントレビュー:今季初失点の動揺。選手に聞く「あの後の試合運びは、どうすべきだったのか?」(1st第2節湘南ベルマーレ戦:4-4)

湘南戦は4-4の引き分けでした。

大久保嘉人のJ1通算タイとなる157点目(翌日、佐藤寿人が158点目を更新)、誤審としか言いようがないソンリョンのオウンゴールでの今季初失点、パウリーニョの恩返し弾、大島僚太のエロすぎる左足浮き球パスからの、小林悠の柔らかすぎるトラップ&ゴラッソ、森本貴幸による11年ぶりとなるJ1での劇的同点弾・・・・と、これだけ語るべきポイントがあると、正直、何を書けば良いの

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ワンポイントレビュー:等々力劇場だったからこそ、冷静さも必要。なぜ追加点が奪えなかったのか。前半に起きていた”渋滞”を検証する。(1st第3節名古屋グランパス戦:3-2)

ワンポイントレビュー:等々力劇場だったからこそ、冷静さも必要。なぜ追加点が奪えなかったのか。前半に起きていた”渋滞”を検証する。(1st第3節名古屋グランパス戦:3-2)

名古屋グランパス戦は3-2で勝利。ホーム等々力での初勝利を飾ることができました。劇的な等々力劇場だったからこそ、より冷静に分析してみたいと思います。今回のポイントは、こちらです。

1.小林悠がまさかの欠場。急遽出場が決まった森谷賢太郎に課せられた仕事は?

2.なぜ追加点が奪えなかったのか。前半に起きていた”渋滞”を検証する。

3.追加点を奪えなかったことで、払わされた失点という代償。「中で勝

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ワンポイントレビュー:相手を寄せつけなかった90分。敵地での完勝劇をディープに読み解く(1st第4節ヴァンフォーレ甲府戦:4-0)

ワンポイントレビュー:相手を寄せつけなかった90分。敵地での完勝劇をディープに読み解く(1st第4節ヴァンフォーレ甲府戦:4-0)

 第4節ヴァンフォーレ甲府戦は4-0で勝利。
完勝といって良いと思います。まるで寄せ付けずに勝ち切り、首位をキープしました。首位効果とはすごいもので、サンデーモーニングでは張本さんから「あっぱれ!」をいただきました。

今回の深堀りポイントは、この4つです。

1.攻撃と守備は表裏一体。「クリスティアーノを、どうやって孤立させるかを考えていました」。大量得点を支えた奈良竜樹によるクリスティアーノ封

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ワンポイントレビュー:16本のパスをつないで生まれた同点ゴールの深層。中村憲剛のフリーダムなポジショニングと、あざとい駆け引きで繰り出した森谷賢太郎の縦パス。(1st第5節鹿島アントラーズ戦)

ワンポイントレビュー:16本のパスをつないで生まれた同点ゴールの深層。中村憲剛のフリーダムなポジショニングと、あざとい駆け引きで繰り出した森谷賢太郎の縦パス。(1st第5節鹿島アントラーズ戦)

リーグ戦第5節・鹿島アントラーズ戦は1-1でした。

色々と語るべきポイントの多い試合でしたが、今回の深堀りポイントは、この4つです(※4月4日に後日談を追加しました)。

1.16本のパスをつないで生まれた同点ゴールの深層。中村憲剛のフリーダムなポジショニングと、あざとい駆け引きで繰り出した森谷賢太郎の縦パス。(※4月4日:中村憲剛のコメントを追加)

2.劣勢を強いられた右サイドの局面勝負。復

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ワンポイントレビュー:劇的すぎる決勝ゴールの解説。小林悠はなぜシュートではなくクロスを選択できたのか。本人に聞いてみた。(1st第6節・サガン鳥栖戦:1-0)

ワンポイントレビュー:劇的すぎる決勝ゴールの解説。小林悠はなぜシュートではなくクロスを選択できたのか。本人に聞いてみた。(1st第6節・サガン鳥栖戦:1-0)

ホーム等々力での1st第6節・サガン鳥栖戦は1-0でした。

数ある等々力劇場の中でも、歴代屈指の等々力劇場だったと思います。ただ興奮しっぱなしの結果だからこそ、冷静に試合内容を検証してみたいと思います。 

今回の深堀りポイントは5つ。ラインナップはこちらです。

1.前半の誤算を検証する。なぜトップ下・中村憲剛と、大島僚太とネットのダブルボランチは機能しなかったのか。

2.苦戦の原因を探る。

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ワンポイントレビュー:谷口彰悟、武岡優斗、登里享平・・・交代カード3枚全てにサイドバックを投入。異例の風間采配を読み解く。(1st第7節・FC東京戦:4-2)

ワンポイントレビュー:谷口彰悟、武岡優斗、登里享平・・・交代カード3枚全てにサイドバックを投入。異例の風間采配を読み解く。(1st第7節・FC東京戦:4-2)

味の素スタジアムでの1st第7節・FC東京戦は4-2でした。

久しぶりの打ち合いとなった「多摩川クラシコ」でしたが、冷静に試合内容を検証してみたいと思います。 

今回の深堀りポイントは6つ。ラインナップはこちらです。

1.今季3度目。また試合当日にスタメン変更のアクシデントが・・・

2.懸念材料だったエドゥアルドと車屋紳太郎の距離感。

3.同点ゴールを呼び込んだ、35歳のパサーと33歳の

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ワンポイントレビュー:「後半は、自分のところには興梠さんがずっとついていた」(大島僚太)。浦和が練ってきた、フロンターレに頑固な握りをさせないための巧妙な対策。(1st第8節浦和レッズ戦:0-1)

ワンポイントレビュー:「後半は、自分のところには興梠さんがずっとついていた」(大島僚太)。浦和が練ってきた、フロンターレに頑固な握りをさせないための巧妙な対策。(1st第8節浦和レッズ戦:0-1)

 等々力競技場での1st第8節浦和レッズ戦は0-1でした。

 「力負け」とも言える敗戦に、試合後のミックスゾーンに現れたフロンターレの選手たちには、みな険しい表情でした。

 では、本当に「力負け」だったのか。試合内容を検証してみたいと思います。 

 今回の深堀りポイントは4つ。

 ラインナップはこちらです。

1.孤立した大久保嘉人と小林悠の2トップ。厚みのある攻撃ができなかった前半の理由

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ワンポイントレビュー:「どうやって隠れようかなと」。前半の中村憲剛が仕掛けた、今野泰幸との「隠れんぼ」とは?(1st第9節ガンバ大阪戦:1-0)

ワンポイントレビュー:「どうやって隠れようかなと」。前半の中村憲剛が仕掛けた、今野泰幸との「隠れんぼ」とは?(1st第9節ガンバ大阪戦:1-0)

 吹田スタジアムでのガンバ大阪戦は1-0で勝利。

スタジアムが変わったとはいえ、ずっと勝てなかったアウェイでのガンバ大阪戦に勝利。個人的にも、実りある大阪取材になりました。

 決して楽な試合ではありませんでしたが、試合後のミックスゾーンで大久保嘉人が「今日はよかったね。あの距離感だよ。すごくやりやすかった。うん、今日はやりやすかった」と口にしていたのが印象的でした。チームの狙いとしている距離感

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ワンポイントレビュー:危険な存在だった仙台の金久保順。彼に3度の決定機を作られた理由。(1st第10節ベガルタ仙台戦:1-1)

ワンポイントレビュー:危険な存在だった仙台の金久保順。彼に3度の決定機を作られた理由。(1st第10節ベガルタ仙台戦:1-1)

等々力でのベガルタ仙台戦は1-1の引き分け。

試合後、ミックスゾーンを通るフロンターレの選手たちの顔には、「こんなはずじゃなかった」と書いてありました。

「あまり言葉でうまく表現できないような試合だった」(奈良竜樹)

「全員が良くなかったと思う」(小林悠)

「何かを守るようなサッカーをしていた」(谷口彰悟)

 主力選手たちのコメントです。

大久保嘉人に至っては、ほとんどコメントをせずに

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ワンポイントレビュー:大外から登里享平とエウシーニョ。完勝を呼び込んだ「幅」を使った揺さぶり。(1st第11節柏レイソル戦:3-1)

ワンポイントレビュー:大外から登里享平とエウシーニョ。完勝を呼び込んだ「幅」を使った揺さぶり。(1st第11節柏レイソル戦:3-1)

日立柏サッカー場での柏レイソル戦は3-1で勝利。あの悔しい2009年最終節以来となる勝ちとなりました。

「ネットがミドルシュートを決めそうな感じがする。未知の男だからね」

 試合二日前の取材で、そんな予言を口にしていたのが中村憲剛です。なので、リーグ戦5試合連続無失点中だった柏守備陣のゴールネットが揺れた瞬間、思わず記者席でのけぞりそうになりましたよ。いやぁ、びっくりしました。

終わってみれ

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ワンポイントレビュー:恋の三角関係よりも面白い?憲剛、大島、E・ネットによるKOEの絶妙な三角関係。(1st第12節ヴィッセル神戸戦:3-1)

ワンポイントレビュー:恋の三角関係よりも面白い?憲剛、大島、E・ネットによるKOEの絶妙な三角関係。(1st第12節ヴィッセル神戸戦:3-1)

 等々力競技場で行われたヴィッセル神戸戦は3-1で勝利。浦和レッズが引き分けだったため、暫定ながら首位浮上です。

ここ最近、ホームでの相性がよくないヴィッセル神戸、そして苦手としている敵将・ネルシーニョと、不安材料は多かったものの、終わってみれば勝利。それも神戸のシュート数をわずか1本におさえる完勝となりました。

 この完勝劇を分析してみたいと思います。

ラインナップはこちらです。

1.前

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ワンポイントレビュー:「前半に飛ばしすぎた。後ろの体力を考えてやればよかったとも思う」(中村憲剛)。試合運びに影響した、攻撃陣と守備陣によるコンディションのバラつき。(リーグ1st第13節・アルビレックス新潟戦:0-0)

 デンカビッグスワンスタジアムでのアルビレックス新潟戦は0-0。

浦和レッズがACLで試合がなかったことを考えれば、勝ち点差をより広げておきたいところでした。

 試合展開としては前半20分までに連続したチャンスを思えば勝ちたかったですし、終盤に連続した大ピンチを考えれば負けていてもおかしくなかったと思います。

要は捉え方の難しい引き分けでした。そういう意味で、モヤモヤした人も多かったかもしれ

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ワンポイントレビュー:我慢の報酬は、勝ち点3。優勝に突き進むチームに芽生え始めたメンタリティー(リーグ1st第14節ジュビロ磐田戦:1-0)。

ワンポイントレビュー:我慢の報酬は、勝ち点3。優勝に突き進むチームに芽生え始めたメンタリティー(リーグ1st第14節ジュビロ磐田戦:1-0)。

 等々力競技場で行われたリーグ戦第14節ジュビロ磐田戦は1-0で勝利。

90分間、攻め続けた報酬は、試合終盤の決勝オウンゴールによる勝ち点3となりました。

 去年までならば、我慢できずにカウンターから失点していたかもしれない展開でしたが、今のチームは90分を通じて、勝つための試合運びができています。その理由として試合後の小林悠はこんな要因を明かしていました。

「今年はチームとして良い声が出て

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