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難易度の高い選択をノーミスで実行し続けている大島僚太は、なぜ果敢にミドルシュートを放つのか。そこに込められていた、ゲーム全体の流れを汲んだ駆け引き。(リーグ第22節・サガン鳥栖戦:0-0)

等々力陸上競技場でのサガン鳥栖戦は0-0のスコアレスドロー。

無得点に終わったとはいえ、シュート25本を放ち、決定機も多くありました。勝てなかったことは残念ですが、だからといって、チームの戦い方やスタイルといった方向性について、何かを変える必要があったとも思いません。そんな引き分けでした

 試合後のミックスゾーン。

 いつもは饒舌な中村憲剛も、さすがに「決めたら終わりの試合だった。他に喋ることがないぐらい」の一言でした。なぜなら、「決定機を決めること」に尽きる内容だったからです。

 阿部浩之は、いつものように淡々と口にします。

「そんなにネガティブならず。50試合近くあったら、こういう試合もある。引きずらないこと」

 もちろん、鳥栖の守備陣の対応は素晴らしかったと思います。そこも含めて、スコアレスドローに終わった要因をレポートしています。

 今回のラインナップはこちらです。


1.「中央から攻撃することが理想でしたけど、中央からの崩しという面ではあんまり気持ち良くは連携では崩せなかったですね」(守田英正)。「中、外、中」のリズムの、最初の「中」を窮屈にしてきた鳥栖。中盤の形を変えてきたフィッカデンティ監督のフロンターレ対策を読み解く。

2.「阿部ちゃんは縦の入れ替わりで、相手をズラしてくれていた」(大島僚太)、「中で作って、外。そこの組み合わせで、自分もスペースを見つけながらやるようにした」(登里享平)。打開策を見出せず封じられた右サイドと、綻びを作り出して決定機を作った左サイド。前半のサイド攻撃を分析してみる。

3.「決め切れなかったのは個人のシュートの部分」(小林悠)、「最後のところだけが足りなかった」(エウシーニョ)。「決められないなら、もっとチャンスを作るしかない。そういう結論にしかならない」(中村憲剛)。高い技術と難しい選択による「意外性」で生み出した決定機。そしてフィニッシュで足りなかった「落ち着きと思い切り」。無得点に終わった内訳を分析してみる。

4.「それがあって最後の食いつきにもつながっている」(大島僚太)。難易度の高い選択をノーミスで実行し続けている彼は、なぜ果敢にミドルシュートを放つのか。そこに込められていた、ゲーム全体の流れを汲んだ駆け引き。

5.「思いっきり打とうと思ったところで、流そうとしてミスってしまった」(齋藤学)、「阿部ちゃんは外張ったり、中を使ったりもあるが、学のストロングポイントは仕掛けるところ。それを出せるように、追い越したり、ニアに抜けたりすることで数的優位を作ることですね」(登里享平)。齋藤学と鈴木雄斗という交代カード。サイドで推進力を出せる彼らに求められることとは?

(※8月17日:追記)6.「どっちかというと、それが自然かなと」(中村憲剛)。ヒールパスを使って2度の決定機を演出した中村憲剛。そのプレーに凝縮されていた、速さと正確さ、そして意外性の追求。

以上、6つのポイントで全部で約8500文字です(※ポイント6を8月17日に追記しました)。ぜひ読んでみてください。

なお、プレビューはこちらです。

では、スタート!

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