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積み重ねてきた狙いと予測、そして転がってきた幸運。相手のミスを見逃さない決勝弾は、いかにして生まれたのか。(リーグ第24節・ベガルタ仙台戦:1-0)

 等々力競技場でのベガルタ仙台戦は1-0の勝利。

 ナイターゲームではあったものの、気温31.6℃、67%という過酷な試合環境でした。記者席で観ているだけでもかなり消耗したぐらいなので、ピッチでプレーしていた選手は本当に苦しかったと思います。なので、この試合に関しては、映像で観たか、それとも現地で観戦したかで印象と評価が変わるゲームになるかと思いますね。そしてこういう「我慢比べ」の展開で勝ち切れたという意味でも、大きい勝利でした。

・・・にしても、ロスタイムで表示された5分も半ばを過ぎた場面で、木村博之主審が鳴らした笛が、試合終了ではなく実はオフサイドの笛でまた試合が始まったのにはびっくりしました・笑。

あの笛がタイムアップだと思って両チームの選手がピッチに倒れ込んでたし、スタジアムでは勝利のBGMも流れてました。帰りの混雑を避けてすでに席を離れていたメインスタンドのサポーターも、「えっ?まだあると?」と自分の席に引き返していきましたからね。

 なんだかライブでアンコールあったときのお客さんみたいになってました。結局、あのまま1分ぐらいプレーして表示された5分ではなく6分半もプレーしたわけですが、木村博之主審もロスタイム中の消費時間にも厳密ですな。

 さて。
試合内容について語っていきたいと思います。真夏の5連戦の最後ということで両チームともに体力的な消耗を考えつつ、ピッチ上で様々な駆け引きをしながら試合を進めるという、実に渋い試合になりました。そういうゲームで勝負を分けたポイントも含めて、面白い試合でした。

今回のラインナップはこちらです。

1.「僕がフリーで持っても、あまり来なかった。だったら、そこで変に食いつかせないで、テンポよくボールを動かして相手を動かそうと思っていた」(谷口彰悟)。なぜ前半は我慢比べになったのか。パスに食いつかず、バランスも崩さず構え続けた仙台守備陣に、ゲームを作れるCB・谷口彰悟が意識していたこととは?

2.「何かしてやろうという気持ちはあったが、それが空回りしてしまった」(守田英正)、「自分のところでは前半はポジショニングを取りきれなかった」(登里享平)。リベンジを誓っていた守田と、違いを作れなかった登里の位置取り。狙い通りの組み立てと崩しの形が作れなかった前半の原因は?

3.「相手のミスを突いた形だが、そこに至る過程には今までに自分たちがやってきた蓄積がでたもの」(中村憲剛)、自分は身長は低いが、走りながらのジャンプなので自信はあった」(登里享平)。積み重ねてきた狙いと予測、そして転がってきた幸運。相手のミスを見逃さない決勝弾はいかにして生まれたのか。

4.「できるだけ良いボールを競らせない。それは意識していました」(谷口彰悟)。ハーフナー・マイクとのエアバトルで強気のラインコントロールを続けた最終ライン。試合終盤に光るチーム全体の守備意識。リーグ最少失点を続ける要因とは?

以上、4つのポイントで、冒頭部分も含めて全部で約8000文字です。一つのポイントをじっくりと深堀りしております。

なおプレビューはこちらです。

では、スタート!

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