等々力で沈黙し続けた90分。力負けによる完敗から考えなくてはいけないこと。(天皇杯準々決勝・柏レイソル戦:0-1)

 等々力競技場で行われた天皇杯準々決勝・柏レイソル戦は0-1で敗戦。

 ホーム等々力での無得点試合は、ACL広州恒大戦(0-0)以来です。無得点での負けとなると、去年のチャンピオンシップ準決勝・鹿島アントラーズ戦以来となりました。

 負けた試合後というのは、「あのときにこうすれば勝てたんじゃないか?」とか、「あのシュートが入っていたら・・・」とか、「あの判定がなければ・・・」などなど、いろんな局面を将棋の感想戦のように振り返るサッカーファンは多いと思います。そして「こうすれば勝てたのでは?」と自分なりの結論めいたものを出して、納得したり、消化したりするものです。サッカーファンというのは、そうやって次に進んでいくものですから。

 しかしこの柏戦に関していえば、「こうすれば勝てた」という建設的な話を見出せない難しさがありました。内容的にも力負けでしたし、負け方も「らしくない」ものだったからです。

 数字はそれを雄弁に語っています。この試合全体を通じて、川崎フロンターレが放ったシュートは3本でした。後半に関しては、わずか1本です。

 その1本を具体的に言えば、66分、右サイドの田坂祐介のクロスに登里享平が右足で合わせた形です。GK中村航輔の好セーブに阻まれましたが、あれが後半の唯一のシュートであり、もっと言えば、試合を通じて得点の可能性を感じた局面もあれぐらいでした。

 とはいえ、あの場面を読み解くことで見えてくるものもありました。


 後半のレイソルの守備は、コンパクトな距離でボールサイドに人数をかけてきますから、逆サイドが空きがちになります。つまり、サイドバックが大外から走り込んでくる攻撃を繰り出すことでチャンスは生まれそうでした。

 後半途中から左サイドハーフに登里享平を入れ、車屋紳太郎との連携も含めて左サイドにボールを集めていましたから、逆サイドの右サイドでは田坂祐介が高い位置でフリーになっており、そこを起点にした攻撃の形を出せていました。66分の決定機は、そうやって生まれたものです。

 そこで試合後の田坂祐介に「後半の右サイドは、攻撃でうまく使えている感覚があったのでは?」ということを尋ねてみました。しかし、当の田坂は感触は良くなかったという認識でした。

「いや、ちょっと(ボールを)持たせているという感じもありました。柏からすれば、中に突っ込んできたところをひっかけてカウンター。(サイドを『使わされている』という感覚も)多少ありましたね。あそこでもう一回、ボールを持って中に突っ込むか、ニア(サイド)をうまく使って崩す・・・それをうまくできれば良かった」

 なるほど。柏からすれば、開けているサイドを使われるのは問題ないという認識で守っていたわけで、田坂としても「サイドを使わされている」という感覚だったというわけです。

 では、サイドを使わされている・・・・もっと言えば、ボールを持たされているあの展開で、フロンターレがすべきことは何だったのか。

 それは「ボールは自分たちが握るもの」という強い意志を持って仕掛けていくことでしょう。そうやって、「ボールを持たせてはいけない」、「サイドを使わせてはいけない」という迫力を相手守備陣に与えることです。要は相手守備陣に「これはマズイ!」と思わせることができるかどうかですが、残念ながら、この日のフロンターレの攻撃には、その意志があまりなく、攻撃にも工夫が足りませんでした。具体的には、どういう攻撃が有効だったのか。田坂祐介が言います。

「飛ばすパスやサイドチェンジもなかったので、相手の最終ラインが大幅にスライドすることがあまりなかったですね。そういう形をもっと作っていくこと。押し込んだ時は、特に。同サイドでやりながら、逆サイドも崩す。そうじゃないと、引かれた相手だと崩せない。最後のペナ付近の精度も今日は低かった。シュートにいけずに終わることも多かったし、カウンターも受けた。1点取った後は、相手を理想的な展開にさせたかなと思う」

 柏レイソルの下平隆宏監督は、「今日は仮にリードしたとしても、意地でもつなげという話をしていました」と、試合後の会見で明かしています。「ボールは自分たちが握るもの」という意志は、このサッカーにおけるコンポインでもあります。そういう意味でも、「ボールは大事なものだ」ということを改めて教わった敗戦だったのかもしれません。

・・・と、冒頭で長々と書いてしまいましたが、実はここからが本題です・笑。今回のラインナップはこちらです。

1.「こちらが攻撃して、ボールを保持して、何とか自分たちの時間を多く作ろうというプランで臨みました」(下平隆宏監督)。最も効果的なフロンターレ対策を仕掛けてきた敵将。ボールを握れなかった前半の二つの原因は?

2.「普段出ていない選手が出ていて、自分も普段やっていない右サイドで、そういうちょっとした変化のところで、多少の誤差が出た部分があったかもしれない。」(知念慶)。守備の誤算を生んだ、連動性を欠いた前線と迫力不足。

3.「(ボールを)取りに行くこともそうだけど、ウチはもっともっと攻撃の部分で勝負していかないといけないチーム」(奈良竜樹)。目を向けるべきは、ボールを取り上げられた展開で起きた「逆カウンター」を受けた脆さ。

4.ボールの握り方に課題を抱える中盤。それは、ゲームコントローラー・エドゥアルド・ネットだけの問題なのか?

5.「イメージの共有がうまくいかなかった」(中村憲剛)。緻密さを欠いたパスワークと、試合を通じてかみ合わなかった出し手と受け手の呼吸。無得点に終わった攻撃陣の原因を検証する。

 以上、5つのポイントで冒頭部分も含めて約9000文字です。

内容的にも完敗したゲームですし、連戦ですから、ここはサラッとしたレビューでも良かったのですが、「なぜあそこまで、うまくいかない試合だったのか」にモヤモヤしている方も多いと思います。

 そういう方に向けた掘り下げたレビューを書いていたら、結果的に、9000文字のボリュームになりました・笑。モヤモヤがおさまらない方は、ぜひ読んでみてください。なお、プレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(天皇杯準々決勝・柏レイソル戦)

では、スタート!

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